第四章 (6) 僕たちの前世の辛い真実① By フェイ
僕は、柚紀を起こしてから、柚紀に話しかけられても、うまく反応できなかった。
怖かった。
お母さんに決断しなさいと言われたけど、それでも、怖かった。
僕の異変に気がついたからなのか、僕のお母さんは柚紀と話してくれていた。
「律、元気ないね。何かあったの?」
そう、柚紀に声をかけられた。
・・・さすがに、心配かけてるよな。
これから言う真実は、できれば言いたくない。
でも、時間がない。
あと、一人で話すよりは、お母さんがいる今の方が話しやすいと思う。
だから・・・
「柚紀、大事な話がある」
話すことにした。
「・・・うん」
僕のいつもと違う雰囲気で重大なことだとわかったのか、柚紀も真剣そうな表情をした。
「柚紀、夢でうなされてた時、何の夢の時だったんだ?」
「え?結婚式」
「・・・」
僕はこの先をなかなか話せなかった。
「柚紀ちゃん、あっちの世界ではね、結婚式の前に公表式っていうのをやっていたの。そこでは、新婦はウエディングドレスみたいな真っ白のワンピースを着ることになってるの」
僕の代わりに母が話を進めてくれた。
「・・・ウエディングドレスって単語を聞くと、目覚めます。怖いんでしょうか?」
「まず、律と柚紀ちゃんとの公表式は、大成功だったの」
「うん」
「でも、そのあとね、柚紀ちゃんは・・・」
「お母さん」
これは、僕に言わせてほしい。
あの時、柚紀を助けられなかったのは、僕だから。
だから、これは僕が言わないといけない事。
「・・・そのあと、柚紀は、殺された」
「え?」
「柚紀が、前に倒れた日の事、覚えてる?」
「うん。メイスンさんがお母様とお父様にお出しする料理の候補が出来たとかで、目の前で料理してくれた時だよね。自分でも、何が原因で体調が悪くなったのかわかんなくて・・・」
「それは、柚紀が、火が怖いからだよ。血が怖いからだよ」
「え?」
「柚紀の死因は一酸化炭素中毒。火がついた部屋から、逃げれなかったんだ。僕がその部屋についたときは、意識はあって、話もできたけど、やけどもひどかった。血も出ていた。正直、僕もあの料理を見たときは倒れそうになった」
「そう・・・なんだ。私、何を話してた?」
「『助けて。まだそばにいたい』って。僕は、助けるって言ったのに。だから、この間、言ったよね。
『ごめんね、約束、果たせなかった』って」
「そっか。あれは、そういうことだったんだね」
「うん」
「わかってた。私が、ただ、まだ律と離れたくなかっただけだから、そんなに自分責めないでよ。事故だったんだしさ」
柚紀は少しずつ、思い出してる気がする。
でも、これはやっぱり思い出せないだろう。
その出来事は・・・・・・事故ではない。




