修行
ジャンくんの雷が私たちの頭上に落ちエディのシールドが防ぎジャンくんたちにエディが放った炎が襲った。
そして羽だけ残して獣化を解いたエディが私を横抱きして地上に降りた。
「ジャン」
「……はい」
「ディック」
「ごめんなさい竜王様……」
「我の背中にはティナがいた。見えなかったか?」
「見えました」
「見えました」
「ティナは山猫の力を持つが人間だ。人間は自分でシールドを出して身を守ることが出来ん。知らなかったか?」
「知ってます。昨日ティナ様に遊んでもらったし……」
「サリさんがシールドでティナ様を守っていました」
「それがわかっていながら何故雷を落としてきた」
「竜王様に挑むのに夢中で……」
「挑むばかりで頭が回らんやつに側近は勤まらん。獣人隊に入ることだ」
「やだ!!俺は側近になるんだ!!」
「だったらティナに謝れ」
「ティナ様ごめんなさい!!」
「ごめんなさい!!」
炎を放たれた時はどうしようかと思ったけど今獣人の姿をとっている2人は髪の毛が少し焦げている程度。
「良いのよ。2人は怪我は大丈夫?エディもいきなり炎を放つなんて酷いわよ。可哀想に」
昨日のハード鬼ごっこでこの子たちが強靭な肉体をしているのはわかっていても最強と言われているエディの力だ。
「平気だよ!!竜王様が本気で炎を放ったらもっとずっとずーとすごいんだ!!」
「かっこいいんだよ!!」
「ティナ、獣人はあの程度どうってことないのだ。故に我は悪くない」
子供より聞き分けのない大人がいる。
「エディ……」
「ティナ様竜王様と喧嘩しないで!!」
「しないで!!」
「えっと、喧嘩はさっきまでしてた……けど今はしてないよ」
「良かった!!」
「ふん。せっかく我がお前たちの相手をしてやろうと思って来てやったというのに」
臍を曲げてしまったみたいに拗ねるエディ。
「え!!本当に竜王様!!」
「ありがとう竜王様!!」
「いや、やはり気が変わった」
「「えー!!」」
「エディ。大人げないこと言わないで」
「だが子供の力とはいえ自衛の術がないティナには」
「だったら私が2人に罰を与えたら良いのよ。だって危なかったのは私なんだもの。そうでしょ?」
「うむ……そうだな」
「罰?」
「罰?」
「罰よ。2人とも私に撫で撫でさせられること!!」
「撫で撫で!!」
「撫で撫でが罰?」
「そうよ。私の気が済むまで撫でられること」
「わぁ!!」
「ティナ、撫でるというのは獣人にとって「知ってる知ってる」」
不満そうなエディの言葉を遮る。
「獣人にとってコミュニケーションなんでしょ。それにたくさん撫でることで体が丈夫になるって聞いたわ」
ルナシーさんとサリさんが昨日温泉に浸かりながら教えてくれた。
獣人は撫でることで体が丈夫になったりリラックスして精神的に安定する。だから赤ちゃんの時は特にたくさん撫でてもらうそうだ。
「この子たちが立派で強い大人になれるように撫でてあげたいの」
「いや、罰になってないのだが」
「良いの、私が撫でたいんだから」
「う、うむ。だがティナは我の妻で例え子供でも異性を撫でるのは」
「でも私はエディの奥さんでエディは竜王様でしょ。ランダに住んでるみんなを守ってる竜王様の奥さんなんだから子供たちが強くなれるように撫でてあげるのに何か問題があるかな」
「うむ……そうか?そうなのか?」
「そうよ」
「そうか。いや、しかしそれならそうだな、ただで撫でてもらうというのは……。うむ、お前たち、我に挑んでこい。我の力に耐えられたらティナに撫でてもらうが良い」
「わーい!!」
「やったー!!」
エディに相手をしてもらうのも撫でられるのも2人にとっては嬉しいことで、2人ともすごく喜んでくれた。
「竜王様!!行くぞ!!」
「よろしくお願いします!!竜王様!!」
「うむ。いつでもかかってくるが良い」
こうして始まった何か。修行、で良いのか。エディはきっと普段から挑んでくるジャンくんとディックくんの相手をしてあげているんだろう。
前より動きが速くなってるけどどうこうってアドバイスしてあげている。
「ティナ様、危ないので私がシールドを張ります」
「え?」
いつの間にか側にいたのは女性の狼獣人。
「あの……」
「息子の相手をしてもらってありがとうございます」
「あ、ジャンくんの?」
「はい。母親のリアです。弟もお世話になって」
「いえいえ!!サイネスさんにもすごく良くしてもらってます」
ジャンくんのお母さんでサイネスさんのお姉さん。
サイネスさんのお姉さんといえば獣人隊に所属してて勝手にオラオラ状態のサイネスさんみたいな獣人なのかと思ってたけど違ったみたい。
「弟は気が小さくて頼りないで……あっ!!ジャンてめぇ今のへなちょこ雷はなんだ!?そこ!!そう、いや甘い!!馬鹿野郎!!」
違くなかったみたい。
「あ、申し訳ない。ティナ様、攻撃が逸れてこっちにきては危ないのでシールドを張ります」
「えっと、ありがとうございます」
リアさんは私の後ろ以外にシールドを張ってくれた。
「それからこれを」
地面にハンカチを置いてくれる。
「こちらにお座りください。椅子の方が良かったですか?」
「え、いえ、良いんですか?」
「もちろん」
「ありがとうございます」
私はリアさんに敷いてもらったハンカチの上に座る。
こうして暫くジャンくんとディックくんの修行を見学しているといつの間にか子供の獣人がたくさん集まってきて、いつの間にかみんなでエディに相手をしてしてもらって思い思いのタイミングでそれぞれ休憩がてら私のところに撫でられにきて、満足したら修行に戻るという流れが始まった。
どうやら最初にジャンくんとディックくんとエディと話しているのを聞いていた鳥獣人の子供が、ここでエディが修行をつけてくれて私が撫でてくれるそうだよとランダ中の子供たちに言って回ったそうだ。
結果結構な数の子供たちが集まってきた。中にはコリエッタちゃんと従姉ちゃんもいる。
そんなわけで私は修行を見学しながらモフモフを堪能することになった。




