表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

124/673

聖人度合いの偏りがすごい②

「ユーハ殿。楽しんでおいでですかな?」


「あ、王様……おかげさまで、まぁ、それなりに」


広間の壁に一人背を預けたままの俺が目に付いたのだろう、ベロニカ王がにこやかに声をかけてきた。右手のワイングラスを差し出されたので、慌てて俺も持っていたグラスを合わせる。


お互いに一口分煽り、どちらからともなく笑みを(こぼ)した。


「うむ! 一仕事終えた後の一杯がこれまた格別! いや、ユーハ殿はまだ成人前でしたか」


地球(あっち)ではそうですね。これもただのドリンクですし」


「エーテルリンクでは立派に成人の年頃なのですがなあ。ほら、アレを御覧なさい」


ベロニカ王が指し示したのは、広間の中央に据えられた、一際大きな丸テーブルだ。肉、魚介、デザートのほか、度数や味付けごとに区分けされた酒類まで、あらゆるジャンルの料理と飲料が並んでいる。


そしてそこで高笑いする一人の少女の姿。


「なぁーはっはっは!! アタシにかかれば、魔晶回収くらいちょろいもんですよぉ~! ね、ディ・ア・ナ!!」


「は、はぁ。そうですね。そうとも言えますね」


顔を真っ赤にして笑い上戸になっているアイリスと、その隣で肩を抱かれ、絡まれているかわいそうなディアナの姿は、広間の騒ぎの中心になっていた。


「でしょでしょ!? やっぱアタシって多才なのよね~……多彩魔術師(マルチウィザード)だけに! アハハハハハ!!」


「……ソウデスネ」


「いいぞーアイリス!」「上手い上手い!」「よっ、ベロニカイチの魔術師(ウィザード)さまー!」


周りの兵士やお偉方も煽るもんなあ! 物理的にはそんなことは無いのだが、アイリスの鼻が上限なく伸びているように見える。歓声の次に天を衝くのあいつの鼻頭になっちゃうぞ。いやマジで。


アレは酷い……今なお絡まれっぱなしのディアナに胸中で合掌しつつ、乾いた笑いを漏らす俺。

一方で、ベロニカ王はそんな二人の様子を実に優しい表情で眺めていた。怒るところじゃないのかな。ああいうのは。


「……ユーハ殿。本当に、ありがとうございます。礼を言わせてほしい」


ブッハ!? え、え、何で急に畏まって頭下げたんです? 吹いちゃったじゃないですか!

気管に入った水分をゲホゲホと追い出しつつ、何とか返答の言葉を絞り出す。


「ま、魔晶回収の、ことですか?」


「ええ、勿論、それもあるのですが……あの娘の、アイリスのことですよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ