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妖精のくしゃみが人生を変える  作者: 柏木紗月
ランダ新生活編
35/55

うさぎ獣人


「そろそろ帰ろっか」

「ティナ様、良ければお土産にお持ちください」


 そう言ってハルクさんから受け取ったのはなんの変哲もないりんご……なわけないよね。


「これはなんだか元気が出る効果がありますよ」

「ざっくり……」

「まだ市場に出回ってはいませんが元気が出るだけでおかしなことは起きませんから是非」

「じゃあ……」


 まあ元気が出るだけなら……と思いながらカゴごと受け取ったりんごを持って森から出る。


「あら……」


 自然が豊富なランダ。足の長い大きな草の間から小さな丸いふわふわを見つける。


「んーないかなぁないかなぁ……あっ!!ティナ様!!」


 なんとも可愛い子うさぎが顔をだした。


 その子うさぎがぴょんと飛びはねると6才くらいの獣人の姿になって私に飛び付いてきた。


「ティナ様だぁ!!何してるの?」

「えっと、そこの森で果物を食べてきたのよ。あなたは?」

「んーとね、これ!!」


 その子は肩からかけていたポーチから藁で作られた小物入れのようなものを取り出して見せてくれる。


「ティナ様、この子はコリエッタ。見ての通りうさぎ獣人です。コリエッタのおうちは帽子作りをしているんです」

「帽子?」

「はい。ランダでは麦わら帽子と言ってポピュラーなアイテムなんです」

「へぇ、麦わら帽子!!」


 サクティラには麦わら帽子という存在がなかったから懐かしくなる。


「私はまだ練習中なの!!小物入れ!!」

「コリエッタちゃんが作ったの?」

「そうなの!!」

「凄い!!上手なのね」


 コリエッタちゃんは満面の笑みで喜んでくれる。とっても可愛い。


 獣人は年齢不詳だけどこの子はきっと見た目通り幼いに違いない。


「ありがと!!でもまだ完成じゃないの」

「そうなの?」

「飾りつけが必要なの。ピッタリなお花を探してるの」

「そうなのね。……えっとベルーナ」

「はい」

「コリエッタちゃんを手伝っても良い?」

「もちろんです!!」

「え!?ティナ様お手伝いしてくれるの?」

「うん、良いかな?」

「良いよー!!」

「じゃあルルとネルも手伝ってくれる?」

「あーい」

「あいあーい」


 ルルとネルはコリエッタちゃんの周りをくるくる回る。


「ルル、お手伝いするー」

「ネルもお手伝いするー」

「わぁ!!妖精さんもありがとー!!」

「コリエッタちゃん、どんなお花を探してるの?」

「可愛いお花!!」


 またざっくりな……。


「コリエッタ、大きなお花をどんって飾るのと小さなお花を散りばめるの、どっちが良い?」

「えっとねー小さなお花を散りばめるの!!」


 さすがベルーナ。着替えの時もコーディネートをしっかり考えてくれるしオシャレな子なのよね。


 こうして小さくて飾りに合いそうな花を探すことにした私たち。


 それぞれに探してコリエッタちゃんに見せる。


「どうかな?良いのあった?」

「うん!!みんな良いの!!」

「本当に?良かった」


 どうやらお眼鏡にかなったみたい。


「コリエッター!!コリエッター!!」

「あっ!!ママなの!!」


 コリエッタちゃんのお母さんが探しに来たみたい。


「まあ、ティナ様?」

「あ、はい」


 自分は知らないのに相手が自分のことを知ってるって不思議だ。


 というかなんでみんな私がティナだってわかるんだろう。見慣れないからかな。


「ママ!!ティナ様たちがお花探してくれたの!!」

「ルルもお手伝いしたのー」

「ネルもお手伝いしたのー」

「あらまあ、皆さんありがとうございます」

「いえいえ!!」

「ママ見て!!可愛いでしょ」

「ええ、可愛いわね」

「そうだ!!お礼がしたいの!!」

「そうね、ティナ様、是非お礼をさせてくださいな」

「え!!そんな、良いですよ!!」

「えーティナ様にお礼したいのに……」

「うっ……」


 コリエッタちゃんの耳がしゅんってしてしまってる。申し訳ないことをしてる気になってきた。


「ティナ様、良ければ帽子をもらっていただけませんか?」

「帽子をですか?」

「はい。私は帽子作りをしているんですよ。それに長女もティナ様にお礼をしたいと申してましたし」

「長女……」

「ティナ様にお礼ができたらお姉ちゃんも喜ぶの!!」

「あ、ティナ様、コリエッタの姉は優秀な治癒師なんですよ。諜報員としても竜王様にお仕えしてるんです」

「え?もしかしてネルダさん?」

「はい、そうなんです」

「わあ!!ネルダさんのご家族だったんですね。うさぎ獣人だから知り合いだとは思いましたけど」


 ネルダさんとは分かれて動くことが多かったからあまり話せてないけど。


「あれ?でもネルダさんがお礼って?」

「それはもちろん竜王様のお嫁さんになってくださったからですよ!!」

「え」

「ランダのみんな、ティナ様に感謝してるのですよ!!」

「そうですよティナ様」


 ベルーナまで同意する。


「そこまで?」

「ロイド様が王になっていたら私たちはこんなに平和に暮らせていません。エドモンド様が生きてロイド様を倒せたのはティナ様のおかげです。みんなとってもとっても感謝してるんです!!」


 そっか。みんな穏やかに暮らしてるみたいだけどずっとエディとロイドが戦っていたんだもんね。


「えと、それじゃあ帽子をいただいても良いですか?」

「はい!!」

「でもやっぱりエディと結婚したことに感謝されるってちょっとあれなので私から贈り物をしても良いですか?」


 私はハルクさんにもらったりんごを差し出す。


「ハルクさんがなんだか元気がでる効果が……って待って。そんな眉唾物を贈るのは駄目か」

「まあ!!ハルクさんの新しい品種改良ですか?」

「そうなんですよー。まだ売り出し前ですよー」

「ティナ様、こんなに素敵なものをいただいてよろしいんですか?」

「え?素敵?」

「ティナ様、品種改良した果物は人気なんですよ」

「そ、そうなの?でもよくわからない効果だし」

「それが良いんですよ!!」

「そうなの?じゃあどうぞ」


 引っ込めようとしてた腕を戻す。


「ありがとうございます。帽子は作ってお持ちしますね」

「ティナ様また遊ぶの!!おうちに遊びに来てほしいの!!」

「え、良いの?良いですか?」

「ティナ様がよろしければ」

「そしたら帽子が出来たらおうちに伺っても?ベルーナ、予定を調整してもらっても良い?」

「はいっ了解です!!」


 そして私はコリエッタちゃんにまた遊ぼうと約束して王宮に戻った。




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