10/10
判決
それから数日間、激論を交わし続けた。
そして、判決の日。
「主文、被告人を有罪とする」
それは、私たちの主張が認められたという証拠であった。
理由も、大筋で私たちの話通りだ。
判決文読み上げが終わると、すぐに私たちは法廷から出る。
「上訴しますかね」
「するでしょうね。常識的な人なら」
それは、当然の予想である。
だが、予想の範囲内であれば、当然に対処することもできる。
だから、私は特に悲観することはない。
裁判は、こちらに有利になっている。
「高等裁判所での戦いは、向こう側が何かしらの証拠がなければ、圧倒的にこちらが有利。でも、慢心はいけない。全てのことを考えて、この裁判を闘い抜くわよ」
私は、面々にそう言うと、すぐに検察庁へ戻った。
まだ、戦いは始まったばかりである。