2話
視界がクリアになると、中学校の教室で席に座っていた。
彼は自分が中学校にいることに驚きと戸惑いを隠せなかった。
しかし、周囲の景色や臭い、音、教室の様子など、あらゆる感覚が彼に、かつて自分がこの場所で過ごした経験を思い出させた。
教師が呼び出す度に、教壇に立つ生徒がテスト用紙を受け取り、自分の席に戻る様子を見ていると、彼自身が中学生だった頃の感覚が蘇ってきた。
緊張感や、答案を受け取った瞬間の一喜一憂、そして教師とのやりとりなど、懐かしい感覚が胸に迫る。
そして、黒板に書かれた問題を見た彼は、ある程度予想していたものの、現実になったことに少し驚きを隠せなかった。彼が憶えていた国語のテストに、たたみと畳の問題があったのだ。
それに対する教師の補足説明も、彼の記憶にはしっかりと刻まれていた。
彼は、テストを受けながら過去の自分と重ね合わせ、自分自身に対してもう一度挑戦するつもりだった。
しかし、教師の言葉は過去と同じだった。彼が答えた畳を畳みと書いてしまったことに対して、教師は叱責の言葉を投げかけた。
彼は、過去に戻ってきたのだろうかという疑問が解消された一方で、過去の自分の苦い経験を思い出し、また同じ道を歩むことに戸惑いを感じていた。
しかし、彼は、自分がここにいることを受け入れ、今度こそは、国語のテストで全問正解を取ると心に決めた。
しかし、中学校の国語の知識などすでに頭の中に残ってはいない。特に定期試験の文章問題等は、事前に配布される教科書準拠の問題集の解答を丸暗記して臨んでいたのだ。
そのため、30歳の頭では逆に点数が下がってしまう。そう考えると背筋嫌なを汗が流れた。
その時、何やら頭の中にアナウンスが響いた。その声は低く、かすれたような音色を持っていた。
それは、まるで古びたスピーカーから流れるような音だった。彼は、自分が異世界に転生したことに驚き、そして疑問に思った。
どこかにステータスが見えるはずだと。試しに頭の中で(ステータス)と唱えてみた。しかし、何も反応がなく、彼は焦りを感じた。
声に出すことはできるが、周囲の人々から厨二病と思われてしまう可能性がある。頼む、出てくれ、と彼は内心で願った。
すると、突然、頭の中にステータスウインドウが表示された。そこには、異世界転生によって彼が獲得したスキルが記されていた。
彼は、スキル「最適化スキル生成」について読み、その特徴を理解した。彼が辛い思いをするたびに、対策スキルが生成されるという。
しかも、生成できるスキルは10個までという制限がある。早速、1枠使用済みだったことに気づいた彼は、枠が少ないことに不安を感じた。
そして、彼はもう一つのスキル「真偽把握」を読んだ。このスキルは、意識した事象の真偽を把握することができるという。
そして、会話相手の真偽も把握することができるという。しかし、詳細は把握できないという制限がある。このスキルは、二択問題を間違えることがなく、運転免許試験を楽にパスすることができるなど、様々な場面で役に立つことができる強力なスキルであった。
彼は、これらのスキルを用いて、30歳までに童貞を卒業することを目標とした。
彼は、中学生からのスタートであったが、同級生の女子と仲良くなることを目指して、頑張ることを決めた。
こうして、彼の第二の人生が始まった。彼は、異世界転生によって手に入れたスキルを駆使し、新たな人生を切り開いていくことになる。
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ちなみに、返却された国語のテストの点数は90点であった。他の科目のテストも返却されたが、平均点が95点であったため、国語が苦手な部類であることがわかった。
自分の周囲からの評価を知りたくなった煌は、時を遡って1週間ほど聞き耳を立てて過ごすことにした。その結果、彼が勉強ができるキャラクターとして認知されていることがわかった。彼の友人たちは、いつも煌がテスト勉強をしている姿を目撃しており、それが彼の評価を高める要因になっていた。
煌はバレーボール部に所属していた。最近、テストが返却された時にチームメイトから称賛されたが、彼女は国語の点数が低かったことを嘆き、嫌な態度をとられたことがあった。それからは、自分の発言に気をつけるようになった。
煌は毎日、朝練に参加し、体力づくりに励んでいた。
朝練は8:00から始まり、30分間行われた。今日は体幹トレーニングを中心に行われた。
煌は両手を伸ばして上体を持ち上げ、そのまま数秒間キープした。
その後、足を交差させて、また上体を持ち上げた。これを何回か繰り返し、腹筋を鍛えた。
夕方には夕練が行われた。夕練は、16:00から18:00までの2時間行われた。煌はスパイクの練習に取り組んでいた。
最初は打球が上手く当たらなかったが、少しずつ打球の軌道をつかんでいった。
煌は自分の足元に落ちるボールを蹴り、空中で受け取って、すぐにスパイクを打つ練習をした。
その後、コート全体を使って、自分の得意な位置からスパイクを打つ練習をした。
またある日の朝練では、煌たちはランニングを行っていた。煌は、他のチームメイトたちと一緒に激しく走り、汗をかきながら息を切らしていた。
彼は自分自身に「あと10秒だ、もう少しでゴールだ」と言い聞かせ、全力疾走した。ゴールに到達したときには、息が切れ、足が棒のようになっていたが、彼は自分自身に感心していた。
煌は、部活動に取り組むことで、自分の努力を示すことができた。彼は、自分自身に対しても厳しく、常に成長することを目指していた。
テストで低い点数を取ったことに不満を持っていたが、それ以上に、自分自身を磨くことに集中していた。
まあそれもすべて、根幹にあるのは異にニモテたいという本能的な欲求からきているのだが。