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妖精のくしゃみが人生を変える  作者: 柏木紗月
ランダ新生活編
50/55

特訓


「遊園地ねぇ」

「刺激的でキラキラしてて面白くて楽しい遊びができるところよ」

「うーん」


 あれ?駄目だったのかな。


 私はサリさんとルル、ネルとマナを起こしにきた。ルナシーさんはまたマナと喧嘩したら困るから王宮に残ってもらってる。


「マナ、遊園地は駄目だった?ローナから聞いたことある?」

「あーローナの前世の話?ローナは改革が好きだったけど私たちに前世の話はあまりしなかったわね」

「そうなの?エディにはしてたみたいだけど」

「それはあれよ。外に出れない竜王に外の話を聞かせるついでに前世の話をしてたのよ。暇潰しだって言ってたわ」

「暇潰し……仕事をしてたのでは?」

「付き人と言う名の話し相手よ。あまりに暇だから知ってる話を手当たり次第話して聞かせたんですって。あとで竜王が頭のおかしい竜人だと思われれば面白いだろうとも言ってたわね」

「それは……」

「あーそういえば主様ってー地下から出たあとなんで箒で飛ぶ魔女がいないんだーとか目からビームが出るやつがいないーとか言って頭がおかしいと思われてたらしいわー」

「……それは前世でも現実にはなかったわよ」


 そのせいで頭がおかしいと思われてたなんてちょっと可哀想だわ。


「って、そういうわけだからローナから前世の話はほとんど聞いたことがないのよ。遊園地ってそんなに楽しいもの?」

「ルル楽しかったー」

「ネルも楽しかったー」

「ふーん。どういうところが?」

「んーとねぇ、ネイツの背中に乗ってビュンビュン走るみたいだったよー」

「ジェットコースターって言うんだってー」

「ふむふむ……」

「それにグルグルするから目が回って面白かったー」

「グルグルっていったらコーヒーカップも楽しかったー」

「グルグル……」


 ルルとネルが両手を繋いでグルグル回る。


「お化け屋敷はティナが怖がってて面白かったー」

「ネルはルルとガオーってやったのが面白かったー」

「「ガオー」」

「ガオー……」


 ん?なんだか興味が出てきたみたい?


 私はサリさんと目を合わせるとお互い頷く。


「遊園地はデートスポットなのよー。獣人たちがイチャイチャドキドキできる場所がたくさんなのー」

「そうそう。定番のデートスポットで……サリさん、デートスポットってマナになんのメリットが?」

「マナは恋が大好きなのよー。気まぐれに獣人の恋を応援してくれるからランダのキューピッドって呼ばれてるのよー」

「なんと……そうなんですね。そういうことなら遊園地は恋人と1日中遊べて楽しめるし、夜はライトアップしてロマンチックに過ごせるのよ」


 するとマナが眠っていた石が光ってマナが姿を現した。


「良いわね遊園地」

「マナ!!」


 やった。マナが起きてくれた。


「思い切り良い雰囲気を作るために新しい花を生み出しましょう。そうと決まればティナ、早く特訓をするわよ」

「うん、よろしくね」


 んん?これ最初からデートスポットを考えれば良かったのでは?ま、良いか。


 こうして無事にマナを起こすことに成功した私はそのまま山猫一族が管理をしていた森にやって来た。


「なるほど。その魔法書はその人に必要な答えが必要な形で現れるのね。未来視に近いわ」

「未来視……獣人ゾンビのお化け屋敷もですか?」

「さあ。見たからってその通りにしなきゃいけないんじゃないし、そこは何でも良いんじゃない?それで、そこで見た花っていうのはどんな花だったの?」


 私は魔法書のことをマナに話していた。あの遊園地で見た花を思い浮かべて地面に花の絵を描いてみる。


「ユリみたいな花で赤とかピンク、オレンジ、他にも色んな色に光ってて」

「ふむふむ。わかったわ」

「できるの?」

「んー光らせるだけなら簡単よ。だってそこにネルがいるもの」

「ネル?」

「ネルがなにー?」

「なになにー?」


 果樹園の果物をひたすら食べていたルルとネルが呼ばれたと思ったらしくふわりと飛んできた。


「ネル、この種に魔力を込めてちょうだい」

「あいあーい」


 マナが異空間から取り出した種にネルが魔力を込める。それをマナが両手で握りしめてから手を開くと眩しいくらい発光した。


「これだけだとただ花に魔力を込めて光らせただけで光る花ができたわけじゃないわ」

「うん」

「ネルのような発光の力を使うのは間違いないけどそれだけじゃ駄目なのよ。その辺りは力を使いこなせるようになったら説明するわ。そもそも私たちの魔法は植物や土に干渉する力。極端な話、力を使いこなせるように訓練しなくても話しかけて自分の魔力をただ注げば効果が出るの。好まれる魔力ってことね」

「私ずっとそうやってやってきました。母もです」

「そう。力のことを知らなかったのはもちろんだけど制御をかけていたから大した力は出てないはずよ」

「制御?」

「ローナは自分の子供には人間として接するし獣人のことは話さないって言ってたの。特別な力は争いの元になるから子供もその子供も平和に穏やかに暮らしてほしいって」

「そうなんだ」

「でもティナはここで竜王と生きるって決めて力を使いこなしたいのよね」

「うん」

「それなら解放しちゃいましょう」

「解放?」

「ええ。私が生み出した薬草でローナの血、土や植物が好む味を薄めたのよ。ローナは完全に消して良いって言ったんだけど私がローナに言わずに勝手に決めたの。だってローナの子孫がローナみたいに馬鹿な男に騙された時に自衛できないと可哀想だと思ったんだもの」


 きっと人間ならそれも人生なんでしょうけどね、とマナは言う。


「マナ……。私やお母様はこの力のお陰で生きられたわ。だからありがとう」

「この力のお陰で?」


 私は屋根裏部屋での暮らしのことを話す。


「なんてこと!!あの馬鹿王子の子孫はやっぱり大馬鹿だわ!!大馬鹿の国の人間も大馬鹿!!信じられない!!あの時もっと報復しておくんだった!!」


 怒ってくれるマナを宥める。


「ルルがいたし大変なことばかりじゃなかったの。だから平気よ」

「もう!!確かヒアラル鉱山行きになったのよね。あとで報復してくるわ!!」

「えっと……ほどほどにね」

「ふん。さ、そういうことだからこの薬草を煎じて飲むのよ」


 そう言ってマナが差し出した薬草を煎じて飲む。


「……特に何も変わってる気はしないけど」

「それで良いの。変わったと感じるのは土や植物の方よ。種をたくさん渡しておくから今日から種に魔力を与えたり話しかけて植物に好かれるようにするの。魔力を与える量で成長スピードが高まったり効果がたかまったりするけど初めから与えすぎるとチョロいと思われて魔力を必要以上に吸いとられるわ。だから魔力を与える時は量を調整して」

「わかったわ」

「じゃあ今日はここまで。私はヒアラル鉱山に行ってくるわ」

「え、今から?」

「もちろん。じゃあね」


 マナはそう言ってすぐに飛んでいってしまった。


「ま、良いか。サリさん、私しばらくここで練習してみます」

「わかったわー。頑張ってー」

「ルルも応援するー」

「ネルもー」

「ありがとう」




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