78話 ハッピーエンド! それからのトッシュ達
トッシュの館のお風呂は結構豪華だ。
貴族が薔薇を浮かべて寝そべって入っていたであろう浴槽がある。浴槽の左右は空間があって、きっと控えていた侍女が主人の体を拭いたり着替えさせたりしたのだろう、というリッチ感がある。
トッシュはルクティの書き置きに従って浴槽に水を貯めた。しかし、それは、かしこさ150の罠だった。
トッシュが浴槽に水を貯め終えて、ステータス編集でお湯に変化させると、誰かがやってきた。
それは全裸のネイだった。 結論から言うと、トッシュはムラムラっとして、両者ともに一時の気の迷いでヤッてしまった。
というのも、トッシュ的に仕方なかったのだ。
トッシュにとってネイはあこがれの先輩だ。しかも、胸がデカい。
新人時代にいろいろ教わったし、日本での生活も最初は彼女が支えてくれた。しかも、胸がデカい。慣れない日本暮らしで風邪をひいたトッシュのために、安アパートに来て料理を作ってくれたこともある。エロい尻をしていた。しかも、胸がデカい。
そんな憧れの年上の女性ネイが全裸で現れたのだ。普段、和服を着ているから露出度が低いので、全裸とのギャップが大きい。しかも、胸がデカい。
ネイは近接特化の剣士だから腹筋バッキバキかと思いきや、女性らしい曲線の体つきをしており、おなかはぷっくりしている。しかも、胸がデカい。
脱毛しているレインと違って、股間に茂みがある。肌が白いから、茂みの濃さが際立つ。しかも、胸がデカい。
30歳前後で独身で適度に欲求不満がたまっているネイは、昨晩トッシュとレインのエッチボイスを聞き続けて、うっかり、自慰をしてしまった。普段なら他人の家で自慰なんてありえないのだが、割とうっかりしていた。
長年の仇敵ともいえる金星に復讐できてすっきりしていたという精神状態も影響していたのかもしれない。
自慰したネイが全裸でメスの匂いを放ちながら現れれば、トッシュがその性的な魅力にとらわれるのは当然のことであった。
ネイもぶっちゃけ、「結婚できるなら誰でもいいという価値観の異世界人」だし、トッシュのことをけっこういいと思っていた。けど、レインの好意を知っていたから、身を引いた。
だけど、「トッシュがいつも自分のおっぱいをちらちら見てくる」し「10歳の年齢差を気にしてなさそうなくらい、胸に性的な視線を向けてくる」し、トッシュがギルドの連中と一緒に和服巨乳美女カフェに行って店員さんを間違えてネイさんと読んだらしいし……。
トッシュが自分に性的な意味で好意を抱いていることをネイは自覚していた。
ネイがお風呂で偶然全裸を目撃された際、トッシュは明らかに勃起した。でこぼこの服に膨らみが一個増えたのだ。しかも、ネイほどの達人なら、勃起時の重心の変化を見逃さない。
そんな事情があって、ふたりはヤってしまった。
挿入した直後に「声を出さなければ大丈夫」と言ったのは果たしてどちらだったのかわからないが、でっかい声を出してヤった。
レインとの変態プレイで経験を積んだトッシュが、処女のネイの感度をあげて「そ、そっちは違うっ……!」の方をいきなり全力で攻めて、特大の「おほおおおおっ!」声が屋敷中に響き渡った。
二階から一人の少女が転がるように降りてきて、風呂場のドアをバーンと開けて叫ぶ。
「ト、トトト、トッシュ!」
そしてレインはトッシュとネイががっつりつながっている様子を目撃した。
「おぎゃあああああああああああああっ!」
「(ネイのおっぱいを揉みながら)レ、レイン、これは、ち、違わないんだが、はあはあ、許してくれ! うっ……!」
「そ、そうだ。レイン。私とトッシュはただ性欲を発散しているだけで、ああんっ、あっ!」
おほった直後のネイだが、トッシュによって回復している。もう、トッシュは手慣れたもんだ。異性が絶頂したら、すぐに回復させてもう一回戦だ。
「イッたり喘いだりしながら言い訳しないでくださいよおお!」
レインは乳首と股間に穴の開いた下着を着たまま、ふたりの間に割って入る。
そして、性欲発散のためだけの行為に加わった。
こうして、ヤりまくり、新婚三日目にしてトッシュはネイを第2夫人として嫁に迎えた。
やはり、トッシュのスキルが漏れてしまったのだろう。3人はしばらく状態異常が続いた。
素の状態でA級ド変態の姫子だけはセッ――熱気への耐性があったらしく、シルを抱きかかえて屋敷の外に逃げた。
おかげで、シルは助かった。
◇ ◇ ◇
ネイが新ギルドを立ち上げ、それから数か月が経った。
トッシュの館では、主のトッシュ、第一夫人のレイン、第二夫人のネイ、メイドを装った客人のルクティ、客人のシルが5人で暮らしている。
館から少し離れた位置に社宅が立ち、そこでギルドメンバーのドルゴ達は暮らしている。
なんで離れた位置にしたのかというと、『視界に入るだいたい5キロメートルくらいを、俺たちの領地だ』と主張するためだ。荒れ地には正当な所有がいないので、こうやって少しずつ自己主張して縄張りを確保していく。……という建前で、トッシュがお嫁さんといちゃつきたいから、その他のメンツを遠ざけたというのが真相だろう。
寮長のドルゴは、トッシュの隣人でありながら、お隣の領主ともいえる立場だ。
さらに、社宅とは反対側に離れた位置に孤児院が建てられた。これは聖女座間が、身寄りのない子を養うための私設だ。やはり座間が領主ということになり、領地を実効支配している。
ネイがトッシュとの最初のエッチで子を授かっていたため、レインより先にご懐妊。ちょっと気まずい。ネイは新ギルドの戦闘部門の長としての仕事は、しばらく控えることになりそうだ。
レインはトッシュと仲良くいちゃつく日々を送っている。新ギルドが異世界での活動を中心としており、構成員も異世界人が多いので「バランスをとるため」という理由で、レインが社長を務めることとなった。ネモの補佐で新米社長として頑張っている(勤務時間中のオフィスラブも頑張っている)。
ルクティはギルドとは無関係のメイドとして、トッシュとエッチなことをした。もちろん、ふたりのお嫁さんには秘密だ。赤ちゃんができるようなことはしていない。机の下に隠れて、メイドとして当然のことをしているだけだ。
実はレインもネイも、そのことには気づいている。ルクティも気づいている。というか、かしこさ150の知能で、「ご主人様とエッチなことをしても、奥様方は見て見ぬふりをしてくださる」と確信してやっている。
トッシュは二人のお嫁さんを大事にして、平穏な日々を送っている。ルクティとの関係はなんというか、あれだが、とにかくお嫁さんを大事にしている。ちゃんと三者合意の元、第一夫人のレインを最優先にしている。
特に深い理由はないが、なんとなく新ギルドには所属していない。
ドルゴが「自転車をこいで発電する機械」を買ってきたので、トッシュはそれをこぐ日々。たまにレインから依頼されて、誰かの戦闘業務を手伝う。
正式に社員にならないのは、奥さんたちと過ごす時間を減らしたくないから、と噂されている。
今日もギルドのメンバーが一階フロアで仕事を始めた。
トッシュはシルと一緒に家庭菜園にいた。
トッシュはいまだにいつものポケットでこぼこ服だ。シルは小学生女児って感じの普通のシャツとスカートだ。雑草取りやスコップなどの農具を入れるのに便利という理由でランドセルを背負っている。
「うっ……! わーーーーーーーーーーーい! キュウリ! キュウリだ!」
シルが雨ごい踊りのように両手足を振って歓喜した。
今日は待ちに待ったキュウリの収穫日だ。
少しずつ大きくなるキュウリを毎日見て楽しみにしていた。
トッシュはシルの笑顔を見てほほ笑む。
「昨日から、一気におっきくなったな」
「うん! ルクティが下のお口で食べているのより、おっきい!」
「……?」
聞き間違いということにして、スルーした。
「シルが作ったキュウリ、早く食べたい! 先に食べていい?」
「おう。二人で育てたんだ。遠慮するな。どれでも好きなのを、もいで喰え」
「うん! ……これ!」
シルはキュウリをとると、カピバラかハムスターのような顔をして、勢いよくガジガジと食べた。
「おいしい!」
二本目のキュウリを取り、今度はマヨネーズをつけてガジガジ。
トッシュもキュウリを収穫して食べた。
「うん。おいしい。ステータス編集する必要ないな。自分で作ったっていう思い出ポイントが加算されているのかもしれないけど、最高に美味しい」
「うん。トッシュのキュウリよりおいしい! あ。いじけないでね?」
「いじけないって。いや、まじで、自分で育てたキュウリの方がうまい」
「ね!」
ふたりはガジガジと仲良くキュウリを食べた。
「トッシュ、スマホ!」
「ん」
シルはトッシュの左太もも第一ポケットに手を突っ込み、中からスマホを取りだした。ネットはつながらないが、ダウンロード済みのアプリは使える。
シルはスマホをトッシュに向けて、トッシュがかがんで顔を近づけて顔認証をした。
シルは手慣れた様子で表計算ソフトを起動し、畑の見取り図を開く。
そこでは、どの畝にどんな品種のキュウリが植えられているか、しっかり管理されていた。
シルは指先をシュシュッと動かして、今食べたキュウリの列に『収穫開始。美味しかった』とメモした。
さて、もう一本行こうかなと思っていると、ガチャッと玄関ドアが開いてレインが出てくる。
「トッシュー。日本エリアでドラゴンが暴れているそうなの。悪いんだけど、ちょっと行ってきて。場所はスマホに送ったー」
レインのギルド用端末は衛星回線を使用しているため、ネットが使用可能だ。トッシュは日本エリアに移動すれば、レインが送信したメールを受信できる。
「ん。分かった。シルも行くか?」
「うん! YaaTubeでポイキュア見たい!」
シルはトッシュのポケットにタブレット端末を突っ込んだ。
「アニメ1話見切れるほど時間かからんかもよー」
「そのときは喫茶店、行くの! んっ!」
シルが両腕をばんざーいと上げた。
トッシュはシルの両脇を掴んで頭上に持ち上げる。
そして、日本エリアに向けてポーンと放り投げた。
「行ってきまー…」キラーン!
シルが空の彼方に消えた。
トッシュが駆けだそうとすると――。
「あ。帰りに、卵1パックと、牛乳買ってきてー」
「ん。分かった。じゃ、行ってくる。愛してるよ。レイン」
「ん。私も愛してる」
ふたりはチュッとキスをした。
唇で触れあうだけのつもりだったけど、つい、盛り上がって、ディープな感じのキスをしてしまった。
そして、トッシュが投擲してトッシュが地面でキャッチする高速移動をするはずだったが、シルは受け手が着地地点に先回りしていないことに呆れた。
「まったく、ふたりはちょっといちゃつき過ぎだと思う」
ぼやくシルの前で風が竜巻のように回転し、落下速度が緩やかになり、ふわりと地面に着地した。
スカートがふわりとめくれ上がってパンツが丸見えになりそうだったが、精霊が自主的に風でスカートを押さえたので、健全な感じに収まった。
シルはエルフの娘らしく、精霊を使役できるようになったのだ。
館では、シルによって召喚済みだった水の精霊が、いちゃつくトッシュとレインを無視して、家庭菜園に水をまいている。
こんな感じで、トッシュ達は末永く幸せな生活を続けていく。
完
◆ あとがき
ここで完結です。
10年後も20年後もみんな幸せに過ごしていると思えるENDになったと思います。どうだったでしょう。
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