13エピローグ
最終回になります。え? 短い? これ短編のつもりだったんです。島風短編の定義をしらなくて、短い話が短編と思ってました。投稿する時、短編が1話完結の話だという事を知りました。
【誤字脱字報告ありがとうございました。感謝致します。】
春休みに入ったけど、僕は3日程体調不良になった。空音を永遠に拒絶した事は僕にとっても辛かった。しばらく食事も通らず、臥せっていた。時々、真白からLi〇eが来るので、それが唯一の気晴らしだった。真白とのやりとりも空音の事だった。真白は空音と一生会わない事には反対していた。真白が言うには空音の事を許してあげて欲しい…だった。違うんだ。僕は自信がないんだ。また、空音を甘やかしてしまうんじゃないか…真白を傷つけてしまうんじゃないかと…全部僕が卑怯なんだ。真白には本当の事を告げた。僕が卑怯だから空音を拒絶した事を、真白を傷つけたくない事を…空音の為だけじゃない…
4日目にようやく僕は回復してきた。僕はもう一つ、どうしてもやっておく事があった。真白は僕に想いを伝えてくれた。突然、壊れた様に言いだして、本人の意思に関係なく。僕は真白の気持ちがわかった。でも、僕は僕の気持ちを真白にはっきり伝えていない。僕は真白に自分の気持ちを伝えたかった。それで、真白をデートに誘った。未だ肌寒いけど、桜がきれいな筈だ。桜並木の元で、真白に気持ちを伝えられたら、いいなと思った。
真白と近くの川沿いの桜並木でデートした。真白がお弁当を作ってきてくれて、お弁当を広げて二人で食べる。
「もう、大丈夫なの?」
「ああ、もう大丈夫だよ。十七年分泣いた。そして、僕はこれからやり直すんだ」
「そう…悠馬が決めた事なら、反対はしないけど…」
「ケジメは必要だよ。僕にとっては空音はLikeな存在、でも、真白へのはLoveなんだ」
「わ、私は、ただ、悠馬を励ましたかっただけなのに……。『真白は運命の人、前世から定められた人、永遠に巡り合う人だなんて! だから僕は一生真白を愛していく』だなんて、ゆ、悠馬! 急にいくら何でもサプライズ過ぎる!」
いや、そんな事は言ってないし。ていうかこれから告白しようとしてるのに、僕よりうまい事言うの止めて…
「…真白」
あわわしている真白の名前を呼んでみる。真白は目がくるくるとあちこち向いていたが、しばらくして僕を見据えた。
「わ、私、仮初の彼女の役割は終わったのかしら? 空音の事、悠馬は乗り切ったし、私の役目も終わりかな…」
真白、君は僕の気持ちに気づいてないの? 僕言ったよね? 空音はLike、真白はLove、さらって言ってしまったからいけないんだろうか? 僕はとっくに真白の本当の彼氏のつもりだ。順序が違って、僕が未だ、告白できてないだけなんだ。それとも真白は幼馴染として仮初の彼女の役割をかってくれて、本当のところは僕の事、なんとも思ってないのだろうか? 僕は心配になってきた。
「…僕は真白がずっと僕を見ていてくれた事に心を奪われたんだ」
「わ、私……。ごめん、涙が出ちゃう」
「僕の事、ずっと見ていてくれてありがとう。僕の勘違いじゃないよね? 僕、真白が僕の事なんとも思ってくれてなかったら、ヤダよ」
「そ、そ、そ、そんな、私と悠馬は互い強く思いあっているから、もう夫婦同然だから、早く結婚しようだなんて、そんな恥ずかしいこと言わないでよ!」
僕より情熱的な事言わないでよ…僕の幼馴染、凄く告白しづらい。もう、単調直入に言ってしまえ!
「真白、君の事が好きなんだ。だから、結婚して欲しい」
「……」
真白が突然、固まった。僕のプロポーズ、駄目かな? 真白の妄想の方が素敵な様な気がする。
「真白? 聞かせて欲しい。君の返事を?」
「悠馬! 責任とってよね! 私の頭をこんなにぐちゃぐちゃにしたんだから!」
「真白、返事が未だだよ」
真白は目から涙を流していた。そして、小さな声で俯きながら、言った。
「はい……真白を悠馬のお嫁さんにしてください」
「僕はこれからずっと真白だけを見ていく……」
「私もずっと悠馬を見ていく……」
僕は真白の顔に顔を寄せた。綺麗な真白の整った顔、少し、頬が赤くなってる。僕も多分真っ赤だと思う。そして、とてもいい香りがしてきた。真白の髪の香りだ。そして、目の前に真白の顔が近づくと、真白は目を閉じた。僕は真白の唇にそっと唇を寄せた。桜色の綺麗な真白の唇はとても柔らかった。真白との初めてのキスなんだ。そう思って、唇を離そうとしたら、
「―――――~~~~ッ!!!!」
真白は僕の口の中に舌を絡ましてきた。舌の感触がとても柔らかくて、突然で、でも僕はたまらず、僕も真白の舌の感触を楽しんだ。真白の口の中の感触をたっぷり楽しんだ。
「へっ、へへへっへへ~」
「もう、真白は急に、びっくりした」
「私、はしたないかな……」
「ううん、とっても美味しいキスだった。ありがとう」
そうだった。真白がクールなのは見た目だけだ。無表情で、無口だから誰も知らないけど、ホントは情熱的な子だ。真白の妄想を聞いていて僕にはわかった。誰も知らない、僕だけが知っている真白。初めてのキスにベロチューしてくる子なんだ。誰も信じないと思うけど。
「真白…」
僕は真白の名前を呼ぶと、真白の手を握った。真白も指を絡ましてくる。恋人つなぎになった。僕達、全部順番が違う、最初にいきなり彼氏彼女になって、告白が最後で、告白の時、ついでにプロポーズもした。プロポーズの後に初めてのキスする奴いないだろうな。そして、手を繋ぐのも、僕が真白と手を繋ぐのはこれが初めてだった。
「これからもよろしくお願いします」
「私もずっとよろしくお願いします」
そうして、僕達は桜並木の下で、何度も何度もキスを重ねた。
☆☆☆
3年生になって、僕と真白は同じクラスだった。そして、空音は転校して行った。隣の家からも引っ越しして行った。僕が拒絶した結果だとはいえ、本当に二度と会えなくなっていた。
そういえば、大和と海老名は僕とは違うクラスになったけど、二人はくっついた様だ。噂で海老名が大和の年上女房として君臨しているのを聞いた。大和、良かったな。
そして、卒業式を終え、僕と真白は二人で、東京に向かう新幹線の中にいた。二人は東京の同じ私大に合格していて、今日、上京する。僕と真白の家族に見送られて、もうじき、新幹線は出発しそうだ。
「あれ? 海老名さんと大和君よ」
「ホントだ。二人共見送りに来てくれたんだ」
「海老名さん、大和君と恋人同士になったんだね」
「ああ、そうみたいだね。手を繋いでる。海老名相手だと大和そうとう苦労してそうだな」
二人は大きく手を振った。僕達が見えたんだろう。そうこうしていると、新幹線の発車のベルがなった。これから故郷を離れて僕達は東京に向かい、東京で暮らす。多分、就職も東京だろう。真白とはもう、籍を入れていた。僕と真白の両親の相談で、そうした。大学を卒業して就職したら結婚式をしようと約束していた。故郷との別れ、これから偶にしかこれないだろうな。そんな事を想って、駅のホームを見ていると、
「―――――!!!!」
走り出す新幹線の中から僕はホームに空音を見つけた。空音の隣には藤沢がいた。僕は空音と目があった様な気がした。そして、空音は頭を下げた。僕に謝罪をしている様に…
「…一生じゃなくてもいいと思ったの」
真白が話しだした。
「空音、だいぶ変わった様よ。藤沢君から聞いた」
「真白が今日の事教えたの?」
「うん、勝手にごめんね。空音は私の幼馴染でもあるから、少し想う処があって」
「空音、もしかして、藤沢と?」
「うん、そうみたい。藤沢君、空音の事がきになって、2年生の春休み、空音の事、慰めていたみたい。その後、転校したけど、遠距離恋愛だったみたい」
「そっか」
『誰か僕の代わりに空音をお願いします』
僕の願いは届いたんだ。
空音は顔を上げると笑顔を僕に返した。僕も笑顔で返した。空音は僕の事を考えてくれるんだ。空音が涙を流していたら、僕は罪悪感を感じたかもしれない。でも、空音は僕の気持ちを考えてくれたのだろう。僕の幼馴染は無事更生したらしい。
僕は故郷に何も思い残す事はなくなった。新しい場所、東京に向かって、そして、真白との新しい生活が待っている場所へ。
「わ、私、気持ちの整理はできてるから! 高校生じゃなくてもピチピチで、新鮮よ。17歳よ!」
僕が感慨深くなっていたのに、真白がまた発症した。何か独り言を呟いているが、多分、今日、初夜を迎える様な妄想をしているのだろう。いや、同棲じゃないし、部屋は別々だし…隣の部屋だけど…じきそういう事になるのかな…僕達、結婚してるんだった。でも、こんな時にも真白は真白だった。僕は真白をしばらく放置していたけど、真白の頭をつついた。
「もうっ!?」
真白は妄想を邪魔されて怒ったのか、でも、恥ずかしくなった様で、かぶっていた帽子を深く被って顔を隠した。とても可愛らしかった。
「真白、好きです。僕と末永く一緒にいてください」
僕は突然真白に言った。発作的に言ってしまった。真白の病、伝ったかな? 真白は動揺せず、頬を染めて、恥ずかしそうに、
「こちらこそ、よろしくお願いします。私も悠馬の事、大好きだよ」
終わり
最後まで読んで頂いた読者様ありがとうございます☆
本作について、
「ちょっと面白かった!」
「この物語の長編版を読んでみたい!」
「その後どうなったの?」
と思って頂いたら、島風の本作の長期連載版を是非お願いします。リンクが下の方にありますよ~☆
読んで頂けると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。ぺこり (__)
『連載版こうかい』~幼馴染に振られた上、サッカー部を追放されたら、他の幼馴染がドン引きする位グイグイ来た。えっ? 僕がいなくなって困ったから戻って来てくれって? 今更そんなのしりません~
読んで頂けると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。ぺこり (__)