与えられる罰
「セントス様、セントス様の方はどうでしたか?」
エディたちはあくまでもロイドとロイド配下の獣人たちを捕らえるために動いていた。
だから人間のことは私の家族とマルクス以外はセントス様に任せていた。
セントス様はローナが守ったこの国をスレイブ様が良い方向に導けるように一掃することにしたのだ。うさぎ獣人のネルダさんも協力していた。
「私が妖精の乙女になる前まで誘拐されていた人たちは?」
「ええ、地下で働かされていたので保護しました」
「良かった。無事だったんですね」
「はい。王族と共謀していた教会も片付けましたし人間的に悪い人間は人間風に処罰することにしました」
言い回しが人間じゃない妖精ならではだ。
「おいルナシー、そっちはどうなったんだ」
相変わらず悪役っぽい高笑いをしていたルナシーさんがエディに答える。
「そこにいるじゃないの」
ルナシーさんが指差す方には獣人たちが不自然に立っていた。
「まだ私の能力にかかったままよ」
「そういえばルナシーさんの能力ってなんなんですか?」
「私にぴったりな力よ」
「ぴったり……?」
なんだろう。
「ほら、私はそもそも美しいけどみんなが私にかしずくような」
「あっ、異世界あるあるの魅了とか!?」
「残念。幻惑よ」
「幻惑ですか」
「このエディたちも服従するしかない私に相応しい能力でしよ」
「我はそんなことしない」
「そんなことないわよ。子供の時なんてもう止めてくれーって何度もすがってきたじゃない」
「してない」
頑なに否定するエディ。ルナシーさん、一体どんな能力の使い方していたんだろう。
「主、こいつらの処罰は?」
「うむ、ヒアラル鉱山で良いだろう」
「ヒアラル鉱山?」
「ランダにある雪山だ。獣人隊の訓練場としても使っているがそこで100年働かせる」
「100年……」
「獣人隊、連れていけ」
「「はっ」」
隊長さんの指揮で獣人隊がロイド配下の獣人たちを連れていく。
「さて、そやつらはどうしてくれようか」
エディはナンシーたちの元に向かう。
「ひっ!!」
今のエディの姿は角と尻尾が生えた状態だ。
「ば、化け物!!獣!!お、俺は王太子だぞ!!」
「きさまがマルクスとかいう愚か者か」
「ひゃっ!!」
エディが全身に炎を纏うとマルクスは悲鳴を上げる。
「ロイド様とはまた違うイケメン!!私はナンシーよ!!あなたを私の旦那にしてあげてもよくってよ!!」
「ああ?」
「ひっ!!」
突然ナンシーたちが床に這いつくばる。
「うっ……がはっ」
「や、めろ……」
これは何が起きてるの……。
「主の能力です」
「ネイツさん、エディの能力って」
「重力操作です」
「重力操作……」
それもハイスペックな能力なのでは。
「主は普段はあまり能力を使わないですけどね」
「そうなんですか?」
「普段物騒なことを言ってますけど基本争いは好まない質なんです。獣人の子供たちが恐れるような圧倒的な力は普段見せないようにしてるんですよ」
ネイツさん、でも、あの……。
「エディ、笑ってますけど。恐ろしい悪役の顔してますけど」
「時と場合によりますね」
ルナシーさんといいエディといいこっちが悪者っぽく振る舞いすぎなのでは。
「ティナ」
「な、なに?」
「そこの元国王と元王妃はどうしたら良い?こやつらはティナに何をした」
「んー2人はあんまり関わりなかったからなぁ。でも子供の責任は親の責任よね。王族はどの代も同じ思想の持ち主だっていうし」
「そうか」
エディがそう言うと国王……元国王たちが床にめり込む。
「ぎゃー!!止めろー化け物ー!!国王だぞ!!偉いんだぞ!!」
「私も王妃なのよ!!」
「我は竜王だ。世界一偉い」
傲慢さでは変わらないかも……。
「そやつらはどうしてくれよう。引き裂くか、頭から噛み千切るか」
エディがナンシー、マルクス、私の父、義母に目を向ける。
「わ、たしは……あなたの、妻に……」
「黙れ。我の妻はティナ1人だ」
「なっ……あんたが……」
「ティナの旦那、だと……」
ナンシーとマルクスは喋る元気があるみたいだけど父と義母は完全にエディを恐れて声も出せないようだ。
「あの2人はロイドに痛め付けられているので恐怖で動けないのでしょうね」
「エディ、早く処罰を決めてくれないかしら。私久々に能力使ったから疲れちゃったわ。ランダに帰って温泉入りたいの」
ルナシーさん自由だ。
「って、温泉あるんですか!?」
「ええ、あるわよ。美人の湯って言って美容に良いの。ま、私は元々美しいんだけど」
「私も温泉好きー。ティナも一緒に行きましょうよー」
「行く!!エディ、温泉だって!!懐かしい!!」
エディは私を見ると悪役顔じゃなくて優しく笑う。
「そうだな。こやつらに構ってるよりティナにランダを案内しなくては。こやつらもヒアラル鉱山に送るとしよう。だがやはりそれだけだと緩いからルナシー、あとで3日3晩幻惑をかけておけ」
「温泉で癒されてからね」
「ティナ、他にはどんな罰を与えるべきだ。人間は何を恐れる?」
「うーん、もう十分じゃないかな」
「そなたは甘い。もっと残虐な罰を与えるべきだ。火炙りはどうだろうか」
「……なんていうか、気が済んじゃったのよね」
「もう?」
「うん、確かにこの人たちには嫌なことばかりされたし許したくないんだけどエディがこんなに怒ってくれてるし。あ、そうだ、さっきナンシーとマルクスには雨を降らせたのよ。種飛ばしたのはルルだけど。あれで仕返しできたのよね。すっきりした」
近くにいたルルともう一度ハイタッチする。
「ルルのおかげー」
「ルルのおかげだわ」
「そうか」
「うん、それよりこれからのことを考えたいな。温泉にも入りたいしランダに早く行きたい」
「ティナがそう言うならそうしよう」
エディは重力操作の力を解いたみたい。みんなぐったりして何人か気絶してる。
「よし、帰るか。サイネスとライザはセントスと残って後処理を頼む」
いろいろ散らかしてしまったサクティラをセントス様とサイラスさんとライザさんに託した。
スレイブ様とアリシア様にまたすぐに会いに来ると伝えて私はエディに乗ってランダに向かう。




