第五章(4) 今日の服と、平和なひととき
律はその後机と椅子をどかして私の部屋を出て、サヤを呼んできてくれた。
「エルザ様、今日は何を着ますか?」
「・・・いつも通りに、律のお母さんで、話してください。」
なんとなく、サヤではなく、律のお母さんと話したかった。
「何着る?」
「動きやすいもの、ありますか?」
「スカート?」
「いや、最悪のことも考えて、ズボンがいいです。」
「最悪なことって・・・。何する気?」
「蹴ったり?」
「なるほど、わかったわ。」
「ありますか?」
「あるわ。私、柚紀ちゃんのズボン姿初めて見るかも。」
「私も初めて着ます。似合うといいですけど・・・」
「柚紀ちゃんだから、似合うわよ。楽しみだわ!」
「・・・私、今、律のお母さんの明るさに、救われてます。」
「それは良かったわ。私には、これしかできないから。」
「そんなことないです。いつも、律のお母さんの明るさが私を前向きにしてくれてます。」
「今日も、みんなを少しでも前向きにしたいの。できるかしら?」
「大丈夫ですよ。私はもう、前向きになりましたから。」
「ありがとう」
私はズボン姿になった。
律のお母さんはとても嬉しそうだった。
部屋の外に出ると、そこには律と、私のお母さんがいた。「柚紀、ズボン、似合ってる」
「ありがとう」
「ほら、ふたりとも、急いでご飯食べなさい。」
「はい。」
まだ、戦ってないけど、少しだけ、平和な世界で律と、お母さんたちと、過ごせてる気がした。
この世界が、あと一日後に、ありますように。
そう願った。




