第二章 (2)お屋敷案内
「さて、ホントは私がフェイを案内したほうがいいのでしょうけど、私も最近忙しく、どこに何があったのか、あまり覚えていないので、サヤに案内してもらいます」
実際は、全く行ったことがないから、この屋敷に何があるのかもわかっていない。ほんとなら、いかなくていいところは覚えなくていいのだけど、フェイが来たら、私に不信感を持つかもしれないと思うと、覚えなくては、と、思った。
「おねがいします、サヤさん」
「・・・わかりました」
サヤが最初に行ったのは、ダイニングルームだった。
「ここは、ダイニングルームです。当主様、エルザ様がお食事をなさるところです。厨房には料理長よメイスンがいます」
その次は使用人の食事場所、次は使用人のお手洗い場など、私が使わない場所が多かった。
「さて、あとまわるのは2つです。エルザ様、お疲れではないですか?」
「疲れてはいるけれど、大丈夫よ。早く行きましょう」
「そうですね。次はここです。ここは来客の待機場所兼来客者対応室です。お客様は、大体ここでお待ちいただいています」
「・・・なるほど」
ここに、来客が・・・
って、この場所に来るのって、お父様とお母様くらいでは?あ、お兄様を訪ねて来る方はいらっしゃるかも・・・
「エルザ様、最後の場所に行きますよ?」
「ええ。最後は、ここよね?この場所はあまり来なくて、全く分からないわ」
「ここは、奥様に気に入っていただいていた場所です」
「そうなの!?早く入りたい!」
「わかりました。どうぞ・・・図書室です」
そこにはたくさんの本が並んでいた。
「わぁー、すごい量ね!」
「ええ。子供の本は、エルザ様がこちらに来るときにすべて持ってきたので、特に多いです」
「口を挟むようですが、質問、いいですか?」
「何でしょう?」
「どうして今も取ってあるんですか?」
「奥様が取っておくようにとおっしゃったからです。」
「なるほど。では、こちらの小説たちは、エルザ様のお好きなものですか?」
「えっと・・・」
はいったこと無いってバレたらまずいよね。
「エルザ様は10年以上、ここには入ってるおりませんのでこれからですね」
「理由をお聞きしても?」
「エルザ様は、一度、本棚の絵本を取ろうとして本棚に乗り、倒れられたことがあります。その時に奥様と旦那様に出入り禁止を命じられています」
「それはそれは」
「ということで、この部屋の中でしたら、自由にしていただいて大丈夫です。エルザ様、借りたい本がありましたら、言って頂ければ、お借りしますよ」
「わかったわ」
私は、図書室をみてまわる。
なんか、知っている本はないかしら?
・・・前の世界の私は、本が好きだったみたいだわ。
「エルザ様」
「は、はい」
「この本、ご存知ですか?」
フェイが持っていたのは、小説だった。
あらすじを読む。
・・・あれ、この本、私読んだことある。
前の世界の私が、読んでいたのね。
でも、なら、どうしてここにこの本があるの?フェイは、どうしてこと本を私に見せたの?
「ご存知でしたか?」
「いいえ。フェイは、この作品のファンなの?」
「ええ。なんというか、人間の幸せが書かれているので」
「そ、そう」
「僕、僕以外でこの本のファンの人、いないので、探してるんです」
「そうなのね。見つかるといいわね」
「はい!」
フェイは、笑顔でそう答えた。
この笑顔、やっぱり見たことある。
でも、どこで?
この人は今日あったばっかり。
なのに、なのに、なんで
「・・・様・・・ザ様・・・エルザ様!」
は!
「どうされました?話しかけても何も反応しませんでしたので、大声で話しかけました大丈夫ですか?」
「・・・大丈夫よ。でも少し疲れたみたい。午後は、部屋にいるわ」
「わかりました。昼食は、どうされますか?」
「食べるわ。食べないとお兄様に心配されてしまいますから」
「わかりました。いい時間ですので、このまま昼食に行きましょう」
「ええ」
どうして、声をかけられているのに気が付かなかったのかしら?
疲れたから?
ほんとに・・・それだけで?
結局、昼食はあまり食べられなかった。
私は部屋に戻って、サヤに見守られながら、眠りについたのだった。




