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第三章 (4) 心配をかけてしまいました・・・・

「エルザ様、今日は本当に御体の調子は大丈夫ですか?」

「大丈夫よ」


サヤはいつも以上にしつこく聞いてくる。

昨日、よっぽど心配してくれたのね。


「昨日は心配かけてごめんなさい。もう、大丈夫だから」

「それ、ご当主様の前でも言えますか?」


ああ、なるほど。あのお兄様に言えるのか、聞きたいのね。

「言えるわ。もう大丈夫」


だって、フェイがあの夢に出てきた律だと分かった今なら、私の今までのモヤモヤも、律に聞いたら理由がわかる。

何も怖くない。

そう思えた。


「まあ、それならいいでしょう。ご当主様はもうすでにリビングルームにいらっしゃるお時間ですので、無理をしない程度に急ぎましょう」

「ええ」


もう、フェイはリビングルームにいるのかしら。

私は昨日までと同じようにエルザ様として、自然にふるまうことが出来るかしら。


「エルザ様、考え事をしながら歩いては行けません。私が隣にいるので大丈夫ですが、転んでは怪我をしますよ」

「・・・そうね」


サヤは、何かと私の考えてることがわかるようなことを言う。

さりげなく助けてくれる。

そのサヤを心配させてしまったことを、申し訳なかったなぁと、再度思った。


コンコンコン

「エルザ!」

「お兄様、昨日はご心配をおかけして、すみませんでした」

「謝る必要はないよ、エルザ」

・・・・・・

「でも、昨日、エルザは酷くうなされていた。何か悪い夢でも見たのか?」

・・・・・・

「最近、疲れていたのは、よく寝れていないせいなのか?」


さあ、困りました。

夢にうなされていて、寝れないでいたのも事実。

その夢が柚紀の夢。

幸せな夢のはずなのに、何故か私自身が思い出すのを拒んでいるような夢。


でも、私の前世の、柚紀のことは言わない方がいいでしょう。

今までエルザ様を精一杯演じてきたことを言ってしまうことと等しいから。


「最近、今までより少しですが食べる量が増えたことも関係があると個人的に思うのですが、なんとなく今まで寝ていた時間に眠くならないのです。そのせいか、寝る時間が少し遅くなっています」

「それはよくない」

「寝ても、眠るまで読んでいる小説が原因かもしれませんが、悪い夢をよく見ます」

「そうなのか。どうしてそれを先に言わないんだ?この間、なんでも言ってくれと言っただろう?」

「・・・悪い夢など、誰でも見ることはあるでしょう?」

「ただ、昨日は小説なんて読んでいないだろう。倒れていたんだから」

「・・・・・・」


どうしましょう。

小説の世界のお話が夢に出てくるというお話は何度か聞いたことがあったので、そのように嘘をついたのが間違いでした。


「ジーク様、お言葉ですが」

「フェイ、なにかな?」

「エルザ様はまだ昨日の夜まで高熱で倒れておられました。その後、少し回復して今、ここにきておられます。朝からそのような質問は、より、エルザ様を困らせ、疲れさせてしまうのではないでしょうか?」

「・・・確かに」

「それに、昨日の悪い夢についてですが、高熱になると、悪い夢を見ると聞いたことがあります」

「そうなのか・・・エルザ、心配しているだけなんだ。困らせている自覚はなくて・・・」


お兄様は急に穏やかないつものお兄様になりました。

「わかっています。お兄様に言わなかった私も悪いことをしました。今日はもう大丈夫です。朝食、頂きましょう」

「ああ」


最後はフェイに助けられてしまいました。

明日の朝に、お礼を言わなければ。


そう思ったのでした。

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