第三章 (3) 僕の考えていたことと、不思議な声 Byフェイ
今日は、朝から大変だった。
ベッドが沈んだから起きたら、エルザ様がいた。
エルザ様は今日の夕食のせいか、僕が律で、自分が柚紀だと気が付いたみたいだった。
正直、驚いた。
何を思い出しているのか、わからないから。
柚紀にとって、何が記憶として頭に残っているのか、僕にわかることはできない。
僕の部屋に来たエルザ様を見て、僕は怖かった。
あのことも、思い出してしまったのではないかと。
でも、その心配は今のところなかった。
柚紀は、家族構成も僕との出会いも何も思い出してはいなかった。
そして、僕は少女の言っていたことを理解した。
『前にも言ったけど、どちらもダメージが大きくなってしまう。』
僕のダメージは、僕が知られたくないことを知ってもらう必要があること。
柚紀のダメージは、つらい過去を思い出さないといけない事。
もし、この世界で平和に過ごせるなら、僕だって隠していたい。
柚紀にも、思い出してほしくない。あんな悲しい過去。
『教えてほしい』
そう柚紀に言われてしまった。
困った。
どこから話そうか。
出来るだけ、隠したいことを話すのを後回しにしよう。
そんなことを考えながら、僕は柚紀が去った僕の部屋の中で執事の服に着替え、髪を整え、リビングルームへ向かう。
「意外と、早く思い出したみたいだね」
・・・え?
僕はその声を聴いて、後ろを振り返ったが、後ろには清掃員の人しかいなかった。
聞き間違いじゃないよな。
思い出したとか言っていたから、僕と柚紀のことを知っている人。
なら、さっきの声の主は、電話の少女。
電話の少女は、この世界の人だったのか。
そういえば、『私の分まで』とか言ってたな。
もしかして・・・
そんなことを考えていた、朝だった。




