第一章 (8) 普通の夕食
コンコンコン
「お兄様、こんばんは」
「こんばんは、エルザ」
お兄様は朝よりも疲れた表情をしていた。
「こんばんは、当主様、エルザ様。今日の夕食はパン、スープ、サラダ、魚フライでございます」
「メイスン・・・珍しいな」
「説明することで食べやすいと思いまして」
「説明にしてはざっくりすぎないか?」
「・・・食事の楽しみは味や食材ではありませんか?」
「確かに」
「今回からはこのように説明させていただきます。エルザ様、何か気になるもの、ありますか?」
「・・・魚フライは、白身魚かしら?」
「はい。エルザ様は白身魚の方がお好みだとお聞きしていましたので」
「そう・・・食べてみるわ。」
「はい!何かありましたら、食後に何なりとお申し付けください」
「わかったわ」
その言葉を聞いて、メイスンはすぐに厨房に戻っていった。
「エルザ、無理はよくないよ?」
「・・・え?」
もしかして、無理して食べていると思われているのかしら?
「僕が言い出したことだけど、急にそんなに食べる量を増やすと体に悪影響が出る」
「御心配には及びません。食べれるだけしか食べてません。一口、食べてみればいいのでしょう?」
「それなら問題ないよ」
「「国民と神に感謝します」」
始めに食べたのはもちろんパン。
わあ~、これはなんというパンかしら。朝のものとも昼のものとも違う味。
次にスープ。今日のスープはオレンジ色をしていた。
食べてみると、野菜の味がする。
これは・・・人参かしら?
次にサラダを一口食べて、魚フライを食べる。
わあ~。魚フライって、こんな味がするんだ~。
衣はパリパリなのに、中はふかふか。
おいしい。
「エルザ、魚フライはどうだったかい?」
私よりも先に食事を終わっていたお兄様が私に聞いてきた。
「・・・おいしいです。ただ、揚げ物はやはりたくさん食べるものではないです」
「まあ、そうだろうね。エルザからしたら、このフライを一つ食べるだけで十分だろう?」
「はい。油は重たいですから」
「そうだな」
「はい」
「エルザ」
私はそのままメイスンさんのところへ行こうとしたのに、お兄様に声をかけられた。
「はい」
「・・・話がある。メイスンに感想を伝えてから、私の部屋に来てほしい」
話・・・ああ、社交場に行くことかしら?
「わかりました。すぐに行きます」
「わかった」
今度こそ、メイスンさんに感想を伝えに行く。
感想を伝えると、メイスンさんはとてもうれしそうな顔をした。
そして、私はサヤと一緒にお兄様の部屋の前に来ていた。
こんにちは、一ノ瀬桔梗です。
今回もこの作品を読んで頂きありがとうございます。
ストーリー、いかがでしょうか?
今のところ平和な日常です。
まだ、この作品のキーワードの『恋愛』が出てませんね。
許婚はいませんし。
でも、今後ちゃんと出てきます。
次回の投稿もお楽しみに。
P.S
次の投稿は5月28日を予定しています。