第四章 (4) サヤさんは・・・ Byフェイ
「・・・お母さん」
「律」
サヤさんは柚紀のお母さんと同じように姿を元の世界の姿に変えて、僕のところに来た。
「律、ごめんね。私がそばにいれなくて・・・」
「お母さんがそばにいたところで、どうにかなった問題じゃないだろ?」
そう。お母さんがいたとしても、あの人は、止められなかったはず。
それどころか、お母さんも殺していたかもしれない。
「それでも・・・」
お母さんは僕を抱きしめた。
「怖かったでしょう?苦しかったでしょう?悔しかったでしょう?」
「うん」
「・・・なんで親の前で泣くのこらえてるかな?泣いていいんだよ?」
「でも・・・僕は次期国王で・・・」
だから、僕は泣かない。泣いちゃ、いけない。
「ここではそうじゃないでしょ?泣いていいんだよ。どうせ柚紀ちゃんの前じゃ泣かないんだから」
「う・・・うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
泣いている僕の頭をお母さんは撫でてくれた。
懐かしいお母さんの手。
そのことにも、涙が止まらなくなった。
「泣き止んだ?」
「・・・そんな長時間泣くほど子供じゃない」
「え?10分くらい泣いてたけど?」
「・・・うるさい」
・・・ああ、お母さんは、こういう人だった。
「で、私まで姿を現したことの意味には気が付いたんだよね?」
「うん。時間がないんだろ?」
「ええ。あの人が、あっちの世界で死んだ」
「・・・自殺?」
「ええ」
「いつ?」
「律が死んで、2カ月後。」
「・・・あの人間、意外と僕がいなくても生きていけるんだな」
「ええ。私も驚いたわ。意外と子供好きだと思ってたから、さっさとこっちに来てしまうのではないかと、柚紀ちゃんのお母さんと見張ってたのに」
「あの時はしんどかったわね」
「で、何してたんだよ」
「え?あなたの身代わりを探してた」
「・・・・・・頭おかしい」
あの時も思ったが、もう普通の人間じゃないよな。
「それは殺人をした時に気が付いていることでしょう?」
「まあ。でも、想像以上に」
「・・・さすがに身代わりの時は、引いたわね。過去にそんなことをする人だって気が付いていたら・・・」
「私も、柚紀をあんな家に暮らせなかったわ。私の住んでいた家に律くんと二人で住まわせていた」
この二人の話、長引きそうだな。
時間、ないんだろ?
「・・・なあ、そろそろ、柚紀、起こさないか?」
「そうね」
「ええ・・・でも、律くん、どうするの?」
柚紀のお母さんが僕に問う。
「・・・お母さん」
そして、僕はお母さんに声をかける。
「なに?」
「一緒に、柚紀に、真実、話してくれる?」
「・・・私以外に、誰がいるの?話すわよ。話さなくても、絶対、そばにいる」
「ありがと」
僕は柚紀を起こす。
「柚紀、起きて」
「ふぁ~、律、なんか、私急に寝ちゃったんだよ。疲れてるのかな?夢も見なくてさ~」
元気そうで少し安心しつつ、これから真実を話さなきゃいけないという現実から逃げたいという感情を必死に抑えていた。




