7ずっと好きだった
不意な事から真白の昔からの気持ちが僕は知る事になった。
☆案山子様、あえてここで使わせてもらいました。
お笑い少な目ですけど、見捨てないでください!
下校の時、真白からデートに誘われた。駅前のショッピングモールに行こうと誘われた。僕は「うん」と言った。気晴らしにいいだろう。真白はかなり僕の事を考えてくれている。空音の事が頭にこびりついている事は承知なのだろう。「気分転換しよ」と言われた。
「何か見たいものあるの?」
「冬物の服かな、そろそろ目ぼしつけて、バーゲンの時に買いたいの。悠馬はどこに行きたい?」
「僕はいいよ。真白の好きな処についていってあげるよ」
「駄目よ。悠馬の好きな処もいきましょう。何処か無いの?」
「う~ん。おもちゃ屋かな、貴重なプラモが置いてある店があるんだ」
「じゃ、そこ行きましょう」
「いや、最初は真白の服を見よう」
「ありがとう。悠馬」
何故か真白は妄想を発症しなかった。いや、こんな処で発症すると困るのだが、少し不思議だった。登下校で毎日妄想、僕の発言捏造を繰り返しているから心配だったけど、流石にこれだけ人が多いと自制心が働くのかな。
でも、僕はふっと思った。空音とデートする時、僕は僕の見たい処に一緒に行った事はなかった。いつも空音の行きたい処だけに行っていた。僕がそれでいいといつも言っていたからだ。
僕はこの事がとても重要な事とはこの時、思っていなかった。
二人でファションモールのある2Fにエスカレーターで登った。たくさんの女性の服が並び、たくさんの女の人がいた。男性はたいてい女性の連れがいた。僕はこのファションモールには詳しかった。空音はお買い物が大好きだ。それで、ここには頻繫に来ていた。よく、こんなに時間かけられるな~といつも思っていたが、楽しそうな空音を見ると、そんな事は飛んでいき、僕も楽しかった。一方…真白を見ると…いつも通り無表情だ。空音の様に、こういう処でウキウキ感満載で、顔に出さないんだ。まぁ、クールで有名なんだから、仕方ないよな。それに無表情でも真白は魅力的だ。
いや、それにしても真白は空音より服を選ぶのに時間がかかるな。既に2時間は経過したが、未だ最初の店の中で必死に服を選んでいる。服は3着位しか見てないのに、こんなに悩むのはびっくりだった。僕の見たいおもちゃ屋さん行く時間あるのかな? って思っていたら、
「あら、ごめんなさい。もう、こんな時間、おもちゃ屋さん行こうよ」
「えっ? いいの? だって真白、未だ服見きれてないんでしょ?」
「ううん。そろそろおもちゃ屋さんに行かないと私、門限あるから」
「そうなの? じゃお言葉に甘えておもちゃ屋さんに行こうか?」
「うん。その代わりに又、付き合ってね?」
「うん。わかった。もちろんだよ」
エスカレーターの方へ向かって二人で歩いていくと、突然、
「駄目! 悠馬、見ちゃ駄目!」
突然真白は僕の首がもげそうな位右90度に僕の首を曲げた。いや、折れて死んだらどうする?
「いや、真白どうしたの?」
ホント、どうしたんだ。真白は突然僕の顔を90度曲げて自分の胸に押し付けている。柔らかい感じが凄く気持ちがいい。あったかいし。ちょつと得した気分。でも、真白らしくない。そんな極端なスキンシップを突然なんで? 突然妄想で何か発症したかな? でも僕は見てしまった。真白が見せたくないものが、なんなのか? それは空音と藤堂だった。真白は90度僕の首を曲げたが、ちょうど目の前に鏡があった。だから、目に入ってしまったのだ。鏡には空音と藤堂、そして知らないヤバそうなヤツら3人が映りこんでいた。
「(多分、空音が何かしでかしたかな?)」
僕はそう思った。空音は天然だから人とよくぶつかるし、天然の癖に妙に正義感が強くて、ヤバい奴らとか見ると結構辛辣な毒を吐く。空音は何も考えない、だから絡まれる。それを解決してきたのは空音じゃなくて、いつも僕だった。
「ごめん。真白、空音と藤堂だろ、見えたよ。そこに鏡があるんだ」
「悠馬、気を落とさないでね。私が必ず癒してあげるから」
「真白、ありがとう。でも、どうもまずい様だ」
藤堂とヤバい奴ら三人が何か口論になっている。慣れてないとああいう奴らの対応は難しい。対応を間違えると、待っているのは、
「テメェ! 舐めてんのか?」
「こいつ、やっちまおうぜ!」
「その女もふざけすぎてる!」
藤堂が殴られた。事態は最悪だ、このままだと藤堂も、もしかしたら空音も暴力の被害に会うかもしれない。女の子の空音は万が一引き連れられていったりしたら、とんでも無い被害を受けるかもしれない。
「真白、行ってくる!」
「......悠馬、駄目よ!」
真白は止めたいだろう。でも僕が空音を無視できない事もわかっているだろう。
だだだだだだだだだだ、と空音と藤堂の近くまで走る。そして、
「藤堂、加勢する!」
「なんだ、こいつ!」
「仲間か、まとめてやっちまえ!」
2:3、負ける事はわかっていた。だけどそこそこやらないとこういう奴ら、図にのって、謝るだけじゃすまないんだ。多少は反撃しないと付け込まれる。
ガシッ!?
殴る、僕は意外と慣れている。意外だろ? 確かに僕のキャラにあわない。でも、空音の傍にいると、自然に巻き込まれるんだ。
ドカっ!
ベシっ!
「もう、いい加減、やってらんないよ!」
そういうと、藤堂は逃げた。嘘? マジ? 僕、ヤバくない?
ガシッ!
ドカっ!
ベシっ!
一瞬でボコボコにされた。まずいな。かなり被害受けそう。そんな時、
「あなた達、止めなさい!」
床に這いつくばっている僕とヤバい奴らの間に真白が立ちはだかった。
「真白、駄目だよ、危ないよ」
「悠馬は黙っていて!」
「なんだ、お前、コイツの女か?」
「そうよ、悠馬の彼女よ!」
「お前、わかってんのか? 俺達に喧嘩売って?」
「貴方達こそ、早く逃げた方がいいんじゃないの? もう警察には通報したわよ」
「ぐっ!? てめえ!」
「あなた達、こんな処で喧嘩したら、警察直ぐ来るわよ」
「ちっ! ムカつく女だ。お前ら、行くぞ、覚えてやがれ!」
ヤバい奴らは逃げた。そりゃ、ここは路地裏じゃない。こんな処で喧嘩したら、警察の前に警備の人が来るかもしれない。あいつら多分、喧嘩なれしてないな。空音にかなり辛辣な事を言われて、我を忘れて激怒したんだろう。
「......大丈夫、悠馬」
「ああ、幸い、大怪我はなさそうだ」
「良かった。もうこんな事止めてね」
「......」
沈黙してしまった。別に空音じゃなくても助けたと思う。僕は女の子が困っているとほおっておけない性格なのだ。
「ゆ、悠馬、ありがとう。ごめんなさい!」
そういうと、空音は逃げて行ってしまった。合わせる顔が無いのだろう。
「悠馬、あなたは優しすぎるのよ」
真白はそう言うと、僕の顔を抱きしめた。
「私だって、子供の頃から、ずっと…ずっと悠馬の事、好きだった。もう、遠慮しない。もう空音になんかに負けない。悠馬は私が守る」
「……ま、真白」
「悠馬は私が癒してあげる、だから、私の事を愛して」
「僕は真白の事好きだよ」
「違うの、好きじゃ無くて、愛して欲しいの!」
「……」
僕は即答できなかった。未だ、新しい恋をする気持ちにはなれてないんだ。こんな気持ちで真白の気持ちに付け込みたくない。真白がどんなに綺麗な女の子で、誰もが羨んだとしても、
☆☆☆
帰宅すると、一旦自宅に戻った真白が再び僕のうちを訪ねた。
「あら、いらっしゃい。真白ちゃん、今日はありがとう。悠馬は時々喧嘩するから...」
「お母様、あれはやむをえなかったです。悠馬、女の子を守る為に戦ったんです」
「そうなの? でも母親としては心配よ」
「ごめんなさい。私が止める事ができていれば」
「真白ちゃんのせいじゃないわよ。これからも、悠馬の事お願いね」
「はい、お母様、私、一生、大切にします」
「まあ、まあ、真白ちゃんは可愛いわね。悠馬には勿体ない位」
「そ、そんな事ないです。お母様! 悠馬は完璧です!」
真白が僕の家に来た理由はわかった。今日は僕の誕生日なんだ。真白は平べったい薄い四角いラッピングされた物を持って来ていた。そして、僕にプレゼントしてくれた。
「お誕生日おめでとう! 散々な誕生日だったね。でも、悠馬カッコ良かったわよ」
「……これだけボコボコにされて褒められてもな」
「そんな問題じゃないわ。悠馬の心意気の問題よ」
真白はプレゼントを渡すと直ぐに帰った。もう時間が遅い、流石に高校生の男女がこんな時間に一緒に二人っきりはまずい。
僕は真白の持ってきてくれたプレゼントを見て、真白が今まで、どんなに僕の事を想っていてくれたのかを理解する事になった。
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