第四章(16) 柚紀の本心と僕の誓い Byフェイ
「・・・私、死ぬの」
そう言った柚紀の目は、ハイライトがなかった。
「柚紀は、死なせない。」
「・・・」
「柚紀?」
「これ、聞いてる?」
そう言って僕に見せてきたのは、ネックレスだった。
「お母さんから、聞いてる。これ、いろいろ柚紀を守ってくれるって言ってた。」
「・・・使えない。」
「え?」
「さっき、使って見ようと思って、言われた通りに、唱えたのに、何も使えないの。」
「・・・」
次は僕が黙る番だった。
柚紀が自分で自分のことが出来れば、柚紀自身が楽になると思ったから。
守ってもらって、その人が死んでしまう、または、守ってもらったのに、自分が死んでしまう。
そんなことになったら、柚紀は、自分を責める。
それが無くなればと、お母さんに頼んだ。
何か方法はないか、と。
それがこれだった。
まだ明日があるとはいえ、この状況は、しんどい。
「どうしよう。私、死んじゃう。嫌だよ。1人は嫌だよ。寂しいよ。ひとりぼっちになっちゃうよ・・・」
やっと話した柚紀の本心は、『1人は嫌』だった。
そうか。
それなら、僕が自殺したのは、よかったことなんだ。
あの時は、申し訳なさでいっぱいで、父の代わりに死んだところがあったけれど。
「絶対に一人にしないと、柚紀に約束する。」
「え?」
「僕が柚紀を守る。」
「でも・・・」
「次こそ、僕は柚紀を守る。ジーク様と約束をした。今度こそ、幸せになるんだ。だから、生きるの、あきらめないで。怖いのも、しんどいのも、言っていいから、どんどん言え。」
柚紀は、泣いた。
「・・・ごめん。弱気になった。」
「いいよ。弱気の方が、素直になれるとこ、あるでしょ?」
「確かに。」
そう言って、柚紀は笑った。
・・・よかった。
「あ、僕がお母さんに、不具合の事、伝えるから、柚紀はゆっくり寝なよ。」
「・・・うん。」
僕はそのまま柚紀の部屋を出た。
柚紀は、怖かったんだろう。
1人になるのが。
だけど、僕のことも、考えていてくれた。
『律がしたいようにしていいよ』
そうならないように、僕が責任をもって守るよ、柚紀。
あの人には、これ以上好きにはさせない。
あの人が壊した僕と柚紀の人生を、今回こそ守るんだ。
そう、胸に誓った僕だった。




