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第六章(19) 僕の考えすぎ By ジーク

エルザが図書館にいると言って部屋を出て行った。

僕は部屋を出る前のエルザの言葉や思いがすぐには理解できなかった。

しかし、エルザが部屋を出て、部屋からエルザについている女中サヤと執事フェイも出て行ってしまうと、人数が減ってしまって、部屋が広く感じられた。


「・・・エルザが、少し、変わってしまったような気がするわ」

始めに声を発したのは、お母様だった。

「そうだな。なにせ、私たちがエルザと話すこと自体が十年近くなかったのだから」

「そうね。それも、また別の人の人生まで、感じているのだもの。私たちが変わってしまったと思ってもしょうがないわね」

「そうだな」

・・・僕の両親は、こんなに理解の良い人だっただろうか?


「ジーク、エルザはいつもああなの?」

「ああ、とは?」

「そうね、周りに気を使う感じというか」

「はい。いつものことです。」

「そうか。なら、エルザのその気遣いに甘えて、私たちも話そうか?」

「・・・はい」

僕の、避けてきた話題。

もう、逃げられない。

「別に、私たちはあなたにすぐに結婚してほしいわけではないのよ」

「・・・え?」

僕は、長男だから結婚しなければならないのでは?

「ジーク、あなたは今、どう思っている?」

「・・・長男の僕が、結婚しないことは、ありえないのではないかと」

「ジーク」

お父様の冷たい口調は、久しぶりに聞いた。

ああ、こうだった。

冷たい口調で名前を呼ばれたら、その時のお父様は・・・

「すまないね」


お父様は、なぜか、謝っていた。

「・・・何に対しての謝罪なのか、わかりません」

「ジークへの謝罪だよ」

「・・・何の、謝罪、ですか」

「僕らが、お話し好きなもので、ジークの小さな意見を聞く前に話を進めてしまったことに対しての、かな?」

「小さな意見・・・?」

「僕たちは、決して結婚しなくていいとは言っていない。」


・・・そうだ。

両親は、結婚しなくていいとは言っていない。

どうして、僕は『結婚しない』のだと思ったのだろう?

人の話はしっかり聞かなければいけないと、子どもでもわかっていることなのに。

将来この家を継ぐ者なのに、情けない。

「申し訳・・・」

ございません、その言葉は、お母様に抱きしめられたことによっていうことが出来なかった。


「ごめんなさい。いつから、私たちは、ジークにあんな顔をさせるほど、結婚を押し付けていたのかしら・・・・」


・・・そういえば、僕は両親から結婚について、何も話されたことはなかった。

話されたのは、ついこの間だ。

多分、両親が押し付けていたわけではない。

ただ、僕が、結婚について考えすぎていただけだ。

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