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女王と魔術師③

「――ふんふん。ほぉー、なるほどなるほど。いやぁ、よく分かりました。ありがとうございます大臣。ではまた、私に用があるときに勝手に繋がせて頂きますので、よろしくどーぞ。それでは~、っと」


『……で? ベロニカの平和ボケどもは、あの小僧が今度は何をやらかしたと言っていた?』


「ええ、荒天島の嵐を転移魔法陣で躱して、無事に魔晶を回収したそうですよ」


『んなっ! そんな代物一体どこで――ああいや、アレだな? シロカゼの心因魔法か』


「特異点の結界も越えるほどの術式となると、それしかないでしょうねぇ。やれやれ、相変わらずの勇み足、僕が仕事してて覗けない時くらいは自重してほしいですよ、まったく」


『シロカゼの心因術式がベロニカにあったということは……そこを閉ざしたのも、あいつの仕業やもしれんな。そっちの調子はどうだ?』


「ええ、扉の内側に彼の魔法陣が刻まれてるし、多分そうなんでしょうけど……予想通りコナゴナですよ。魔晶個体がやったんでしょうね。『月の魔道工房(ムーンファクトリー)』の開かずの扉も、これじゃ形無しだ」


『求めていたものは見つかりそうか?』


「それはこれから調べないことには、なんとも。まあ、あの響心魔装(シンクロ・デバイス)素体(ルーツ)資料くらいはあると思うんですけどねー」


『む。そういえばあの小僧は、どうやって陣を起動したのだ? 小僧の心素(エナ)量はともかく、響心魔装程度の魔力量では魔法陣は発動せんだろう』


「よいしょ、っと……ああ、ベロニカの宮廷魔術師のコが手伝ったんですって。シロカゼ君の巻物(スクロール)持ってたのもその女の子でー、えっと、なんて言いましたっけ。前にウチに挨拶に来た」


『ああ、あの姦しい娘か。見え透いた作り笑いが気に入らなかったが、確かに宮廷魔術師程度の魔力は有していたな……年の頃もシロカゼの連れていた娘に近かったな。それで巻物を手渡されていたのか』


「そういえば、彼女も『あいどる』について口にしてましたよねぇ。僕も前にどっかで聞いたことあるような気がしてるんですけど……おっ、あったあった」


『見つかったのか?』


「ええ。『個体番号:400(フォーティゼロ)。素体名:ディアセレナに関する資料』。これですね。イザというときの備えも、これでバッチリです」


『……あの小僧、今頃ガランゾに向かっている頃合いか。ひと月で全ての特異点を周りきるというのは、どうやら本気のようだ。本当に、問題ないんだろうな?』


「ですから、大丈夫ですって王。こうしてあの魔装(デバイス)の真名を調べてもいるんですから……それじゃ、今から戻るんで切りますねー。ハイ、通信終了!」


『なっ、ちょ、ま――』


「まったく、王は心配性なんだよなあ……ま、不安がる必要ないですよ。ぜーんぶ、僕の計画通りですから、ね」

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