第五章(8) 急にフェイに呼ばれた私は・・・
「エルザ様、今よろしいでしょうか。」
私は急に声をかけられて、一瞬、固まった。
私、呼ばれた。
フェイは、私を紹介する気なのね。
なら、私は、親しくしてはいけない。
前のように、フェイに警戒心を抱いていた時のように。
「少しお待ち。」
とりあえず、そう答えておいた。
さあ、どうする・・・
行くしか、ないわよね。
「エルザ様、今動かれてはなりません。侵入者に接触されるおつもりですか?」
動こうとしたとき、こないだから私の護衛になった、女の人に言われた。
「ええ。」
「なぜです?」
「フェイが、私の言うことを、約束を、守ってくれているの。そこに、私が必要だと呼ばれたの。行かない理由はないわ。」
「ですが・・・」
「あなたは、ここにいて。何かあったら、例のサインをする。あなたの次に強い人、どなた?」
「彼です。」
そう言って、女の護衛の人は、細くて小柄な少年を指した。
「わかった。私は彼と行くわ。それでいい?」
「わかりました。」
許可が出たので、私は後ろに彼がいることを確認して、フェイのいる方向へ歩き出した。
「フェイ。何事ですか?」
「すみません、エルザ様。こちらの方を、紹介させていただきたくて。」
「紹介?」
「はい。よろしいですか?」
「かまわないわよ。」
こんな感じかしら。
距離感がつかめない。
でも、もういいわ。このまま話をさせましょう。
「こちら、僕の父です。」
「・・・・・・父です。」
・・・
「お父様でしたか。初にお目にかかります。」
「いつも息子がお世話になってます。」
「こちらこそ、いつもお世話になっております。フェイには、本当に感謝しかありません。」
そう言った時、律のお父さんは、律に話しかけた。
「この女、よい。」
しっかり聞こえてる・・・
全く嬉しくない。でも、嫌われていないことがわかれば、それは、こちらに有利になる。
「フェイはいつも、仕事は丁寧にこなしてくれますし、様々なことを教えてくれます。」
「・・・・息子が役に立てているのなら、何よりです。。とても光栄なお言葉、ありがとうございます。」
・・・そういえば、この人、意外と、息子思いだったわね。
「それより、もっと質素で、弱そうで、息子に近づいている女はいませんか?」
・・・は?
急に何を言い出すかと思ったら、私に柚紀の情報を聞きたいようね。
フェイは、他の人に迷惑をかけないように、私を呼んだのね。
私なら、嘘をつけるから。
私はどう返事をしたらいいのか、考えた。




