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妖精のくしゃみが人生を変える  作者: 柏木紗月
ランダ新生活編
47/55

図書室


「刺激的でキラキラしてて面白くてぞくぞくわくわくする遊び、ですか……」

「はい。何か思い付きますか?」

「そうですねぇ……」


 翌朝ネイツさんに聞きに来た。ネイツさんは何でしょうね、と考えてくれる。


「そんなの叩き起こせば良いだろ」

「駄目よ。暴力反対」


 エディがまた物騒なことを言ってくる。


 ここはエディの執務室。仕事の途中に邪魔するのは申し訳ないと思ったけど同伴してくれるサリさんが事前に伝えてくれていた。


「本当に野蛮ねぇ。それにマナは核になってるから物理的に叩き起こすことなんてできないわよ」

「燃やせば飛び起きてくるのではないか?」

「主……。ティナ様、マナはルナシーと同時に生まれた古い妖精ですが思考は幼くルルとネルと似通っていると思います。ルルとネルが思う遊びがマナにも刺さる可能性はありますけどね」

「ネイツ、あなた私を古いって?」

「あ……」

「あ、あの、古いってどういうことですか?」


 ルナシーさんがネイツさんに掴みかかろうとして私は慌てて止めにはいる。


「バジーリオの次に生まれたのがルナシーとマナだ」


 私の問いに答えたのはエディ。


「そうなの?じゃあルナシーさんとマナはみんなのお姉さんなんですね」

「まあそうなるわね。古いって言われるのは心外だけど」

「すみませんルナシー」

「まあ良いわ。エディだったら容赦しないけど。エディは昔から力でねじ伏せようとするから嫌よねぇ。野蛮だわぁ誰が育てたのかしら。あら、私だわ」

「ルナシーさん……」


 ルナシーさんもエディと似た者同士なのではと思うけどみんな何も言わない。


「主様ー何を書いてるんですかー?」

「メメに渡してくれ」

「メメにー?あーそういうことですかー」


 エディが何か書いた紙をサリさんに手渡す。


「メメさんって?」

「図書室の司書をしてるヤギ獣人なのよー」

「図書室の司書?」

「うむ。我はルナシーと違うからな。ティナ、この王宮内に図書室がある。そこにはランダの者が書いた書物や他国から盗んだ書物が多くあるのだ」

「盗んでるのではなく捨てられている書物を拾ってくるのですよ」

「そうなんですか?」

「鳥獣人が散歩がてらに拾ってくるんです。一応他国の情報ですので主が交渉して捨てられてるものなら自由に持ち出して良いことになっているんです」


 交渉って言うときネイツさんがエディを何とも言えない目で見ながら言う。


「図書室に魔法書がある。知りたいことを考えながら開くと己に必要な答えが示されるという。500年ほど前にそんな書物を拾ってきたはずだ」

「ああ、そんな書物がありましたね」

「蔵書は多い。司書のメメに聞いてもわからないかもしれないが一応聞いてみると良い」

「ありがとうエディ」

「ふん、どうだルナシー。お前と違って我は理性的だ」

「あら、私だってそうよ。失礼しちゃうわね」


 ルナシーさんとエディがいつまでも言い争っていそうな雰囲気だったからルナシーさんに先に行ってますねと言ってすぐ図書室に行ってみる。


「メメーこれ主様からよー」

「メー」

「あっ、食べちゃった……」


 図書室のカウンターにいたヤギ獣人がサリさんが差し出した紙を内容も見ずに食べてしまう。


「サリじゃない。今の紙には何が書いてあったの?」

「500年くらい前に書かれた魔法書を探してるのーって書かれてたのよー」

「魔法書ねぇ」

「あの、食べちゃったのは気にしないんですか?」

「あー良いのよー。紙が好きなメメに食べさせるために主様が上質な紙をくれただけだものー」

「太っ腹ね。こんな上質な紙をくれるなんてよっぽど重要な話とみたわ」

「そうよー何て言ったって主様の大事なティナが必要としてるんだものー」

「なるほどなるほど。あなたがティナ様なのね」

「あ、はい。メメさん、よろしくお願いします」

「よろしくー」

「ティナー、メメは私の幼馴染みなのー仲良しー」

「サリさんの幼馴染みなんですか」

「そうなのよ。サリのネイツさん落としにもここで協力したわ」

「ネイツさん落とし、ですか?」

「そうよ!!あの女子に大人気のネイツさんと付き合って結婚までしちゃうんだもの。サリって本当に昔から有言実行なのよね」

「ふふふー褒めてーもっと褒めてー」

「サリは凄いわ。竜王様の側近になるのも子供の時からの夢だったもの」

「えっへーん」

「そうだったんですね。どうして側近になりたかったんですか?」

「ふふーん。知りたいー?」

「はい。ネイツさんがいたからですか?」

「違うわよー。ネイツのことは側近になってから知ったんだものー」

「そうなんですか?サリさんが側近になる前はネイツさんは有名じゃなかったんですか?」

「違うわ。ネイツさんはずっと竜王様の側近で有能でイケメンだもの。サリがイケメンに興味がなかっただけ」

「え……」


 サリさんはきゃぴきゃぴした女子っぽく恋に夢中な子だったんじゃないかと思ってた。


「ルルとネルは知ってた?」


 ルルとネルに聞いてみる。


「ルル知らなーい」

「ネルも知らなーい」

「ルルたちが知ってるのはネイツにベタベタしてるサリだよー」

「むかーしの私はとっても人見知りで怖がりで引きこもりだったのよー」

「え、本当ですか?」

「ふふふー本当よ。だけどメメは活発でお転婆でねぇ」


 なんだか今の印象と逆な気がする。


「その日もメメに外に連れ出されて鬼ごっこに誘われてたんだけどー」


 メメさんと他の獣人たちと鬼ごっこを始めたサリさんは逃げるのに夢中で大木に登り自分で降りれなくなってしまったそうだ。


 サリさんを助けようと飛べる獣人を呼びに行ったメメさんたちを待っている間に暗くなって怖くなって泣いていたサリさんの元にやってきたのがサヨちゃんの前の未来視持ちのエディの側近だった人だったそうだ。


「テレシア様はねー未来視で見た可愛い狐ちゃんはあなたねーって私を慰めてくれたのよー。でも足を滑らせて木から落ちちゃってねー。そんな私を受け止めてくれてあなたは将来立派な竜王様の側近になるわー、一緒に働けるのを楽しみにしてるわねって言ってくれたのよー」

「そうなんですね」


 サヨちゃんの前の未来視持ちさんがサリさんの憧れの獣人なんだ。


「そうなのー。優しくて綺麗で憧れの女性なのよー」

「サリだけじゃなくて女の子はみんな憧れてたわ。羊獣人は頭が良くてスマートで力自慢の獣人とは違う魅力があったもの」


 あ、前の未来視さんって羊獣人だったんだ。ハルクさんの血縁の獣人かな。


「あーそれでねー頑張って側近になってーもっとテレシア様に近付きたくて本をたくさん読みなさいねって言われて図書室に通ってたのよー私ってーとっても勉強熱心よねー」

「そうですね、凄いですね」

「だけどーある日知っちゃったのよー」

「何をですか?」

「恋をよー!!テレシア様が旦那様と一緒にいる時に恋する乙女の顔をしてたのよー。何百年一緒にいても大好きなんだってー。だからテレシア様に近付くには恋をすれば良いんだって気付いたのよー」


 そう言うサリさんはよく知ってるネイツさんのことが大好きなサリさんだ。


「それでねー図書室で調べてみたのよー。テレシア様のように大好きな人っていうのはどうやったらできるのかってー」

「どうやったら……んー?どうやったらできるんでしょう。調べて見つかったんですか?」

「見つからなかったわー。それで仕事の休憩中にネイツに聞いてみたのよー。どうしたら恋ができるのかってー。そしたらねーネイツがねーふふふー」


 サリさんが可愛らしく笑う。


「ネイツさんはなんて答えたんですか?」

「ふふふー」


 思い出して笑って答えてくれないサリさんを見かねたのかメメさんがカウンターの席に座りながら私に合図して座らせる。


 床に立て膝をついてメメさんと目線を合わせるとメメさんは肘をついてニヤリとする。


「それなら俺に恋したら良い」

「きゃーっ!!」

「ネ、ネイツさんがそんなキザなことを?」

「すぐ冗談だって言ったそうですけどね。ネイツさんはテレシア様の真似してばかりのサリが面白くてからかっただけで普段はそんなこと言わないわ。とんでもなくモテる人ではあるけどね」

「だからその一言で恋しちゃった私がどんなにアプローチしても本気にしてくれなくてねーもー自分で言った癖に罪な人よねー」

「それは確かに……そうですね」


 ネイツさんがそんなことを言うのは意外だと思ったけど考えてみればエディと話してるときや側近のみんなで話してるときの気安い感じから身近な人に冗談を言ったりはしそうだと思った。


「そうよねー。まったくもー自分から焚き付けておいて酷いんだからー」

「それからサリさんはネイツさんのことが大好きになったんですね」

「そうよー」

「あら、まだ探してなかったの?」

「あらルナシー」


 ルナシーさんがやって来た。


「今サリさんがネイツさんを好きになったときの話を聞いてたんです」

「ああ、またなの。その話からのろけが始まって長くなるわよ。魔法書を探すんでしょ」

「あ、そうでしたね」


 そうだそうだ、魔法書を探しに来たんだった。


 でもサリさんとネイツさんの話はもう少し聞いていたかったな。


「残念だわーじゃあ今度ティナの部屋で夜通し話しちゃいましょー。メメも来たら良いわよー」

「あら良いわね。パジャマパーティーね」

「パジャマパーティーってあるんですね」

「もちろんよー。じゃあ決まりねー」

「はい」


 こうして今度3人でパジャマパーティーをする約束をして本題に戻ることにした。



「それで魔法書ってどんな魔法書?」

「知りたいことを考えながら開くと己に必要な答えが示されるって言ってたわー」

「うーん……見たことないわねー。でも魔法書ならこの部屋ね」


 メメさんはカウンターの下でごそごそ何かを探してると思ったら1つの鍵を見せてくれる。


「図書室の蔵書はすごく多くてね、カテゴリーごとにざっくり部屋が分かれてるのよ。これが魔法書の部屋の鍵。これをこの扉に刺して開くと魔法書が貯蔵されてる部屋に行けるわ」

「へぇ、魔法っぽいですね」

「わーティナー広い部屋ー」

「面白ーい」

「面白ーい」

「あ、ルル、ネル」


 ルルとネルが真っ先に扉を通って行く。


「そうでしょ。魔法書はえっと、5万冊あるそうよ。頑張って探してね」

「え!?5万!?」


 ルルとネルを追いかけようとしていた私はその数に驚く。


「ありがとーメメー」

「さ、ティナ行くわよ」

「あ、はいっ」


 ルナシーさんに背中を押されて扉を通る。


「……この中から探すの?」

「大丈夫よー。探し物って意外とこうパッと手に取ったものがそれだったりするのよー」


 そう言ってサリさんが近くにあった棚から本を抜き出して開く。


「これですか?」


 妖精が可愛らしく描かれた絵本のような本だ。


「タイトルは……魔法で天下統一……妖精王爆誕?」

「これはバジーリオを主人公にしたフィクションね」

「ルル読むー読んでー」

「ネルもー」

「後でね」


 まったく目的のものじゃなかったけどそこそこ気になる。


 ルルとネルも興味津々みたいだから後で時間があるときに読もうと脇に避けておくことにした。


「うん、地道に頑張って探しますか」




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