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仕度のちデート

「ご主人様ぁー……。私はこれから何をするんですか?」



 白雪が、困ったような声で俺に声をかけた。


 まあそれも無理はない。多分、俺の真後ろには姉の服を着て、母に髪を結われアイロンで巻かれ更には姉に薄化粧を施されている彼女がそこにいるのだろうから。 



「デートだよ、デート。折角だし、見に行こうぜ。人間の外の世界。興味ないか?」


 にやりと笑って後ろに声をかけると、白雪の元気の良い返事はすぐに返ってきた。


「興味ありますっ!」

「それなら良し。なあ姉ちゃん、そろそろいいか?」



 そう問いながら靴紐を結んだ。


 デジタルの腕時計は午後1時を指しているからそろそろ出掛けようと思うのだが、こういう時、女が準備をする時間というのはとてつもなく長いことを知っていた。

 何しろ午前12時前からずっとこうだ。姉と母がいる俺にとってはこの待ち時間はもう慣れたものだったが、白雪を早く外に連れて行ってやりたかったので少し急かす。



「うん、……うんっ! 最ッ高に可愛くできた。やっぱあたしって才能あるぅー!」


 ハイテンションで騒いでる馬鹿……もとい姉ちゃんが戯言をほざくが、最ッ高に可愛くできたのは白雪が可愛いからである。姉の才能ではな「げぶぅッ!!」鈍器が後頭部に命中しました!


「殺すわよ」

「もう死にそうです……」


 その鈍器は先程まで使っていたであろう熱々のヘアアイロンだった。こいつ弟に容赦ねえぞ。


「ま、いいわ。許したげる。ほらこっち見なさい」


 上から目線うぜえ、などと心の中で悪態をつきながら振り返る。




 だが、振り返って0.2秒で俺は怒りを忘れた。



「……あ。あの、ご主人様、その、私……。変、じゃないですか?」



 その台詞は色々とクるから止めろ! と一概に言いたくなった。



 白銀の髪は艶を帯びたストレートで、アイロンをかけたのか昨日よりしっかりしたリボンの下から三つ網を垂らしている。

 決して濃くはないが彼女の造形美を引き立てる薄化粧も素晴らしく、苦笑いを浮かべる唇は薄紅色に染まっていた。



 服装もフリルのついた黒のブラウスにふわふわした黒のスカート。

 その色は、彼女の肌と髪の色をより一層対照的に映し出す。



 いや、まあ、なんつーか……その、一言で言うならめちゃくちゃ可愛いんだ。有り得ないくらい。ほんと。マジで。




「え、えー? ご主人様聞いてます? えっ、これ変なんですか? ご主人様ああああ!?」

「可愛い。めっちゃ可愛いですほんと。ごめんなさい」



 

 とりあえず謝った。色んな意味で土下座したくなったがやめておいた。

 つーか、こいつの隣を歩くのが俺なんかで本当にいいんだろうか。



「そ、それじゃ行くか。うん。行ってきます」

「……行ってきます!」



 俺の腕を引っつかんで、白雪は後ろに向かって思いっきりピースサイン。

 何だかその仕草がとても可愛かったのだけれど、見てみぬふりをした。




 ……理由は俺の口元がにやけて頬が赤かったからで、そしてまた白雪の顔も俺と同じ表情だから――――、だ。


テスト期間なのに投稿してみました。読んでくれた方ありがとうございます!

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