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第六章(6) お母様のテンションと私とお兄様

「仲が良さそうで良かったわ」

そう言って入ってきたのは、男の人と女の人だった。

「いつから聴いていらしたのですか、お母様。」

お兄様が女の人に向けてそう言う。

「まあいいでしょ。」

私はその会話についていけなかった。

ここに、私がいてはいけないような気がした。


前に、サヤが言っていたことを思い出す。

私は婚約者の人に色々と巻き込まれて、旦那様と奥様がお兄様の当主経験も兼ねて私は本邸から隔離されたのだ、と。

やっぱり、お父様もお母様も、私ではなく家を守りたかったのではないだろうか。

私は、結局・・・

「お母様、エルザが困っています。話はお茶を飲みながらでもいいでしょう?」

「ふふ、ええ、そうね。ごめんなさいね。なら、場所を移動しましょう。付いてきて。」

そう言って、二人は先に部屋を出ていった。

私も、ついて行かないと。

そう思ったとき、私はお兄様に手を掴まれていた。


「・・・ごめんな。なかなか、話についていけないだろう。お母様はただ、テンションが上がっているだけなんだ。」

「私、ここに、いて、いいんでし、しょうか・・・」

「いてくれ。」

意外と早く返事が返ってきて、顔を上げる。

「エルザがいないと僕もここは息が詰まる。こういうのは短期間だからいいんだ。こないだは良かったんだがな。今日は、流石にしんどい。エルザが帰るって言うなら、僕も帰る。」

「・・・帰るだなんて、言えません。逆に、次はもう少し時が経ってからにします・・・」

そう言うと、お兄様は笑った。 

「うん、そうしよう。だから、俯くな。」

「そんなこと、言われても・・・」

「それなら、僕の顔を見ていろ。そしたら前向けるだろ?」

そう言われて考えた。 

「・・・恥ずかしいので遠慮させてください。一人で頑張ります。」

「よし。行くか。」

「はい。」

私は笑顔でお兄様の顔を見る。

「・・・かわいい」

「何か?」

「ううん。なんでもない。」

お兄様が何か言ったような気がしましたが、何でもないというのです。気にしないことにします。

私はお兄様がなんとなくお茶を飲む時に使いそうな部屋だと言う部屋を探していますが、なかなかお父様とお母様を見つけることはできませんでした。

少しすると、私達をはじめに案内してくれた女中さんが、私達を見つけて声をかけてくれ、やっと合流することができたのです。

「遅いわよ、二人とも。」

「すみません。」

「さあ、座って。美味しいお菓子を沢山用意させたの。」確かに、美味しそうだった。

「まあまあ、落ち着こう。ジーク、エルザ、先ずはゆっくりいただこうじゃないか。」

お父様の一声でお母様は少し静かになり、ゆっくりとお菓子を食べることができたのでした。

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