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第三章 (2) 律と柚紀の出会い

「どこから教えてほしい?」

「どこからでもいい。何にも覚えていないから。聞きたいことはいっぱいある」

「うーん・・・」

「できれば、全部知りたい」

「え、今から?」

「・・・うん」

「エルザ様、それはできません。今現在、4時です。いつもエルザ様をサヤさんが起こしに行くのは大体6時です。それより前にエルザ様が自分のお部屋に戻るとなると、あと1時間半ほどしかありません」

「そう・・・というより、急にフェイで話されると、私もぶれるわ。統一していただける?私もわからないながら頑張ってるのに。あと、まだここにきて3日なのに私の起こされる時間がわかるのね。少し怖くなったわ」

「そんなことを話してる時間ももったいないから・・・家族と僕と柚紀の出会いについて、話そっか」

「・・・戻った」

「話、始めるよ。気になることあったら、途中で言っていいよ」

「・・・わかった」


「僕の家族はあの時、僕と母と祖母と・・・父、だったかな」

父、そういった律の顔は、暗かった。


あれ・・・祖母の後に父と言ったことには、何かあるのかしら。

そう思ったけれど、律の表情から聞いてほしくないことが分かったから、聞かないことにした。


「柚紀の家族は海外にいるお父さんと柚紀だけだったかな。お母さんは柚紀が十歳の時に病気で亡くなった」


そうだったんだ・・・


「家族についてはここまで。次は僕と柚紀の出会いについて」

「うん」

「僕と柚紀が出会ったのは八歳の時。親同士が仲良くなったのがきっかけ。後から聞いた話だと、柚紀お父さんというか、柚紀の家が国の新しいシステムの開発に乗り出してくれたことで、仲良くなったんだって」

「へー」

「僕と柚紀が出会った時、柚紀はお父さんに連れられて家族で王宮に来ていた。今まで王宮に女の子が来るなんてなかったし、学校にも女の子はいなくて、僕はすぐに女の子に声をかけたんだ。仲良くなりたくて」

「・・・どうして私は王宮に来れたの?今まで誰も女の子が来ていないなら、普通、私も入れなかったでしょう?」

「これも、後から知った話だけど、祖父が厳しい人だったから、女の子の王宮への出入りを禁止というか、次期国王候補の女性との接触を出来る限り減らしたかったみたいで、そうなってたんだけど、祖父が亡くなり、僕の母は僕に女の子の友達を作ってくれようとしたみたい」

「そうなんだ・・・」


「つづけるよ。両親同士の仲はよくて、僕と柚紀は毎日会うようになっていた。でも、僕と柚紀が、僕的に親友くらいになれたと思った頃、急に柚紀のお母さんが倒れた。それも僕たちが住んでいた国ではあまり流行っていない病気だったみたいで、薬がなくて何にも出来なくて、倒れた次の日に亡くなった」

・・・

「薬のこととか、病気のこととかは後からお母さんが泣きながら僕に教えてくれた話」

「そっか。よく、覚えてるね」

「だって、わかってないと、柚紀になんて言っていいのか、悲しさとか、寄り添えないって思って、一生懸命、お母さんに聞いて、理解したから、忘れないよ」

「ありがとう」


「僕がお母さんに柚紀のお母さんが亡くなったって聞いて十分後に、柚紀が王宮に来た。柚紀は僕を見つけて、まっすぐ走ってきて、僕に抱きついたその時には柚紀は泣いてた。僕はただ、背中をさすってた」

「それだけなんて・・・」

「いや、正直、驚いてた。いつも笑顔で、虫が出ても、転んでも泣かなかった柚紀が、すごく泣いてて。今思えば当たり前なんだけど。その時かな。僕も柚紀のお母さんみたいに、いつも笑顔な柚紀が泣いてくれるような、そんな、柚紀にとって大切な人になろうって思った」

「・・・私、王宮に来たんだ」

「後から聞いた話、するね。柚紀はお母さんに『笑顔の柚紀が好き』って言われてたみたいで、お母さんが亡くなるその時までずっと、笑顔だったそうだ。でも、亡くなったと知って、病院を飛び出して、王宮に来たんだって。門番も柚紀が来たときは笑顔で挨拶していったって、言ってたみたい」

「誰から、聞いたの。恥ずかしい」

「柚紀のお父さん。必死になって病院から飛び出した柚紀を探してて。柚紀が王宮に来て一時間後くらいに王宮に来たよ。その頃には柚紀は泣き疲れて僕の腕の中で寝てたけど」

「・・・恥ずかしいことしか出てこない」

「僕はよかったけどね」

「・・・これから、いっぱい、教えてね」

「うん。時間、ぴったりだね」

時間は5時40分だった。


「今日から、しっかり仕事、してもらうことになるけど、頑張ってね。あと、私にあまり親しくしないようにね」

「わかっております、エルザ様」

「じゃあ、部屋に戻るね。今日はありがとう」


そう言って、私は他の人に会いませんように、と心で願いながら、廊下を歩く。

何とか部屋に帰れた。

急いで上着を脱いでハンガーにかけ、クローゼットにしまい、ベットに潜った。


コンコンコン

「エルザ様、失礼します。朝です。お目覚めのお時間です」

「・・・おはよう」

「今日は御体の調子はどうですか?」

「沢山寝たから大丈夫。でも、ドレスは軽いものがいいわ」

「わかりました、着替えましょう。」


私はいつも通りサヤにドレスを着せてもらった。

ドレスはお願いした軽い薄ピンクのもの。

お化粧もいつもと同じ。


私は、いつも通りのエルザ様になった。

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