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嫌疑と求刑
着席すると、裁判官が発言を始める。
被告人が本人かどうかの形式的な質問だ。
それが終わると、裁判官から声をかけられ、すぐに私は立ち上がる。
「被告人、鈴谷磐井に対する嫌疑は次の通りである。1つ、日本皇国が有する国土において、暴動を扇動し、主催した。1つ、日本皇国と強いつながりがある朝鮮半島南部地域ー通称、旧韓国ーに対して、軍事行為をさせた。1つ、日本皇国の地域内において、国家体制を転覆しようとした。以上」
このうち、最後のはいわゆる内乱罪にあたり、地方裁判所では裁くことができないため、ここでは取り扱わない。
首席裁判官が、私へと質問をする。
「では、以上の嫌疑に対して、検察官の求刑は」
「検察官として、極刑を望みます」
死刑の求刑は、私であっても避けたい。
だが、外患誘致罪による裁判のため、有罪となるならば、少なくても死刑になる。
それから私は座り、弁護士の発言を待った。