第四章 (3) 僕がこの世界に来た理由と柚紀のお母さんの思い Byフェイ
僕は、少女にいろいろと聞きたいことがあった。
いい機会だし、聞いておこう。
「何で、僕をこっちの世界に呼んだんですか?」
「え?」
「僕は普通、こんな平和な世界に来ていい人間ではないでしょう。なのに、ここにいることが不思議なんですよ」
「・・・律くん、もしかして、この世界を『天国』とかだと思ってる?」
「はい。違うんですか?」
「違うよ。ここは、前に生きていた世界で未練を残して死んでしまった人が来る世界だよ」
「僕、未練なんて・・・」
ない。そう言い切ることが出来なかった。
「『もう一度柚紀に会いたい』」
「!」
「未練というか、律くんの場合は後悔と願いかな」
「でも、僕をここに呼ぶ理由にはならないでしょう」
「・・・なる」
「どうして?」
「律くんが、自分を責めていたからだよ」
「・・・」
「柚紀を守れなかったって」
「!」
「あと、約束も守れなかったって」
「・・・」
「で、そのまま、自殺しちゃった」
「すみません」
「謝らないで。確かに、ちょっとショックだった。でもね、私は律くんがナイフを取り出したときに、止める気にはならなかったんだ。止めてしまった方が、律くんはもっともっと苦しんでしまう。柚紀が、大好きだった律くんを苦しめたくなくて。私こそごめんね。律くんに柚紀、任せてばっかりで」
「そんなこと、言わないでください。僕は柚紀が好きだから一緒にいたんです。だから、そんなこと・・・・」
「そこで、私は死んでしまった律くんの願いを聞いてみることにした。そしたら、律くん自身が今以上に壊れてしまいそうなほどの後悔があって、その中に願いがあった。だから、私はその願いをかなえてあげようとした」
「・・・」
「正直、私自身が柚紀と律くんに会いたかっただけなのかもしれないわ」
「それでも、僕はあなたのおかげで柚紀にもう一度会えました。ありがとうございます」
「いいの。これも、私がしたことだから。あと、私のメインの仕事はこれからだから、また柚紀を任せてしまうことがあるかもしれない」
「・・・任せてください、と胸は張れません。過去のことがあるので。でも、精一杯、守ります」
「うん。それでいいんだよ」
「僕たちはいいとして、あなたは大丈夫なんですか?」
「私?大丈夫よ、仲間はたくさん・・・・」
柚紀のお母さんはそう言いながら、庭の入り口を見ていた。
・・・来てたんだ。
この人の庭への登場は思っていたより早かった。
明日に僕だけ話に行って、それから柚紀に話そうと思っていたのに。
『決断しなさい』
あの言葉で、『早くしろ』と言ってたんだろうから、時間がないんだろうな。
しょうがない。
「そこにいないで入ってきてよ」
「律くん・・・」
柚紀のお母さんは少し悲しそうな顔をした。
「サヤさん」
そう呼ぶと、サヤさんが庭に入ってきた。
「呼ぶのが遅い。どれだけ親を待たせるのよ」
「・・・お母さん」




