解説キャラは何人いても助かる②
「し、信じらんない……魔法使いじゃないどころか、エーテルリンクの住人ですら無い奴が魔眼の持ち主だなんて……」
砂浜に手を付き、肩を落としたままでぶつぶつ呟くアイリス。
そんなに落ち込むことだろうか。エーテルリンクに生きるものであれば、誰しもが魔素を感じ取る力があるってディアナが言っていたし、そんなに大差無いと思うんだけど。俺としては。
ていうか、また聞き慣れない単語が出てきたな。何その魔眼って。
間延びした調子で問うた俺に、アイリスが吐き捨てるように答える。
「アンタのその目はね! かつてこの世界を創造した神々が持っていたとされるもので、つまり創造神と同じ目なのよ!」
「へぇー……ディアナ知ってた?」
話を振ってみると、銀白の少女はふるふると首を横に振った。
意外な返事だ。何かと博識なディアナのことだから、普通に備えている知識かと思ったけど。
「いえ、私も存じませんでした。言われてみれば、トレイユには世界神についての資料は少なかったように思います。魔眼については、ベロニカの経典にしか記されていないのかもしれません」
ディアナ達響心魔装は、魔導工房で基本的な知識を叩き込まれると聞いていたが、その中には無かった情報ということだろうか。
アイリスの口ぶりでは、むしろなんでそんなことも知らないのか! ってくらいのニュアンスともとれるような気もするが。一般教養レベルの情報だとするなら、隣国のトレイユで知られていないのはなんでなんだろうな。
俺がそんな疑問に首を傾げている間も、アイリスはずっとぶつくさと呟いたままだ。一応姿勢だけは立ち上がってきたものの、未だに視線が覚束ない。
「あーもう意味わかんない……神位級魔術師の方さえ持ち合わせない才をなんでこんな奴が……理不尽だわ……」
……なんでそこまで言われなきゃならんのだ。
俺だって別に、自分から望んでこの目を手に入れた訳じゃないし、むしろ、この目のせいでいろいろ苦労してきたとさえ言えるんですけど。わざわざ言わないけどさ。
胸に溜まったモヤモヤとした感情を盛大に溜め息で追い出しながら、俺は先陣切って森の中へと足を踏み入れた。




