第六章(23) 僕と、友達になってくれないか By ジーク
僕はお父様とお母様の話を聞いて、確かに今まで友はいなかったな〜、なんて思った。
僕が周りをすごく警戒していたからかもしれない。
仕事の仲間は連絡先すら知らない。
仕事以外で連絡したいと思うことなんて、なかった。
それでも、仲良さそうに話す人々に憧れが無いわけではなかった。
ただ、裏切られるのが怖かった。
過去にエルザの婚約者となった人達は、僕の知り合いだった。
決して悪い人ではなく、むしろ優しすぎるのではないか、というタイプの人間だと思っていた。
それなのに、
婚約者となった人たちはみんな、僕の家を裏切った。
もしかしたら、親に言われて仕方なく裏切ったのかもしれないし、向こう側の家に事情があったのかもしれない。
でも、そんなことは関係なかった。
僕に残されたのは、ただ、裏切られたという感情だった。
僕の家は、助けてくれと言われたら助けたはずなんだ。
なのに、裏切ったのだから、裏切るという選択をしたのだろう。
そう思うと、なおのこと、許せなかった。
僕にはもう友はできない。
誰も、僕によってこない。
そう思っていたけれど、原因は、僕なのではないかと。
僕が敬語しか使わなかったからなのではないか。
そう、両親の言葉で気づいた。
僕が今から友になれる人を探すのは、時間がかかるだろう。
今までと違う風に話しかけたら、周りの人が驚くだろう。
なら、誰なら、僕の友達になってくれるのだろう。
僕の、友達になってくれる人は現れるのだろうか。
僕は、頭の中で今まで出会ってきた人を思い出していた。
そして一人思いついたのだった。
お父様とお母様と一緒に図書館にエルザを迎えに行くと、
エルザはフェイの肩に寄りかかって寝ていた。
「あらあら、寝顔もかわいいわね~」
「旦那様、奥様、申し訳ございません。今すぐ起こしますので・・・」
「いや、もう少し、このままいさせてあげよう。エルザとフェイ君のこの寝顔は、とても幸せそうだ」
サヤの言葉にお父様はそんなことを言って、微笑んだ。
少しして、フェイが目を覚まして、エルザを部屋に運んでもらった。
その後僕はフェイに声をかけた。
不思議そうな顔をしながらも「もちろんです」と敬語で答えてくれたフェイに、嬉しさと、距離を感じた。
僕は、僕が昔使っていた部屋にフェイと一緒に入り、ふたりとも椅子に腰掛けたところで、フェイに話しかけた。
「僕と友達になってくれないか」




