同じ
村の外れへ向かう小道を、二人は小走りで進んでいた。
「……怒られたね」
オクシアが苦笑する。
「だって、薬草取ってきてないし…冗談だと思われてたね」
「ほんとに出たのに」
アルカーナは唇を尖らせた。
くしゃみに混じった、熱。
あれは絶対に――気のせいじゃない。
「でもさ」
オクシアが、ぱっと顔を上げる。
「もし本当だったら、すごくない?だってアルちゃんも、もう魔法使いだよ!」
「……えへへ」
思わず、笑ってしまう。
魔法使い。
オクシアと同じ呼び名。
胸の奥が、じんわり温かくなる。
そのまま二人で歩いていると、道の先に人影が見えた。
「あれ?」
「アルカーナ?オクシア?」
声をかけてきたのは、少し年上の幼馴染だった。
仕事の合間なのか、肩に道具を担いでいる。
「どうした?二人とも、なんかこそこそして」
顔を見合わせてから、オクシアが口を開く。
「実はね――」
くしゃみのこと。
炎が出たこと。
話し終えると、幼馴染は一瞬きょとんとして、それから大きく笑った。
「口から炎!? ははっ、すげぇな!」
「……信じてないでしょ」
「まあな」
正直すぎる返事に、オクシアがむっとする。
「でもさ…もし本当なら、オクシアと同じ魔法使いだろ?」
その言葉に、アルカーナの背筋が少し伸びた。
「二人とも将来有望だなぁ…村も安泰だ!」
軽い冗談。
でも、悪い気はしなかった。
別れ際、幼馴染は手を振る。
「森の方行くなら、気をつけろよ。最近、獣が出るって話だ」
「はーい!」
元気よく返事をして、二人は森へ向かう。
木々の合間に、やわらかな光。
花畑が広がっていた。
「わぁ……きれい」
そのとき。
「……あ」
小さな声がした。
二人が視線を向けると、花を摘んでいる小さな女の子が一人。
両手いっぱいに花を抱えて、こちらを見ていた。
「お姉ちゃんたちも、取りに来たの?」
無邪気な声。
オクシアが屈んで微笑む。
「ううん。私たちは薬草を取りに来たの。貴方は?」
「私はお母さんにプレゼントするんだ!」
――その背後。
森の奥で、枝がわずかに揺れた。
重く、低い気配が、近づいてくるのを。
まだ、誰も知らない。




