第五章(12) 柚紀はどこへ行ったんだ・・・ Byフェイ
「最後に言うことはあるか?」
その質問に、父が、なんと答えるのか、少しだけ気になった。
「特にない。」
何も言わなかった。
・・・謝罪もないのか、この男は。
僕や、柚紀や、お母さんたちにも、なにもないのか。
別に、謝罪が欲しいわけじゃない。
もう二度と会いたくない。
「そうか。」
軍の人が父の肩を滝の方へ押した。
ああ、これでやっと平和になる・・・・
そう思ったのに。
隣を見ると、さっきまでそこにいたはずの柚紀がいなかった。
「柚紀?」
僕は周りを見渡して、名前を、呼ぶ。
・・・・・・・
返事はない。
あ、エルザと呼んだ方がいいか。
「エルザ?エルザ!!」
返事はやはりなかった。
どこに行ったんだ?
「あの、フェイさん、エルザ様見かけませんでしたか?」
その時、柚紀の護衛の女の人が僕に話しかけてきた。
「僕も今探してるんだ。僕も見失った。」
「そうですか・・・隣にいましたよね?」
「うん。でも、気がついたら、いなくて。」
「私、侵入者が滝に落ちてすぐ、目を開けたんです。そのときにはいなくて・・・・」
そう。もちろんだが、この国から追放されるということは、普通、喜んで良いことではない。だから、目をつぶってお祈りすることになっている。
『次の場所で、罪を償えることを祈って。』
と。
「あの!!」
その時、僕たちの間に割り込んできたのは、さっきまで柚紀に付いていた護衛の男の人でした。
「何?今話し中ですよ。」
「すみません。さっき、周りの人に話を聞いていたら、エルザ様を見た人がいました。」
「え!何処で!!!」
僕はつい、大きな声になってしまう。
「それが・・・」
「早く言いなさい!!」
女の護衛の人も同じく大きな声を出す。
「滝に、落ちたって・・・・」
「「・・・・」」
滝、落ちる、誰が?
・・・柚紀、が?
「この話を教えてくれた人、この世界に来たばかりの人で、お祈りが分からずに、見てたそうなんです。そしたら、男と女の子が滝に落ちていったって。」
「・・・それ、ほんと、なのか?」
そんなわけない。
そんなわけない。
柚紀があの人と一緒に落ちるなんて、そんなこと、しない・・・・
あ・・・・
ああ。
違う。
そうじゃない。
一緒に落ちたんじゃない。
落とされたんだ。
あと人に。
・・・僕の、父に。
「あ、あ、」
ああ、まただ。
また僕は、近くにいたのに、助けられなかった。
「うあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!」




