第五章(6) 父との疲れる会話 Byフェイ(律)
「まあいい。この世界は僕らがもらおう。この世界で二人で素晴らしい国を作ろう。」
「・・・・・・」
「また黙っているつもりか。」
「・・・・・・」
「まあ、よい。ここで会えたこと、ここで素晴らしい国が作れるというだけで、今は十分だ。」
ほんと、この人は国のことは考えてないんだな・・・
呆れる
まともにこの人の下にいたことが。
「この世界に、あの女はいるか?」
あの女・・・柚紀のことか?
「婚約者のことですか?」
「ああ、死んだ婚約者のことだよ。この世界に来てるのか?」
「・・・わかりません。」
そんなこと、言うわけない。
会ったら、この人は柚紀を、この世界のエルザを、殺すに決まっている。
「いてもいなくても、関係ない。この世界には、元の世界よりも美女もお金持ちもいそうだ。さあ、こちらへ来なさい。一緒に探しますよ。」
僕はまだ、父の隣にも、前にもいない。
後ろ1メーターの位置に立っていた。
だから、こちらに来いと言っているのだろう。
「・・・・・・」
「さあ、来い。すべてがお前のためだ。」
その言葉を、信じていたんだな。
バカだったな。
あの時の僕は、これが正しいと思っていた。
でも、今はそれが違うと言い切れる。
もう、いいなりになるのは、無理だ。
「行きません。」
「なぜだ?」
「僕は、柚紀以外の女性とは結婚しません。」
「何、バカなことを言っているんだ?家のためにならん結婚など、結婚とは言わん。」
「そもそも、ここに来たってことは、あなたも死んだんだ。家も何もない。もういいだろ。」
この世界まで来て、まだそんなことを考えているとか、馬鹿らしい。
ここはお前の世界じゃない。
「いや。私は確かにあちらで死んだが、ここで生きている。今から僕たちの国を作ろうが、自由だろ。ここは、天国なんだから。」
天国・・・ね。
お前、ここが天国だと思ってるんだな。
お前がここにいる時点で、天国じゃないだろ。
そもそも、天国じゃないし。
まあ、教えないけどな。
そして、僕は話を変えるために、父にこう言った。
「それより、聞きたいことがあります。」




