表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

108/673

解説キャラは何人いても助かる⑥

「これで、トドメ!」


再びアイリスが右の指を鳴らすと、トレントの周りを取り囲むように、いくつもの水色の光点が激しく明滅を始めた。

トレントの胴体上で光点が弾けては消えるたびに、炸裂した箇所が氷に覆われていく。


光点一つの氷が覆う面積も厚みも、初めは微々たるものだったが、無数と呼んで差し支えない圧倒的な物量が、瞬く間に氷の密度を高めていった。

そんな中でも尚緩慢な動きのままであった人型の植物に、氷獄から逃れる術は無かった。


ほどなくして、トレントはその全身が完全に氷の内側へと閉ざされた。

ふうっ、と浅く息を吐いたのち、アイリスが俺とディアナの方に駆け寄ってくる。


「そっちは無事!?」


「ディアナが、背中を強く打ったみたいだ。アイリス、回復とか、治癒の魔法使えるか?」


ベロニカ王は、アイリスのことを『多彩魔術師(マルチウィザード)』と呼んでいた。

先のトレントとの攻防から見ても、彼女は複数ジャンルの魔法を得意とする魔術師であるのだろうと俺は踏んだ。


であれば、お決まりのヒール系の魔法も使えるのではないか。そんな期待を込めた俺の問いに、しかしアイリスの表情は晴れない。


「ゴメン。アタシ、そういう魔法は専門外なの。でも、その代わりに……」


アイリスは短く謝罪したのち、身を固めて痛みに耐えるディアナの肩にそっと手を置いた。

金髪の少女の両手から、じわり、と魔素(マナ)が溢れ出す。溢れた魔素はそのまま、触れているディアナの身体へと流れ始めた。


「これで、少し休めば良くなるはずよ」


「……何をしたんだ?」


「アタシの魔素を、人体の自然回復力を高めるように加工して、ディアナに分けたの。そのまま休むより、ずっと早く、良く回復できるはずよ」


ダメージが大きいと見られる肩口から魔素を流し込んだためか、既にディアナの顔から若干苦痛が薄らいだように見える。この様子なら、十分、いや五分もすれば、痛みを気にせず動けるようになるはずだ。


トレントへの攻撃よりも遥かに高い濃度の魔素をディアナに与えたアイリスは、一安心したと言わんばかりに胸を撫で下ろす。


しかし。俺はトレントの氷漬けを、その向こうにある森の奥を睨んだ。

これは俺の憶測だが、今戦闘したトレントは偵察兵だったのではないかと思う。もしそうだとすれば、敵は俺たちの居場所を把握している。いつ追手が来てもおかしくない。


この場所に留まり続けるのは危険だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ