同棲Ⅲ
「おお……!」
ぱっと見では葉物のお浸しにしか見えない料理を前にして、俺は感動の声を上げていた。
「そんなに喜んでもらえると嬉しいです」
言いながら、霞はクスクスと笑う。彼女が作ってくれた豪華な夕食を締めくくるのは、霊草を使った料理だった。
「それじゃ――」
早速とばかりに、調理された霊草を頬張る。香辛料の香りがふわりと立ち、次いで五感のどれにも属さない魔力の刺激が俺の口内で弾けた。
味付け自体は控えめだったが、それは霊草の特徴的な食感を損ねないための配慮なのだろう。計算されつくした味わいを、俺は心ゆくまで楽しんでいた。
「美味しいですね」
向かいでは、霞もまた霊草料理を口にしていた。見たところ、彼女は霊草が大好物というわけではない。食材の一つとして認識しているようだった。
そんな彼女が、扱いの難しい霊草の調理法を習得している理由は不明だが……ひょっとすると、身近に霊草を好む人物がいたのかもしれない。
そんなことを考えながら、次々と箸を伸ばす。昼間のスイーツバイキングの影響もあってほぼ満腹だったにもかかわらず、俺のペースが衰えることはなかった。
「美味しかった……ごちそうさま」
綺麗に霊草を平らげた俺は、満ち足りた気持ちでほう、と息を吐いた。天上の珍味とはこのことだ。
「よかったです」
そんな俺を、霞はにこにこと見つめていた。あまり見られると照れくさいが、人に料理を振る舞うことが好きな彼女にとっては、反応を見るのも楽しみのうちなのだろう。
「せっかくの誕生日ですし、ケーキも用意するべきなんでしょうけど……」
「昼にあれだけ食べたからなぁ」
そう言って二人で笑う。結局、俺たちが食べたケーキは八種類にも及ぶ。半分ずつとは言え、さすがに食べ過ぎた感は否めない。
「でも、楽しかったですね」
「ああ。俺も楽しかった」
スイーツバイキングでのあれこれを思い出しては話題に乗せる。まだ半日も経っていないおかげで、話題はいくらでも出てきた。
そうしてどれほど喋っただろうか。話の切れ目で、ふと彼女は立ち上がった。
「――実は、いいものを見つけたんです」
そう言って彼女が持ってきたものは、長らく使っていなかった小さなローテーブルだった。
「へえ? よく見つけたな……」
家主である俺ですら忘れていたテーブルを、霞はリビングのソファーの前に置いた。その配置を見て、俺はようやく彼女の意図を理解する。
「ひょっとしてこれか?」
立ち上がった俺は、台所から酒瓶とグラスを持ってくる。すると、霞はにこりと微笑んだ。
「はい、ありがとうございます。……勝手にセットしちゃいましたけど、大丈夫でしたか?」
「もちろん」
頷いて、机に瓶とグラスを並べる。いつの間に準備していたのか、霞は酒肴の品々が載った皿をローテーブルに置いていた。
「霞って、意外とお酒好きだよな」
「え? 私がですか?」
「だって、ちょくちょく晩酌の準備をしてくれるし」
高頻度というわけではないが、週に一回は酒肴を用意している気がする。そう告げると、霞はなぜか恨めしそうな目で俺を見つめた。
「……京弥さんと遅くまでお話するのに、一番いい口実だからです」
「え?」
思わず聞き返すが、霞はそれ以上答えずに準備を進める。そうして小規模な酒席の準備ができたところで、俺たちはソファーに身を沈めた。
三人掛けのソファーのため、端寄りに座れば密着することもない。とはいえ、手を伸ばせば届く至近距離だ。意識せずにはいられなかった。
「そう言えば、こうやってソファーを使うのは初めてだな」
照れ隠しに口を開けば、霞は相槌を打つ。
「そうですね。後は、美幸さんが遊びに来た時くらいでしょうか」
「あいつ……」
思わず言葉がもれる。まったく問題はないのだが、なんだか出し抜かれた気分だった。
「京弥さん、まずはどれを飲みますか?」
「日本酒かな。……ああ、自分で注ぐからいいよ」
さっと日本酒の瓶に手を伸ばした霞を制して、自分で瓶を取ろうとする。すると、彼女は素早い動きで酒瓶を抱え込んだ。
「駄目です。……ほら、今日は京弥さんの誕生日ですし」
そう言われては、無理に取り返すわけにもいかない。その代わりにと、俺はよく冷えた梅酒の瓶を手に取った。ローテーブルにはビールがない。となれば、霞が最初に飲むのはこれだろう。
「あ――」
その表情からすると、当たりだったらしい。グラスになみなみと注げば、霞は小さく微笑んだ。
「ふふ、よく分かりましたね」
「霞はビールから始まって、次に果実酒に移るからな。氷なしのロックでいいか?」
「はい、ありがとうございます」
そんなやり取りを経て、俺たちはお互いのために注いだ酒器を交換する。
「それじゃ――」
「はい」
短いやり取りとともに、二人の酒器を軽く合わせる。そして、俺は陶器製のぐい吞みに口を付けた。
「美味い……」
芳醇な香りが立ち昇り、次いでしっかりした味が舌の上に広がっていく。その感触を楽しみながら隣に目を向けると、こちらを見ていた霞と目が合った。
「いつもはテーブル越しですから……こんなに近いと、なんだか照れますね」
彼女ははにかんだように視線を逸らす。そんな反応をされると、こっちまで照れてしまう。
「運転してる時もこんな距離じゃないか?」
「運転中の京弥さんは、あまり私のほうを見てくれませんし」
照れ隠しの言葉をあっさり返り討ちにすると、霞はじっと俺を見つめた。
「それに、今の京弥さんはとっても格好いいですから」
「あー……」
その言葉を聞いて、思わず自分の髪に手をやる。スイーツバイキングのためにセットしたまま今に至るのだが、それが良かったらしい。
「あ……! あの、今日が特に素敵だなって思うだけで、普段の京弥さんも好きですから!」
失言したと思ったのか、霞が慌てて弁解してくる。だが、俺にとっては弁解の言葉のほうが頭に残った。
「――!? あの、そうじゃなくて、好きというのはつまり……」
霞も直後に気付いたようで、しどろもどろな口調で言葉を付け足す。たまに予想外の積極性を見せる彼女だが、今はそういうモードではないらしい。
「大丈夫だ。調子に乗るつもりはないから」
そう答えると、霞は不服そうに頬を膨らませた。
「それはそれで違うような……だって、京弥さんはお店でも人気ですし」
「店ってホライゾンカフェのことか?」
俺が突然の話題に首を傾げる一方で、霞は誇らしげに頷く。
「はい。京弥さんが毎週迎えに来てくれるようになってから、よく話題に出るんです。その……素敵な彼氏だって」
最後の語句に頬を赤らめた霞は、それをごまかすように二杯目の梅酒を注いだ。
「霞を迎えに行く時だって、それなりに頑張ってるからな」
たしかに俺は定期的に霞を迎えに行っている。と言っても、ストーカー紛いの客への牽制という当初の目的は薄れていて、今となっては『一緒に買い物をする日』くらいの認識しかない。
ただ、ストーカー対策で恋人として振る舞っているのは事実だし、正直に言えば俺はこの『お迎え』を楽しみにしていた。
「そういう霞のほうこそ、大人気だって聞いたぞ? アプローチしてくる同僚もいるんだろ?」
それは、霞の同僚である水崎さんから聞いた話だ。何かと俺たちの世話を焼きたがる彼女から、「うかうかしてると取られちゃいますよー」というメッセージがたまに来るのだ。
霞も情報源が誰かに思い当たったようで、諦めたように首を横に振った。
「隠すつもりはなかったんですけど……たまにそういうことはあります」
「まあ、そうだろうなぁ。霞のスペックを考えるとむしろ当然だ」
うんうん、と俺は素直に頷く。本来なら嫉妬すべきかもしれないが、彼女にはそれだけの魅力がある。どちらかといえば誇らしい気分だった。
「でも、京弥さんが迎えに来てくれるようになってから、随分と減りました」
「よかった。少しは虫除けになったか」
そう茶化すと、彼女は首を横に振った。
「少しどころじゃないです。妖怪の末裔のようなこちら側に限って言えば、完全になくなりましたし」
「そうなのか?」
思った以上の効果に驚く。何事もやってみるものだな。
「はい。美幸さんに聞いたら、『錬金術師のネームバリューで大半の男は諦める』そうです」
「たしかに数は少ないが……。なんであれ、霞の役に立っているならよかった」
あまりピンと来ないが、俺もそんなことを言われた記憶があるな。数か月前の記憶を検索していると、ふと霞が顔を覗き込んできた。
「そう言えば、京弥さんってお弟子さんは取らないんですか?」
「弟子?」
「はい。錬金術師は日本に五人しかいないんですよね? それなら、後継を育てるのも大切だと思って」
さっきの話題で触発されたのか、それとも元から気になっていたのか。霞は興味深そうに身を乗り出した。
「たしかにそうなんだが……俺が教える側だってことに、どうにも違和感があってさ」
俺は正直に答えた。師匠から正式に暖簾分けをしてもらっていたなら、気持ちに区切りをつけることができたのだろうか。そんな思いが脳裏をかすめる。
「それに、弟子をどうやって選ぶかという問題もある」
現代社会で錬金術に近いのは薬学だが、もちろん薬剤師のように国家資格があるわけではない。そもそも錬金術師の数が少なすぎるせいで、質の担保どころではないためだ。
「京弥さんの一存じゃ駄目なんですか?」
「錬成薬は扱いようによっては大事件を引き起こすからな。人間的に信用できる人物じゃないとまずい」
弟子入りの希望があったとしても、一朝一夕で人間性を見抜くことは難しい。師匠にも、伝える相手はしっかり見極めるように言われていたからな。
「兄弟子たちはどうしてるんだろうな……」
ふと、顔も名前も知らない先輩たちに思いを馳せる。おそらく似たような悩みを抱えているはずだ。
「もっと年齢が上の方なら、お子さんが継いだりするんでしょうか」
「ああ、その手があるか」
霞の言葉を肯定する。実子が必ずしも信用できるとは限らないだろうが、見極める時間はあるし、教育だってしやすいはずだ。
「あとは魔力だが、そのあたりは遺伝するからな。相手が一般人だと厳しいかもしれないが、せめて中程度の魔力か妖力があれば……」
俺がそう呟くと、霞はふと何かに気付いたようだった。そして、真面目な顔で聞いてくる。
「魔力じゃなくて、妖力でも錬金術は使えるんですか?」
「使えるぞ。ただ、魔力と違って、妖力には種族特有の癖があるから、必ずとは言えないが」
「癖ですか?」
「ああ。その癖を抑え込まないと、安定した錬成はできない。どれだけ器用な妖力持ちでも、その時点で出力は三分の二くらいになるかな」
「そうだったんですね……ちなみに、錬金術が使える中程度の妖力ってどれくらいですか?」
意外と興味があるのか、彼女は質問を重ねてきた。そこで、俺は身近な妖力持ちを引き合いに出して説明する。
「妖力量で例えるなら、美幸なら余裕で、孝祐はギリギリ。水崎さんは無理だろうな」
「唯衣さんが無理なら、私も無理ですよね……」
霞は肩を落とした。意外とショックを受けているように見える。
「そんなに錬金術を使ってみたかったのか?」
そう尋ねると、霞は沈んだ顔のまま首を横に振った。
「いえ、私に似ちゃうと無理だと思って」
「ええと……何が?」
要領を得ない感想に首を傾げる。すると、霞ははっとした様子で固まった。
「な、なんでもないです! 忘れてください!」
彼女は顔を真っ赤にしてぶんぶんと手を振った。俺もまた、その反応で彼女の言葉の意味に気付いて、思わず視線を逸らす。
「うぅ……」
そんな俺の反応を見て、こっちが霞の想像に辿り着いたことを悟ったのだろう。恥ずかしそうにジタバタしていた彼女は、やがてグラスを置いて立ち上がった。
「霞?」
恥ずかしさが限界を超えたのだろうか。厨房へ向かった霞を目で追う俺だったが、彼女はすぐに戻ってくる。だが、その手にはラッピングされた包みが収まっていた。
「――ささやかですけど、私からの誕生日プレゼントです」
ソファーに座り直すと、霞はプレゼントを差し出してきた。なんだか唐突な切り出し方だが、ひょっとして話題を変えたかったのだろうか。思考の隅でそんなことを考えるが、もちろん嬉しくないわけがない。
「ありがとう、霞」
お礼を言って受け取る。ここで開けるか悩んでいると、霞がにっこり微笑んだ。
「よかったら、開けてみてください」
その言葉を受けて包装紙を剥がす。ブランドロゴの入った箱の蓋を取ると、中には高級感の漂うマグカップが入っていた。
質感は金属に思えるが、持ってみると意外と軽い。赤銅から銀色のグラデーションが落ち着いた煌びやかさを放っていた。
「京弥さんは工房でよくコーヒーを飲んでますから、ちょうどいいと思って」
それは、工房での俺を知る霞ならではの視点だった。大きめのサイズであることや、蓋が付いていることも、作業の合間にちびちび飲むことが多い俺に合わせてくれたのだろう。
「ありがとう、大切に使わせてもらうよ」
心から感謝の言葉を告げると、もう一度マグカップに視線を向ける。マグカップなんてどれも同じだと思っていたが、俺の見識が狭かったようだ。
「その、本当は失せ物のほうがいいと思ったんですけど……どうしても形の残るものを贈りたくて」
プレゼントを眺める俺をどう思ったのか、霞は不安そうに口を開いた。
「失せ物よりこっちのほうが嬉しいな。さっそく明日から使うよ」
そんな彼女を安心させるように、俺はマグカップを目の高さに掲げてみせる。すると、霞はほっとしたように息を吐いた。
「そうしてもらえたら、とっても嬉しいです。……あ、よかったら、最初のコーヒーは私が淹れてもいいですか?」
「もちろん」
そんな会話を交わしながら、新しい酒瓶の栓を抜く。いつしか用意した酒瓶はほとんどが空になっていた。
「よく飲んだな……」
ふと我に返った俺は、驚きとともにローテーブルを眺める。
「すみません。楽しくて飲み過ぎてしまいました……」
「俺も楽しかった。じゃあ、そろそろ解散するか?」
そう提案したのは、酒量もさることながら、時刻がすっかり夜更けになっていたからだ。
「……」
だが、霞から返事はない。彼女はグラスをローテーブルへ置くと、身体が触れるほど近くに座り直した。
「霞?」
問いかけても返事はなかった。だが、その代わりとでもいうように、彼女は俺の肩口に顔を寄せて、甘えるようにもたれかかってくる。
「……え?」
予想外の展開に、思わず硬直する。そんな俺に構うことなく、霞はさらに体重を預けてきた。
「うふふ、くっついちゃいました」
普段は滅多に出さない、甘えるような声音。その威力は甚大で、俺は動揺して酒器を取り落としそうになっていた。酔った霞は甘えたがるというか、素直になる傾向があるが……。
「どうして、このタイミングでくっつくんだ」
「京弥さんが『そろそろ解散する』なんて意地悪を言うからです」
「それは意地悪じゃないだろ……」
そんなやり取りをする間にも、俺の左半身から彼女の感触が伝わってくる。その柔らかさや甘い香りは、気を抜けば一瞬で俺の理性を奪ってしまいそうだった。
「少なくとも、こんな夜遅くに男と密着するのは避けたほうがいい」
自戒の意味もこめて口を開くが、霞の笑顔は崩れなかった。それどころか、逆に俺の左腕を両手で抱えこんでくる。
「大丈夫です。京弥さん以外には、こんなことしませんし」
「……そこが大丈夫だとは限らないぞ」
ストレートな親愛表現に動揺しつつも、なんとか言葉を絞り出す。すると、霞は小首をかしげて俺の顔を覗き込んできた。
「それって、どういう意味ですか?」
その問いかけに、俺はしばらく考え込んだ。ここは一度はっきりさせておくべきだろうか。これまでは、霞が恐怖を感じないようその手の話題を避けてきた。
だが、彼女との仲が深まるにつれて、今回のようなスキンシップも増えている。もし毎日こんな展開になれば、自分を律しきることができるとは思えなかった。
「霞がどう思っているか知らないが、俺は一般的な成人男性だからな。万が一もあり得る。そういう意味だ」
悩んだ末、俺はその話題に踏み込むことにした。今の関係性なら大丈夫だという確信はあったし、酔っている霞なら本音が聞けるかもしれないという計算もあったからだ。
「……」
俺の答えを聞いた霞は、虚を突かれたように固まっていた。彼女らしくない反応に、やっぱりやめておくべきだったかと後悔するが……その直後、彼女の顔が耳の先まで赤く染まった。
「その……そういうことを、まったく考えなかったわけじゃないです」
顔を羞恥の色で染めた霞は、しどろもどろに告げる。その表情に嫌悪や恐怖の色がないことにほっとしながら、俺は言葉の続きを待った。
「京弥さんが記憶のない私のことを気遣って、そういう面を見せないようにしてくれていることには、なんとなく気付いていました」
そう告白すると、霞は申し訳なさそうに目を伏せた。
「そんな京弥さんの優しさに甘えて、私ばかり楽しい思いをして――」
「楽しいのは俺も同じだ。霞がここで暮らすようになってから、生活に張り合いがあるからな」
ネガティブな方向へ行きかけた霞の言葉を遮って、慌てて繋ぎとめる。
「だから、距離を取られたらショックで寝込むかもしれない」
冗談めかして告げると、霞は小さく笑った。
「私も寝込んじゃうと思います。……そうならなくて本当によかったです」
霞はほっとした様子で息を吐いた。その言葉を受けて、俺はソファーから少し身を起こした。そして、霞のほうへ向き直る。
「無理に迫るつもりはないから、そこは安心してほしい。できれば過剰なスキンシップは短時間にしてほしいが……」
俺は真剣な顔でそう告げた。スキンシップを全面的に禁止できなかったのは俺の意思の弱さだが……そこは許してほしい。
頭の片隅でそんな情けないことを考えていると、今度は霞が口を開いた。
「京弥さんに負担をかけてばかりで、本当にすみません……でも」
何かを言いかけて、霞は再び顔を朱に染めた。それでも、意を決したように視線を合わせると、はにかみながら口を開く。
「もし記憶を取り戻すことができて、それでも私が私のままなら、その――」
だが、それが限界だったらしい。言葉の途中で沈黙すると、霞は急にソファーから立ち上がった。
「きょ、今日はもう寝ますね! 後片づけは明日やりますから、置いていてください」
早口でそう言い残すと、霞はぎこちない動きでリビングから出て行く。彼女が階段を上る音が聞こえたところで、俺は先程の会話を思い返した。
「俺……どこまで耐えられるんだろう」
彼女の恥じらう顔を思い出しながら、俺はソファーの背にもたれかかった。




