聖人度合いの偏りがすごい⑤
「ユーハ殿たちが使われた転移魔法陣も、彼の作品でしょう」
「……その前任者って、魔法使えたんですか!?」
地球人なのに!? え、ウソ、俺も使えんのかな!
一瞬で色めき立つ俺。
「ああいえ、彼自身が魔法を行使できるわけではないのです。ただ、トレイユで召喚を受けた後、数ヶ月かけて魔法について学んだそうで。理解した魔法に独自の機構を組み込み、魔素と心素の両方を必要とする魔法陣を考案したのですじゃ」
あ、そういう感じですか……なんだぁ……
がっくりと肩を落とす俺に対し、彼の知識量は宮廷魔術師を凌駕するほどだった、と手放しで称賛するベロニカ王。
それ、凄いな……自分では実現できない技術を、座学と実演を見ただけでプロ以上に理解したってことだもんな。とても俺には真似できそうもない。
「魔法の威力や効果範囲が増大する効果が魅力的でしてな。チキュウの方と肩を並べて魔法を放つというのも、なかなか新鮮な感覚でしたぞ」
……実際に自分でやってみたような言い方しますね王様。
まさかとは思うが、前任の召喚者と一緒に荒天島を攻略してたりしないだろうな。
アイリスの話だと、普段の荒天島には動物型や甲殻類の魔獣がわんさかいるらしいんですがね。
「ほっほ。まあそこは、若気の至りというヤツですぞ。ほっほっほ」
行ってるよこの人! 一国の主が何してんですか!
「あれが殲滅魔法というヤツなんでしょうなあ。魔素を込めた一瞬で砂浜が火の海に」じゃないよ!
この人、結構自由人でもあるなあ……まあそういうところが、国民や部下に愛されてんのかもしれないけど。
俺とこうして話している合間にも、イイ感じに酔っぱらったお偉いさんが料理を持ってきたり、近くの兵士さんが飲み物が足りているか聞いてきたりしている。王様の会話を妨げたりせず、それでいて自然に気遣われている。そんな印象を受ける。
やっぱいい人だ。トレイユの女王にも見習ってほしい……いや、思い出すのやめとこう。




