第三章 (5) 少女との会話 By フェイ
僕は、柚紀にきかれて、答えることが出来なかった。
出来るだけ、話すのを避けたい話題。
・・・ごめんな、柚紀。
今日の出だしは最悪だ。
しょうがない。
僕が、柚紀に会いたかったんだ。
これくらい・・・
「これくらい、って思ってるね」
・・・!
声がした方向を向くと、目の前には誰もいなかった。
「・・・誰だ」
「前に言ったよ。ここも、安全ではない。私も今までのように見ていることはできなくなった。わかったかな?このままでは、また失うよ」
「・・・!あなたは、少女?」
「少女、か。電話にはもう出にくいだろ?執事は忙しい仕事だから」
「まあ、それもそうだけど・・・」
「また失う。それも、今回は敵もターゲットもわかってる」
「・・・」
「で、今回は目の前で失う」
「・・・!なんで」
「君を失ったあの人間は狂ったからね。こっちに来てまで暴れるのは君のせいと言ってもいいだろう」
「連れてきたのは、あなただろ」
「・・・どうしても、幸せになってほしくて」
「?」
「私は公に出ていくことはまだできない。だから、律くんが必要だったの」
「・・・少女、前世で僕は会ったこと、ありますよね?」
「どうかな?」
声が消えた。
後ろを見ると、この間の声の時にもいた、清掃員がいた。
少女。
初めから、おかしかった。僕なんて、この世界にきていい人間じゃない。
なのに、少女は僕をこんなに平和な世界に連れてきて、会いたかった柚紀に会わせてくれた。
僕を、律くん、と呼んだ。
僕は、少女の前世の人物がわかった。




