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第五章(14) これは、僕が罪から逃げている夢・・・ By フェイ 

『この世界だよ。』


この声は・・・・・

 

「柚紀?」


『そうだよ』 


「お母さん、冗談、やめろよ。柚紀は・・・・・」


『私たちが初めて会った場所』

「え?」

『私が、柚紀と律が、この世界で初めて会った場所』

「え?」

『そこにいる。』

「・・・・・・・」

『来て。信じてないんでしょ?』

「わかった。」


僕は電話を切る。

柚紀の声に聞えたのは、嘘だ。

僕が、お母さんの声を、柚紀の声に聞えただけだ。

いつもは、そんなことないけど、今回は柚紀を失ったばっかりだ。

脳みそも、おかしくなってる。


柚紀は死んだんだ。

僕のせいで。

でも、そんなこと、言えないから、お母さんたちが、僕を励まそうとしているだけだ。

だから、僕は、励まされに行かないといけない。

最期に、お別れは言っておかないとな。


さて、僕が柚紀に会ったのは、初めて仕事に呼ばれた時の、ジーク様の部屋だ。

でも、ジーク様の部屋には鍵がかかっているだろうし、鍵は多分ジーク様自身が持っているだろう。

入れるとしても、入りにくい。

本人がいないのに、ジーク様のお部屋に入るなんて。


じゃあ、どこだ?

僕たちがあった場所なんてこの家のあちこちに・・・・・


あ、わかった。

僕は思いついた場所に行った。


護衛がいて、ドアが開いていた。

僕は深呼吸して、中に入る。


「思ってたよりも遅かった」

そこには、柚紀がいた。

「柚紀・・・・・」

「何?」

夢、なのか?

本当に、柚紀なのか?


「まだ信じてない?」

「・・・・・・」

「さっき、何があったんだ?」

僕は聞いてみることにした。

「滝に落ちた。」


やっぱり、これは夢なんだ。

涙が目にあふれる。


「でも、助かった。」 

え・・・・・・

夢じゃない?


「メックレスが、助けてくれたんだ。私を覆って、その上、場所を移動してくれて。その場所にお母さんたちが来て、ここに連れてきてくれたの。」


本当、なのか?

いや、でも、夢だ。

僕が、自分の罪から逃げようと思って生み出した、夢。


「本当ですよ。」

そう言って部屋に入ってきたのは、柚紀のお母さんだった。

「え?」

「だから、柚紀は死んでいません。」

「でも・・・」

「律くん。嘘じゃないんです。柚紀は、いまそこにいます。」


何でだろう。

柚紀のお母さんに言われると、そうなんだって、思える。


僕は柚紀に近づいた。

「柚紀?」

「律」


名前を呼ばれて、僕は柚紀を抱きしめた。

ちゃんと、形があった。

「夢じゃない?」

「夢じゃないよ。私、生きてるよ。私たち、生きてるよ。」


その言葉に、僕は涙が止まらなくなった。



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