第六章(10) 私はどうしたら良いでしょうか
私はあのあとゆっくりと寝る事で体調は少し良くなりました。
夕食の時間、いつもと同じようにダイニングルームでお兄様と夕食をいただきましたが、私もお兄様も言葉を発する事は始めたと終わりのご挨拶以外、ありませんでした。
とても気まずい雰囲気でしたが、その間に私は後で律にどう説明しようか、考えていました。
そして夕食後、私はサヤを連れてダイニングルームに行きました。ダイニングルームには律がいて、雰囲気を察してくれたのか、料理人の姿はありませんでした。
「・・・どうしてお母さんまでいるんだよ」
「柚紀ちゃんが心配だったからよ。」
「・・・なら、しょうがないか。」
律はお母さんがいることに少し嫌な顔をしながら、そう言った。
私は律と向かい合う席に座った。
サヤは私の後ろに立った。
「柚紀、聞きたいこと聞くから、話せることだけでいい。話してほしい。」
私は頷く。
「・・・今日、何があった?」
こういうとき、どこから説明していいのかわからなくなる。でも、できるだけ伝わるように、話そうと思った。
「今日、本邸に戻ってこないかって、言われた。」
「・・・」
「私は、ずっとここにいる訳にはいかないそうなの。だから、今回のことをきっかけに本邸に戻って来るのはどうかって、言われた。」
「・・・戻るのは、駄目なことなのか?」
え?
「本邸に戻ることは悪いことではありません。本当のことを言うと、別邸で過ごしていらっしゃる方が普通ではありません。」
「そうなのか・・・。柚紀、なんで戻りたくないのか、教えてもらってもいいか?」
そう言われて私は考える。
私の婚約者騒動が無かったら、私達はそもそもここで過ごしていないわけだし、律が思ったように、普通に戻ればいいのかもしれない。
でも・・・
「確かにここにずっといることはできないし、そもそもここにいなかったかもしれない。でも、私はここが好きなの。柚紀としても、エルザとしても楽しく過ごせる場所なの。お父様もお母様も私の、柚紀のことは知らない。そんな中で暮らしていくことは辛いと思うし、何より、サヤやフェイと、こうして話せないかもしれないことが辛い。」
そういうと、律も律のお母さんも黙ってしまった。
私がエルザだけでなく、柚紀だからそこ複雑で、難しい問い。
何が私にとっていいのか、分からなくて、苦しい。
どうすれば、いいでしょうか・・・
そう悩む私でした。




