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敵襲


 地上に着くと同時にネイツさんやルル、ネルも到着した。


「って……ちょっとー!!」

「なんだ」

「降ろして!!……ぎゃあ」


 雑に地面に落とされた私は立ち上がりつつスカートの裾を叩く。


「担がなくても良いでしょ!!」

「なぜ」

「スカート!!デリカシー!!」


 今朝村娘風のワンピースに着替えていた私がエディに詰め寄ると急に口を塞がれる。


「んん!?」

「静かに」

「ん!?」

「いたぞ!!」

「ネル!!」

「あーいあーい」


 エディの声にネルが答えて次の瞬間辺りが眩しくなった。


「失礼しますね」

「えっ!!」


 ネイツさんの声がすぐ側で聞こえて体が浮く。


「ルル!!」

「あーい」

「ティナさん、私の首に手を回していてください」


 敵襲なんだ、逃げるんだ。


 命の危険を悟って横抱きされた私は手探りでネイツさんの首に手を回すと走り出すのがわかった。


 ザザッ──


 目が開けられるるようになってすごい早さで駆けていくのがわかった。


「向こうだ!!」


 上空からそう聞こえて上を見上げると鳥……いや、顔と胴体だけ人間の獣人が3人空を舞っていた。


「ルル、透明化を解いて」

「あーい」

「ネイツ、ティナを守れ」

「はい」


 鳥の獣人が羽ばたきをすると風が刃のように迫ってきて1メートルほど離れた空中で何かに弾かれた。


「私の力でシールドを張っていますが油断しないでください」


 ネイツさんが右手を上げてそう言う。


 エディが鳥獣人に向かって手から炎を連続して放つ。そしてエディの背中から羽が出てきて空に飛ぶ。


 ……羽?


「トカゲって羽あったっけ?」

「ティナさん、敵は他にもいます。気を付けてください」

「あ、ごめんなさい」


 羽に気をとられていた私の正面に牛と馬の顔をした獣人2人が降り立った。


「この2人か。まずいな……」


 ネイツさんが呟く。敵2人がニヤリと笑う。


「ネイツ、おねんねしてなくて良いのか?」

「毒、効いてるはずだよな」

「毒……!?」


 私を降ろしたネイツさんがキツそうな表情で見る目を追うと右太ももの辺りの服に血が滲んでいる。


「ネ、ネイツさん……血が」

「大したことはありません」

「でも、毒って……」

「主に比べればこのくらい」

「エディ……?」


 まさかエディも毒を?


 そう思って空で戦っているエディを見上げようとした私はいきなりネイツさんに腕を引かれた。


 シュッ──


 馬の獣人が放った矢が目の前でネイツさんのシールドで弾かれる。


「防いでるだけかネイツ!!」

「お前たちには失望した。国の仲間を他国に売って国にない毒薬や武器を買っていたなんて」

「輸入なんて普通だろ。ランダは古くさい上に閉鎖的なんだよ」

「この際密輸は良い。仲間たちは無事なんだろうな」

「さあ。俺たち売ってるだけだからどうなったかはしらねぇな」

「お前ら……くそっ、こんな毒なんて……」


 ネイツさんはそう言いながら立て膝をつく。


 やっぱりネイツさん無理してるんだ。


 どうしよう。私に何かできることは……。


「ネイツさん!!シールドを解いて!!魔力は生命力なんでしょ!!魔力を削っちゃ駄目です!!」

「そ……れは、できません。主から……あなたをお守りすると」


 ネイツさんはそう言うけどネイツさんが正面に向かって上げていた右手が下がっていく。


「くたばれネイツ!!」


 牛の獣人が矢を向けてきて私は咄嗟にネイツさんの正面に立って目をつぶって両手を横に広げる。


 だけど思っていた痛みはなくて目を開ける。


「エ、ディ……?」

「無事か?」

「エディ……!!」


 羽を広げて守ってくれていたエディを抱き締める。エディの羽や背中に矢が刺さっていた。


「エドモンドにトドメを!!」


 エディを抱き締める腕に力が入る。


 どうしたら──。


「主!!」

「主様!!」


 その声が聞こえたかと思えば目の前に女の狐獣人がいて牛と馬の獣人が男の狼獣人の一撃で倒れた。


「お前ら……間に合ったか」

「ああ!!おいたわしや主様!!なんというちんちくりんなお姿に!!」

「アホ!!主!!すぐに治療を!!」


 エディたちの仲間?良かった……。


 ホッとした私は力が抜けてへたり込む。


「おいティナ!?」

「主、彼女は?」

「こいつは我の命の恩人だ。命を懸けて守れ」

「「はっ!!」」

「へ?ちょっ、エディ!?」


 命懸けってネイツさんみたいなこ……そうだ!!


「ネイツさん!!ネイツさんが!!」


 ネイツさんは気絶しているようだ。


「どうしようエディ……っていうかエディも……」

「魔力の方は問題ない。問題は毒だな。我も毒が回り始めた」


 エディはそう言いながら自分に刺さった矢を抜いていく。


「主!!処置するので勝手に抜かないでください!!」

「民たちはどうなった?」

「皆無事とは言えませんが主のおかげでほとんどの民が地下に避難しました」

「ライザとネルダが主様の指示通り負傷者の手当てで残っていますよー。呼び寄せますか?」

「いや、どうにかなる」

「私が癒してあげましょうかー。こんなちんちくりんになっちゃって、お可哀想に」

「馬鹿。それより一時避難する」

「この森の先に小屋があります。一旦そちらに」


 狼獣人がネイツさんとエディを持ち上げると狐獣人が私を横抱きしようとする。


「あの、私は大丈夫です。エディが……」

「主様が大丈夫って言うので大丈夫ですよー。ちんちくりんはどうにかしなきゃですけど。さ、早く行きましょうね」





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