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40話 トッシュはルクティとゾンビごっこをしていちゃつく

 月曜日の朝だ。

 トッシュは会社ギルド勤めの頃から別に仕事は嫌いではなかったから、特に憂鬱になったりしない。

 シルとルクティと一緒に、パンを食べた。


 朝食を終えたトッシュ達は3人でホームセンターに行くことにした。

 転居したばかりだし、新たな住人ルクティも増えたので、まだまだ身の回りの品が不足している。


 車が苦手なシルをルクティに任せてフードコートで時間を潰してもらい、トッシュは車を借りて荷物を輸送した。


 思いつく限りの必要な物はひととおり揃えることが出来た。

 それでも先日ダンジョンでレッドドラゴンを倒した報奨金が、まだちょこっと余った。残り僅かな貯金を崩さなくて済んだのはラッキーだ。


 大がかりな掃除はかつての仲間たちの協力のおかげで終わっていし、食器類を並べたり、カーテンを新しいものに変えたり、トイレに芳香剤を置いたりするのも、女性人たちが気を使ってやってくれている。


 だから、あとやることは生活の品質を上げることだ。


 トッシュが最初に取り掛かるのは……。

 家庭菜園の作成だ。もう、シルが畑を作りたくてしょうがなかったから、彼女の希望を聞いた感じだ。


 シルが棒で地面に線を引いて「ここ畑にする!」と宣言した個所をトッシュがクワで耕したり畝を作ったりして主に肉体労働だ。

 その間にルクティが屋内で「子供用の家具激突対策グッズ(とがってる場所に取り付けるクッション)」を設置したり、休憩用の紅茶を淹れたりする。


 充実した時を過ごすと、あっち間に日が沈み始める。


 18時頃になると懐中電灯の電池や洋灯の燃料が勿体ないので、トッシュ達はまだ眠くはないが、早めに寝ようとした。                                                                                                                                                   


 洋館には電気が通っていないので、陽が沈んだら寝て、陽が昇ったら起きる生活をするのだ。


 だが、布団に入って暫くすると――。


 もそり。


 ルクティが起き上がる。眠れない……。


 全裸でトッシュと同じベッドに入っているからではない。

 ルクティもまた全裸で眠る文化の出身者だから、全裸自体は問題ない。

 惹かれ始めている異性と同衾することに何も感じないかといえば嘘になるが、そこはメイドの自制心や人としての理性がある。それにルクティはレインを応援している。彼女が本妻になった後に、トッシュの浮気相手として数回秘め事をするくらいで、ルクティは満足する予定だ。


 いまルクティが眠れなくなっているのは、暗闇になるとどうしてもゾンビ時代の記憶が蘇ってくるからだ。

 忘れようとしても辛い記憶は、目に見えぬ深いところから亡者のように這い出てくる。


 ルクティの震えるような気配を察してトッシュも上半身を起こす。


「どうした。眠れないのか?」


「はい……。あの……」


「俺にしてやれることだったら遠慮せずに言ってくれ」


「はい……。あの……。その……」


「遠慮するなって」


「……はい。あの……」


 ルクティは何度も言い淀む。


 口を開いては閉じ、何度も何度も迷った挙げ句に、頬を朱に染めて上目遣いで訴える。


「噛ませてください」


「……ん? いまなんて?」


「噛ませてください。体がうずくんです。人を襲って噛みたいって……」


「あー。まだゾンビの時の習性が抜けきってないのか。分かった」


 トッシュはスキルで自分の防御力をいい感じに調整する。


「ほら、遠慮するな。寝転がった方がいい?」


「はい。仰向けでお願いします」


「分かった。ほら。どうぞ」


「それでは」


 もそもそ。

 ルクティはトッシュの腰の上に馬乗りに座る。ふたりとも全裸だから、ちょっとずれたら男のアレが女のアレにインしそうな感じだが、彼らは気づいていない。


 ルクティがトッシュの胸に伏せて、たわわな胸がもにゅんっと二人の間でつぶれる。

 二人ともゾンビ行為をする背徳感や、密着した胸に意識をとられているせいで失念しているが、下半身の方ではアレがアレしそうな感じで大変なことになっている。


「カプッ……」


 ルクティは、最初は遠慮しながら唇で首筋に触れて、

 それからゆっくりと自分の物だとマーキングするかのように舌先で唾液を塗っていく。


「はぁはぁ……」


 ルクティは恍惚とした表情を浮かべると、瞳に怪しい色を浮かべてから、ガブッ。ガブッ。


「な、なんか、くすぐったいな」


 黙っていたら頭がおかしくなりそうだからトッシュは口を開いた。彼は朴念仁だが、普通にエッチな気分になっている。エッチな気分にならないほうが無理だ。


「ガジガジ……」


 トッシュは、生理現象として大変なことになっている部分に触れ、スキルで落ち着かせた。もう、男だからしょうがないのだ。偶然インしちゃう危険だってあったのだ。

 その際、不可抗力でルクティのエッチなところまで触ってしまった。


 敏感なところを触られたルクティがビクンッと震える。


「なあ、俺は痛がったり苦しんだ方がいいのか?」


「はひ……。できれば、痛がってくださると、興奮します……」


「興奮するのか……」


「……硬い……。もう少し柔らかいと、もっと興奮します」


「分かった。防御力を少し下げる」


 トッシュはついでに、理性を上昇させ、性欲を低下させた。

 ぶっちゃけ、スキルで精神をいじっていなかったら、性欲に従ってルクティを襲っている。ゾンビ化の後遺症で苦しむ少女に、そんなことしたくない。


「ガブッ」


「ぐああああっ!」


 トッシュはシルを起こさないように声を低くして、苦しむ。

 もう性欲はないから大丈夫だ。手足をじたばたさせる。


「ガブガブッ!」


「ひいいっ。やだあ。死にたくないッ……」


「ガブガブ!」


「た、助けて……」


 ルクティは一度口を離し、反対側の首に噛みつく。


「血が……血がこんなにたくさん……。あ……あ……」


「ガブッガブッ!」


「あっ……ああっ……。助け…て……。母さ……ん……。うっ……」


「ぷふーっ。ありがとうございます。満足しました」


「うー」


「……ご主人様?」


「うー!」


「わ、私のせいで、ご主人様がゾンビに……」


「うーッ!!」


「きゃあっ」


 トッシュはふざけている。ゾンビのフリをして、ルクティの首筋に噛みついた。性欲ゼロだから可能な暴挙だ。


 もちろん害意もないので、歯形の残らないような甘噛みだ。


 がぶっ!

 がぶっ!

 がぶっ!


 おっきな胸の最もエッチなところも噛んでしまった!

 性欲がないから、普通に美味しそうな肉を齧っただけだ。


 どこからどう見てもエッチな行為だが、彼等はただゾンビごっこでじゃれあっているだけだ。


 もぞり。


 シルがみじろぎする。

 さすがに同じベッドで寝ていて、しかもトッシュとルクティが隣でいちゃついていれば目が覚める。


 しかしシルは寝ぼけた目でふたりの様子を見ると、すぐに半分瞼を開けたまま眠りに着いた。


 寝ぼけ半分ではあるが、シルは確かに、トッシュとルクティの行為を見ていた。


 次の日も、次の日も見た。


 そして、土曜日が来る。


 シルは覚えている。先週、レインが帰るときに「来週、来ますね」と言っていたことを。


 シルはレインが大好きだ。

 何故なら、他の大人達よりも自分の話を楽しそうに聞いてくれるから。


 だから、シルはこの一週間見てきた夜の出来事をレインに教えるつもりだ。

 二人が裸でぺろぺろしあっていることをレインに教えたら、いったいどんな反応をしてくれるのか、楽しみでしょうがない。

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