第六章(12) 僕たちが幸せになるには By ジーク
僕は、夕食後部屋に戻って考えていた。
お父様、お母様に言われて、僕にとってこの場所は、大事なものなのかどうか、考えていた。
答えは、『大事なもの』だった。
理由を考える。
ここを出てしまったら、メイスンなどのここの料理人はどうなる?
料理人だけじゃない。
ここで働いているすべての人が困ることになる。
本邸にも結構な人数の料理人などがいるから、僕たちがここを出たら、ここで働く人たちは、大体の場合は解雇だろう。
そんなことはさせない。
僕は、ここで働く人たちを守りたい
そんな当主としてあるべき考えが僕を悩ませているわけじゃない。
まず、ここの管理は僕に任せると言っていた。
だから、ある程度の人は守れるかもしれない。
全員は無理だと思うが、この話は一旦置いておこう。
次に、エルザのことだ。
エルザだって今悩んでいるだろう。
お父様とお母様の話から色々なことを感じて、考えているに違いない。
僕にできることならしてあげたい。
フェイとの結婚のことだって、まだ何も伝えていないのだから、そこも考えなければならないだろう。
最後は、僕の婚約話だ。
婚約というのは、個人の意見が通るものじゃない。
僕の場合は、多分政略結婚だ。
僕は結婚するには年が上過ぎるし、何より今まで僕には婚約者が一人もいないのだ。
今から仲を深めようにも無理がある。
だから、政略結婚だと思ったのだ。
正直なところ、僕は、エルザ以外好きになれない気がする。
だから、できれば結婚なんてしたくはないし、ずっとここでエルザと一緒にいたい。
でも、そんなことは許されない。
だから、いつかこんな日が来るのではないかと思っていたが。
ならなんでこんなに悩んでいるのかって?
この話をした両親の目が、話し方が、今までになくおかしかったから。
だから、僕は、簡単には判断できない。
何を決めれば、進むのだろう。
僕が好きなエルザは、どうしたら幸せになれるのだろう。
僕は、どうしたら幸せに暮らせるのだろう?
コンコンコン
ノックの音が僕の意識を現実世界へと引き戻した。
「はい」
「エルザとフェイです。入室の許可をお願い致します。」
「入りなさい」
二人が何用だろうか。
「とりあえず、座って話を聞こうか。」
そう言って二人を座らせる。
「それで、二人で何か私に話かな?」
「はい。」
そう答えたのはエルザだった。
「私、お父様とお母様に話そうと思います。私のこと。」
その言葉の意味を理解するのに、時間がかかってしまった僕だった。
皆様、明けましておめでとうございます
昨年は『秘密を抱えた令嬢エルザの生活日記』を読んでいただきありがとうございました
今年も面白い小説を皆様に届けられるよう精進致します
今年も何卒よろしくお願い致します
一ノ瀬桔梗




