王宮の外へ
囲まれてしまった私たち。サリさんとライザさんが応戦してくれる。
「サリ、ライザ、お前らこっちについた方が良いぜ」
「黙れ、裏切り者め」
牛の獣人にライザさんが答える。ライザさんは普段は丁寧な口調で物腰の柔らかい人だけど牛の獣人を睨み付ける。
「はっ、裏切ってなんかねえよ。元々俺はロイド様が王になるべきだと思ってた」
「主は両親のいないお前に目をかけてたんだぞ」
「残念ながら俺はあんな腑抜けを王だとは認めない。あいつにつくお前らもな!!」
牛獣人は周りの貴族たちも巻き添えにして突進してくる。
「サリ!!ティナ様たちを連れていけ!!」
ライザさんが鷹の姿になって翼を羽ばたかせる。突風が牛獣人を周りの貴族と一緒に壁に激突させる。
「ティナ、行くわよー!!」
「う、うんっ」
サリさんに促されて進む。
「ライザさん大丈夫でしょうか」
「大丈夫よー……痛っ」
「サリさん!?」
サリさんの体を鞭のようなものが襲う。
「もー厄介なやつにあたったわー」
「サリさんっ大丈夫ですか!?」
「あらーサリったらこんな時に子供と遊んでるなんて呑気ねー」
現れたのは女の狸獣人。その手に鞭を持っている。
「そんな発想になるなんてあなたの方が呑気なのねー。聞いて驚きなさーい。私は主様の奥方様を護衛してるのよー」
「奥方……?ふんっ、あの紛い物に妻なんてできるわけないじゃない」
紛い物……?
「主様は立派な竜王様なんだから!!それにネイツのお姉さんも素敵な人だったんだからー!!会ったことないけど!!」
「ま、もうこれからはロイド様が王になるんだからランダはあるべき姿に戻れるわ。だから邪魔しないで!!」
「そんなことにはならないわよー!!」
狸獣人の鞭がサリさんの手首に巻き付いてサリさんは狐の姿になって鞭を噛み千切る。
「ティナ、こいつバカだけど強いからーここで食い止めるわー」
「だ、大丈夫ですか!?」
「大丈夫ー、だって私の方が強いものー」
「ティナ様!!」
アリシア様の声にハッとした私の目に刀を振りかざす貴族が映る。
「ティナ!!」
そこにスレイブ様が貴族に体当たりして私の手を握る。
「行くよ」
「ティナ様……」
スレイブ様ともう片方の手を握るアリシア様が心配そうに私を見る。
うん、私の役目はアリシア様を連れて逃げること。あとはみんなの邪魔にならないようにする。
「サリさんも私たちを庇ってる方が大変よね。サリさん、ちゃんと強いんですから勝ってくださいね!!」
「任せてー」
いつも通りのんびりした返事を聞いて私たちは再び走る。
「また貴族たちだわ。どれだけいるのよ」
「ティナ様、大規模な集まりがあって国のほとんどの貴族が捕らえられたので……」
うじゃうじゃ現れる貴族に手当たり次第スレイブ様が石を投げる。
「はいアリシアはどんぐり係だよ」
「どんぐり……ですか?」
スレイブ様がアリシア様にどんぐりを渡しつつ石を投げつける。
戸惑うアリシア様だったけど思い切り投げつける。
私もルルとネルと種を投げつけながら進んでいくけど遂にまた囲まれてしまう。
「どうしましょうティナ様」
「あと少しなのに……」
「ティナ、妖精たちに力を使ってもらって」
スレイブ様が言う。スレイブ様には事前にちゃんとルルとネルの能力について話していた。
「そうですね。ネル、ルル、良い?」
「あーい」
「あいあーい」
「アリシア様眩しくなるので目をつぶっていてください」
「え?」
「ネル!!」
「あいあーい」
ネルの力で辺りが光に覆われる。
「ルル!!」
「あーい」
そしてルルの力で私たちは透明になる。
貴族たちが戸惑っている間に強行突破する私たち。
「アリシア様、もう目を開けて大丈夫です」
「は、はい」
目をつぶって私とスレイブ様に手を引かれて走っていたアリシア様が目を開ける。
「なにが……ってティナ様?スレイブ様?」
私たちお互いの姿も透明になっていて見えないからアリシア様の驚きはわかる。
「妖精の力で光を出して今私たちは透明人間になってます」
「透明……すごい」
「このまま外に出るわよ」
「はいっ」
そのあとに出くわした貴族を避けたり相手から何も見えてないところからいろんなものを投げたりして、私たちが王宮の外に出ると同時に透明化が解けた。
「よ、良かった……」
「出れましたね……」
「ほらティナ、のんびりしてないで」
「は、はい」
そうだ、エディのところに行かないと。
そこに空から鷹が数羽降りたってくる。
「ティナ様ですね」
「あ、はい。ライザさんのご家族ですよね?」
「はい。妻のミゼルダでございます」
エディのところにはライザさんの家族に乗せていってもらうことになっていた。
「ライザさんもサリさんもまだ中ですけど」
「2人なら大丈夫です。お三方を陛下の元にお連れいたしますね」
「よ、よろしくお願いします」
そうして私はミゼルダさんに、スレイブ様とアリシア様をミゼルダさんの娘さんと息子さんに乗せてもらってエディの元に向かう。




