第六章(18) 本邸の図書館
「私のせいでお兄様の婚約者についてのお話がしにくい状況になってしまったこと、謝罪致します。」
私がそう言うと、皆、真顔になりました。
「私は図書館にでもいますので、お兄様の婚約者についてのお話しが終わりましたら、どなたか呼びに来てくださると嬉しいです。」
私はそう言って、席を立ち、部屋を出ました。
さて、図書館に行くとは言ったものの、図書館がどこにあるのかわかりません。そもそも、図書館自体があるのかどうかもわかりませんが、お母様が別邸の図書館を気に入っていたとサヤが言っていたので、お母様も本が好きなのではないかと思います。お母様が本が好きなのなら、本邸にも図書館があっておかしくないと思ったのです。
「エルザ様、図書館でしたら場所を把握しておりますので、行きましょう」
さっきまでいた部屋の前の廊下で立ち止まっている私に、一緒に部屋を出てくれたサヤが言った。
「サヤ、本当?でも、どうして?」
『エルザ様は必ず図書館に行かれると思っていましたので、場所を調べていたんです』
「そう。それならお願いするわ」
「はい!」
サヤの案内ですぐに図書館に着いた私は、少ししても中に入ることができないでいた。
「サヤ、ここって私が勝手に入ってもいいものなの?」
「入っていいと思いますよ。何よりここはエルザ様のご自宅ですから。」
「・・・そうね。」
そうでした。ここが私の家だったなんて、すぐに忘れてしまいます。ここに来ること自体、初めてなのですから。
私はキレイに装飾がされている扉を慎重に開くと、とてもきれいな空間がそこにはありました。
壁に沿うように立つ本棚や読書スペースにあるソファ、何より入口から入ったらすぐに目につくキレイなステンドグラスがとても綺麗で、私はその場から動けませんでした。
「あ、ここにいていいか、ここの人に聞かないと・・・」
「エルザ様」
図書館の人に聞こうと動き出したとき、声をかけられました。
「許可は降りました。ご自由になさって構わないようです。」
そう言ってくれたのは、もちろんフェイです。
フェイも私と一緒に部屋を出てくれていました。
サヤはというと、まだステンドグラスに見惚れていました。
「ありがとう。あなた達も、自由になさって。」
フェイにそう伝え、私は本棚の方へ足を進めるのでした。




