変人は近くにいる
周りから「おかしい」と言われた経験はありますか?
僕はあります。しかし、僕はなんにもしてないです。正確には、ただ自分のセイカツに従事しているだけです。人間ですもん、僕は。別に世界を変えるための力を授かったとか、逆に世界を滅する力をもっているなどイレギュラーな存在ではないんです。
ただ、僕の周りではどういうわけか僕のことを敬意あるいは皮肉を込めてこういいます。
「変人」
とね。この物語は僕のフツウの日常を描く物語です。
何かを伝えることは、本当に難しいことです。なぜですって?そんなことは相手の気持ちを人間は本当の意味でわかってはいないからです。だから、言葉という武器を人間は手に入れたのだと思います。しかし、武器とはときとして自分をまもるために使われ、相手を傷つけるために使われます。ひょっとしたら、神様は人にとんでもないものをさずけたのかもしれません。このことについて僕はあのとき知りました。
4月の下旬。桜が散り、青葉がますます濃い緑色に移り変わるころ。僕のクラスも新しい関係を構築し友情という名の新芽が大きくなりにつれて、それぞれの個性がにじみはじめたのです。もちろん、このときは誰もが新しい環境に慣れようと必死ですが、すでに慣れた奴もいます。たとえば、僕とかです。しかし、大半の人は自分の立ち位置を気にするあまり、なかなか慣れないのでしょう。さて、慣れ始めた人間の恐ろしさはここからであります。彼らは自分の立場を確立しつつあり、クラスへの影響力をもつものへと変貌していくのです。乗り遅れたものは、彼らに型入れする一種の従者になり下がるのです。僕のように我が強い人を除けば。さて、彼あるいは彼女がクラスをよく導けばよいのですが、残念ながら逆の方へと導き始めました。
「勉強なんていやよね。私は、一度しかない学生生活を満喫したいよ」
などといいだし、クラスの雰囲気をかき乱すのです。僕個人としてはそういう女子にある種の尊敬を抱きました。確かに、学生生活を満喫したいと。そして、何かに引きつけられるように彼女に興味を抱き、観察をしました。彼女は本当に学生の鏡のような存在でした。いつも、笑顔を絶やさず、場を盛り上げ、クラスの輪を広げていきました。こころの中で「やばい」とある種の関心を抱きました。だから、僕は決心したのです。彼女にこの胸の高揚を言わなければと。
そして、4月の最終日。
僕は彼女を誰もいない教室に呼び出しました。
「今日はごめん。時間を取ってもらって」
「うん、いいよ」
夕日が沈むはやさが僕の心臓の鼓動と共進するかのような胸の高鳴りが僕の顔を赤らめました。その様子に彼女も頬をあからめて、まるで、この状況に対して何らかの期待を持ったのか、僕の顔をとらえようとしません。僕も僕で、これからいうセリフに対して恥ずかしさを抑えきれず、嫌な汗を流します。そして。
「今日、伝えたいことがあるんだ、どうしても……」
「うん」
お互いにこの状況の一刻もはやい決着を望むかのように、「あの」という言葉が被った。それに対して、どちらも譲るかのように「どうぞ、どうぞ」と両手を相手の方に向ける。最終的に僕の頑固さが彼女の口を動かした。
「……今日は何かごめん。でも、私も気持ちは一緒だから……」
「えっ、本当!?」
「うん……」
何という偶然だろうか。これで遠慮なくあの言葉を言える。
「清水さん、実は僕……僕は君を……君のことが……苦手かもしれない……」
「えっ?」
彼女は目を飛び出さんばかりの驚きを顔に表した。僕も「はい?」てな驚きを顔で表した。
「えっと……君、このシチュエーションの意味……わかっているの?」
「おう、もちろんです。告白という名の、なんでもぶっちゃけられるアレでしょ」
「……バカ!!」
ベシッという効果音とともに僕は、ほんのわずかな時間…鳥になったような気分を味わった。とくに、飛べない鳥、代表のニワトリの気持ちを…。
どうして殴られたのか地面に根伏せていた。飛ぶことのできないニワトリが必死に飛ぼうと考えるようにね。
この日を境に僕は「変人」というレッテルを貼られたのである。ちなみ、まだ殴られた理由はわかっていない……。何で殴られたんでしょうね、僕は。
お読みいただきありがとうございます。
初投稿で足りない部分は多々あったと思いますが、へぇと思ってくだされば幸いです。
また、投稿した際にはよろしくお願いします。