第六章(17) 私のせい
私は自分と律のことを少し認めてもらえたようで安心しきっていた。
その後お兄様の話になって、私は思い出した。
この間お兄様も、とてもお疲れの様子だったことを。
お兄様が何を思っているのか、私は知ろうともしなかったし、お兄様も言わなかった。
私とお兄様はいくつかわからないけれど、年が離れていて、私では相談相手にはならなかったのかもしれない。
いや、私が、お兄様を頼りすぎていた。
お兄様の負担を考えなかった。
だから、お兄様の考えていることを知りたくて、お兄様の言葉を待った。
「・・・独り身の僕が、結婚よりも先に家を継いでも良いのでしょうか?」
お兄様の発した言葉の意味を理解するのに時間がかかってしまった。
意味を理解しても、私も分からなかった。
結婚してからのほうが、安心といえば安心なのかもしれない。
私の婚約者問題よりも、次期公爵令嬢(?)みたいな役割があったほうが、役割目当てのお嬢様がお兄様につきまとう可能性があるから。
でも、ルールはどうなのだろう?
そう思っていると、お父様が教えてくれた。
独り身だからといって、家を継いではいけないというルールはないらしい。
知らなかった・・・
「そのことは知っていると思っていたのだが・・・」
お父様の言葉に私は固まってしまった。
これ、常識・・・?
なら、お兄様は知っていたってこと?
それなのにどうして今まで忘れていたのかしら?
・・・お兄様。
私はお兄様が心配になってきた。
その後お母様がお兄様は焦っていると言ったが、その後の詳しい話はせず、その場を濁した。
どうして、教えてくれないんだろう?
せっかくここまで呼んで話をしようとしているのに、大切な話しは濁すのは、どうしてだろう?
そう思ったとき、私は気がついた。
ああ、私のせいだ。
みんな、私に気を遣っているんだ。
私には、婚約者問題があった。
もしかしたら、お兄様も、婚約者について話されて疲れてしまったのではないか。
婚約者という存在が、みんな怖いのかもしれない。
酷い婚約者にしか、こっちで、私は出会って来なかったから。
それなら、私が席を外せばいい。
「申し訳ございません。」
私はまず謝罪する。
「エルザ?」
お兄様の心配そうな声が聞こえるが、一旦無視。
「私のせいでお兄様の婚約者についてのお話がしにくい状況になってしまったこと、謝罪致します。」
そう、これは全て私のせい。




