表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/44

8.

「仕事お疲れ様。終わったなら、食事に行こうぜ。俺、もう腹ペコペコ。」


電話口の今井は、さっそく切り出した。

どうやら、どこか近くで時間を潰しているようだ。

何だか悪い事した気がして、お誘いを断りづらい雰囲気になってしまった。


(このまま食事を奢られてしまう流れで、いいんだろうか?)


実乃理は迷ったが、しかしたかが一回の食事くらいで、色々御託を並べるのも、スマートでない気がする。


(ま、いっか。向こうも単なる気まぐれなんだろうし。)


実乃理はそう、結論づけると、電話ごしの今井に話しかけた。


「今井さん、今どこにいるんですか?」


「病院を出たところのコンビニだよ。立ち読みしてる。」


やっぱり待ってくれていた。


「わかりました。今からすぐ行きます。」


電話を切ると、実乃理は急いで帰り支度を始めた。



※※



「あーっ、美味い!」


「ちょっと、そんなに飲んで大丈夫なんですか?」


近所の"今井オススメの"焼き鳥屋。

確かに、焼き鳥もタレの味が絶妙で、美味しい。他の一品料理も、女性向けのサラダや豆腐料理が充実していて、周りに女性客も多く、雰囲気も良い。

店に入って最初こそ少し構えたものの、今井は意外と紳士的で話題豊富だったので、実乃理も料理と少しのビールを楽しんでいた。


…しかし。


「仕事の後のビールは美味いなぁ!」


「だから、飲み過ぎですってば。もう4杯目ですよ?」


店員から、4杯目、…3杯目からは日本酒ロックだが…のグラスを受け取った今井を見てさすがに呆れ、思わずツッコんでしまった。


「あれ、心配してくれるの?嬉しいな。大丈夫大丈夫。俺、酒強いから。それより早乙女さんも、もっと飲みなよ。せっかくの奢りなんだからさ。」


「いや、私は、明日も仕事だし、帰りも電車だし、一杯で十分です。」


「・・・・・」


調子良く喋っていた今井が急に黙ったので、気を悪くさせてしまったのかと思い、何か取り繕おうと口を開いた実乃理だったが、結局、その言葉は発せられなかった。


「俺、好きだな、早乙女さんの、そういう真面目なところ。」


「ぶっ!ゲホゲホゲホ!!」


「うわ、唾飛んできた。きたねぇ!」


「ごっ、ごめんなさい。だって今井さんがいきなり、変な事言うから」


「ハハハ、ジョークジョーク。唾なんて飛んでないから。でも別に、変な事なんて言ってないよ。・・ね、早乙女さん、ちょっと真面目な話、していい?」








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ