最終章(1) あの日から
私が、エルザ様としての生活を始めて早3年が経過しようとしていた。
私とお兄様が、両親に気を使わなくなったあの日から、私達の暮らし方は少しずつ変わっていった。
まず、別邸暮らしは変わらないものの、週に一度は本邸で家族揃って食事をするようになった。もちろんフェイも一緒に。
次に、私が外に出るようになった。
私は婚約者が起こした問題によって、外出を両親に止められており、屋敷の外、というものは全く知らなかった。
始めてお兄様と外の世界を見たとき、外の世界というものの素晴らしさと、私はこちらの世界の事を何も知らなかったのだという未熟さを痛感した。
そして、両親にフェイを紹介して一年後、
私とフェイの結婚が認められた。
認められてすぐに結婚式をした。
もちろん、この結婚式は身内だけの、とても小さなものだった。
まだまだこの国では身分による差別が少なからずある。
貴族が出身のわからない平民と結婚する場合、貴族の人間が平民の家に嫁ぐのが普通だ。
しかし、フェイに家族はいない。
こちらの世界での暮らしがそもそもわかっていたから、律のお母さんや私のお母さんが用意しなかったのだと、用意するには時間もなかったから、と教えてくれた。
なので、それらを理由に嫁ぐことをしなかった。
お父様もお母様も、そしてお兄様も、わたしたちの結婚をとても喜んで祝福してくれた。
お父様はフェイをとてもとても気に入ったようで、本邸に来ると毎回、お父様は私と話すよりも楽しそうにフェイと話していた。
また、お兄様とフェイもいつの間にかとても仲良くなっていた。
一度、二人きりで外に出かけていたことがあったようで、それを後で知った私はお兄様に嫉妬してしまったくらいに、とても仲良くなっていた。
お兄様もフェイとは砕けて話せていて、前よりも笑顔も増えたように思う。 これはフェイに教えてもらって後で知ったことだけど、お兄様から友達になって欲しいと言ったようだ。
私のせいで、お兄様に迷惑をたくさんかけて、お友達や婚約者も作れていないのではないか、と申し訳ない思いを抱えていた私にとって、お兄様にお友達ができるというのはとても嬉しくて、けれど、少し寂しい。そんなことを感じながら、毎日、フェイに感謝をするのだった。




