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第六章(20) 気を遣うことの意味 By ジーク

「ごめんなさい。いつから、私たちは、ジークにあんな顔をさせるほど、結婚を押し付けていたのかしら・・・」

お母様に抱きしめられながら言われた言葉は、僕の考えすぎを自覚させた。

「・・・謝らないで、下さい。押し付けられていません。全部、僕が、勝手に」

「あなたも、気を遣うようになってしまったのね」

「・・・申し訳ございません」

エルザが気を遣うようになったのは、前世の人がそういう性格だったからなのだろう。

僕が気を遣うようになったのは・・・甘えてしまうのが、怖かったから。


「ジーク」

「・・・はい」

「結婚は、まだまだ遠いな」

「え?」

僕はお父様が何でそんなことを言うのか、わからなかった。


「そうね。まだまだ、結婚出来なそうね」

「あの、どういう意味ですか?」

「ジーク、あなたに近しい人にもそのような態度をとっているようなら、今以上に親しい人はできないわ」

「えっと・・・」

「気を遣う人を、減らしなさい。」

「ですが・・・」

「私にも親しい友はいる。彼にはいつでもくだけた話し方をするし、もちろん家族にも、くだけて話すようにしている。」

「私もよ。友達にも、もちろんあなたたちにも、くだけて話すわ。」

確かに、言われてみれば、仕事をしているときの両親と、今の両親の話し方は、違っていた。


前に僕に仕事で会いに来た人が僕とお父様をよく似ていると言った。

『しっかりと敬語が使えるところがね』と。


「ジーク。気を遣うとね、相手にも、伝わってしまうのよ。あなたがそう伝わっていい人なら、かまわない。でも、少しでも親しくなりたい人には、気を使うことを減らしなさい。」


そうか。僕は気が付かなかった。

僕の知っているお父様とその人が言っていた『お父様』が違うことに。

あの人は、父にとって、仕事関係の人なのだろう。


・・・僕は、仕事関係の人と同じように、お父様やお母様に話していたということになる。


だから、前に電話で話したときに僕の敬語を聞いてお母様は言ったんだ。

『甘えなさい』と。


「・・・ごめんなさい。お父様、お母様」

「今じゃなくてもいい。ゆっくり、婚約者を探すといい。あまり気負わずにな。」

「うん!」

「さて、エルザにも、同じ話をしなければならないな」

「エルザは、エルザのままでいいと思う」

「どうして?」

「だって、僕には入れない世界があるから。こっちの世界が入りすぎちゃうと、あまりよく思わない気がする」

「・・・寂しいけど、それもそうね」

「僕が後で、やんわりと話しておくよ」

「・・・ジーク、僕らに言わせてくれ。ジークはいつでもエルザと話せるだろう?」

「わかったよ。じゃあ、迎えに行こうか。」

「そうね。」


僕は、何年も前の僕に戻っていた。

ただ、ただ、普通の少年に。

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