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第四章 (8) 僕たちの前世の辛い過去③ By フェイ

「・・・わかった。聞かせて、律」

「うん」


僕は話すことにした。


「実はあれは事故じゃなかったんだ。あれは・・事件だったんだ。柚紀が亡くなって家に戻った僕に、ある人が言ったんだ。『最愛の柚紀ちゃんが亡くなって残念だったね。』って」


・・・そう。あの時、僕はこのことにどうして気づいていれば。


「僕はその人に言った。『なんでこんなことに・・・』って。そしたら、その人は『あの女よりもいい女なんていくらでもいる。お前には似合わないよ、あんな地味な女は。良かったな。もうすでに女は探してある。安心しなさい、律。』って言ったんだ」

あの時の絶望は、今も感じることが出来る。

ただの通り魔とかなら、王家の権力でどうになかった。

なのに、犯人は・・・


「ねえ、普通の犯人じゃあ、律の家に入れないよね?だって王家でしょ?」

「・・・」

「つまり、犯人は律の家の人なの?」

「・・・そうだよ」

「でも、私、誰かに憎まれていたかしら?みんな私に良くしてくれていたと思うけど?」

「・・・そうだね。柚紀は、うちに住んでから、あんまり会ってなかったと思うから」

「ねえ、律と律のお母さんが土下座してるとこからして、あの人しかないと思うけど、そんなこと・・・」

「・・・その通りだよ。柚紀を殺したのは、僕の父だ」


そう。あの時、僕はわかってなかった。

あの日、いつも夜遅くまで仕事をしている父は、仕事を全くせずに、公表式に参加することになっていた。

なのに、父は会場にいなかった。

あの時の僕は、仕事が入ったのではないかと思っていた。

でも、実際は、温室にガソリンをまいていた。


「で、柚紀を失った絶望と、その柚紀を殺したのが自分の父だという罪悪感で僕は持っていた護身用のナイフで自殺した」


実際、記憶はない。

ただ、無心で、ナイフを自分に刺した気がする。


「え・・・嘘」

「ほんとだよ。そこで、僕は少女に言われて、ここに来たんだ」

「・・・ほんと、なんだね?」

「うん」

「顔、あげてよ、律も、律のお母さんも」


そう言われて顔を上げると、目の前に柚紀がいた。

「柚紀・・・」

「謝らないで。律は、何も、悪くないんだから。しょうがないんだから。だから、気にしないで」


柚紀は、そう泣きながら言ったのだった。

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