第四章 (5) 律のお母さんの登場と、律の元気のなさ
私は律に起こされて初めて気が付いた。
・・・・・・私、寝てたんだ。
夢も見てないし、お母さんと話してたら急に眠くなって、寝た気がする。
「ふぁ~、律、なんか私急に寝ちゃったんだよ。疲れてるのかな?」
私は律に言ってみた。
でも、律は黙っていた。
・・・なにか、あったの?
私は律の沈黙から、何かあったのではないかと思って、まだ半分寝ていた頭がクリアになった。
クリアになった頭で世界を見ると、さっきはいなかった人がいることに気が付いた。
「・・・その人、私、知ってる」
「うん」
律がやっと返事をした。
「こんにちは」
「こ・・・こんにちは」
その人は私に挨拶をしてきた。
私、この人、どこかで知ってる。
だけど、確証がない。
前の世界の知り合いだと思うんだけど・・・
「柚紀。覚えてる?」
次はお母さんが私に聞いてきた。
「・・・前の世界の人だよね」
「そう。自己紹介、してもらおうか」
「うん。お願いします」
私はその人に教えてもらうことにした。
「久しぶり、柚紀ちゃん。私、律の母です」
あ・・・そうだった。
「・・・律のお母さん。すみません、何も思い出せてなくて」
「いいのよ。しょうがないことなの」
「はあ・・・え、律のお母さんもこっちにいたんですか?」
「え、うん」
「誰?」
「え?」
「えっと、ほら、私のお母さんはここでは『リーシャさん』だったので・・・」
「ああ、言っていいのかしら?」
「聞きたいです」
律のお母さんが誰として私たちの近くにいたのか、ただ気になった。
「エルザ様、お時間ですよ」
「!」
「わかりましたか?」
「はい。近くにいてくれていたんですね。ありがとう、サヤ」
「柚紀ちゃん、毎日かわいかった」
「・・・照れます」
確かに、サヤは私がこっちに来たばっかりで、ノックの回数とか聞いてた時とか、困ってるって言ってない時でも、何かと助けてくれていた。
そっか、律のお母さんが私を助けてくれていたんだ。
「・・・柚紀ちゃん、私が死んでからも、律の隣にいてくれて、ありがとね」
「ありがとうなんて、私が律が好きで、隣にいただけなので」
「でもあの時、あなたがいたから、律は今、こんなに成長できたと私は思うの」
「私こそ、律と会わせてくれて、ありがとうございます」
「・・・え?」
「律から聞きました。私が初めてできた女の子の友達だったって」
「そうね。私も、あなたでよかったって思ってるわ。ね、律」
「・・・うん」
律、私が起きた時から元気がない。
「律、元気ないね。何かあったの?」
「・・・」
律は少しの間、黙って、そのあと、いつものつらそうな表情をして、私にこう言った、
「柚紀、大事な話がある」




